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悪魔召喚士
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千紘たちが指定された町の広場に着くと、すでに多くの冒険者が駆けつけていた。
その広場の中央に朝礼台のような台が設置されており、その上に若い騎士が立ち大声で人員整理をしていた。
「冒険者ランクごとに担当エリアを分けています。
冒険者ランクがB以上の冒険者は 北門へ移動して下さい。
冒険者ランクがC、Dの冒険者は 西門へ移動して下さい。
冒険者ランクがEの冒険者は 指示があるまで広場で待機をお願いします。」
若い騎士の指示に従い、ゾロゾロと冒険者たちが移動していく。
その様子を横目にみながら、エイルが千紘に声をかける。
「Fランクの俺らは どうしたらいいのかな?」
「・・・とりあえず聞いてみましょう。」
千紘は人員整理をする騎士の元に近寄り、台の上で説明している若い騎士に声をかけた。
「すみません、ちょっといいでしょうか?」
「はい。
どうしましたか?」
「あの、Fランクの冒険者はどうすればいいでしょうか?」
「えっ、Fランクですか・・・。」
千紘の質問に騎士は困った顔をし始める。
おそらく Fランクの冒険者をどうするのか指示されていなかったのだろう。
しばらく考えた後に出した答えは・・・。
「そうですね。
Eランクの冒険者も大勢いるので広場に待機されても・・・。
とりあえず南門の警備をお願いします。
万が一、異常が発生したときは、広場にいる我々に知らせてください。」
「はい、わかりました。
忙しいところ、ありがとうございます。」
千紘とエイルは、荷物を排除されるような感覚で、今回の任務とは無関係の南門の警備を任されたようだ。
南門に着くと、そこには誰もおらず、普段と変わらない景色が広がっていた。
「なあ、千紘。」
「言わなくてもいい。」
「うん。
とりあえず、門の外で待機するか。」
「そうだね。
私たち以外に誰もいないね・・・。」
「そうだな。」
「・・・。」
「・・・。」
千紘とエイルは、無言のまま南門から見える近くの森を眺めていた。
時折、森の中から鹿のような動物が顔を出しているのが見える。
その様子を見ながら、エイルはぶつぶつと独り言を呟いていた。
「ねえ、さっきから何をぶつぶつ言ってるの?」
エイルは、ニコニコとしながら千紘に説明する。
「あの動物が顔を出す間隔を数えてたんだ。
千紘は気づいた?」
「何を?」
「実は、あの動物は 時間が経つにつれて、徐々に顔を出す間隔が短くなってるんだ。
最初は100秒以上の間隔だったのに、いまは30秒くらいで顔を出すよ。
・
・
・
ほらっ!」
「ふーん。」
「ね、すごいでしょ!」
「うん。そだね。」
明らかに興味がない話に千紘は質問したことを後悔した。
ニコニコと間隔を数えるエイルにイライラしながら千紘がエイルに声をかける。
「ねえ!
こんなところに座ってても意味がないんじゃない?
私たちも広場に戻って経験を積ませてもらい・・・。」
真面目な表情のエイルが千尋の言葉を遮るように、千紘の口に指を当て、千紘にだけ聞こえるくらいの小声で話す。
「もうすぐ。」
千紘もエイルにだけ聞こえるくらいの小声で返事をする。
「何がもうすぐなの?」
千紘が質問し終わるころ、森の木々が激しく揺れ始めた。
と、その瞬間、森の中から1体のシロクマのような生き物が飛び出してきた。
シロクマのような生き物は、体長3mほどの大きさで、シロクマに比べると少し毛が長いようだ。
森の中からシロクマのような生き物が飛び出してくる様子を見た門番が大声で叫ぶ。
「ジャイアントオーグだ!
城門を閉めろ!」
エイルは千紘の腕を引き、城門内に引き返そうとしたのだが、千紘はエイルの腕を振りほどき その場に留まる。
「嫌よ!
私は強くならなくっちゃいけないの!」
「千紘、我がまま言うなよ。
さすがに・・・。
ほら。」
エイルが森の方を指差し、千紘が振り返ると、1体だけだと思われたシロクマのようなジャイアントオーグの背後から、何体ものジャイアントオーグの群れが飛び出してきた。
「ま、まずいかもね。」
「そうだね。
千紘、逃げよう。」
千紘たちは、城門の方に走って逃げるが、スタートが出遅れたため、ジャイアントオーグに追いつかれ囲まれてしまう。
その様子を見た門番たちは、千紘たちを助けることをせず、町の防衛を優先して門を閉じてしまった。
2人を取り囲んだジャイアントオーグは、一定の距離を保ったまま、その数を増やしていく。
千紘は周囲を見渡し、自分の震える手を見つめ、震える手を止めるように力強く拳を握る。
そして、エイルに精一杯の笑顔で声をかける。
「ごめんね。
君の言う通りに逃げてればよかったね。
・
・
・
私が君を守るから。」
エイルは千紘の肩を優しく抱くと、その背にある2対の漆黒の翼を大きく広げた。
「千紘、俺がお前を守ってやるよ。」
その広場の中央に朝礼台のような台が設置されており、その上に若い騎士が立ち大声で人員整理をしていた。
「冒険者ランクごとに担当エリアを分けています。
冒険者ランクがB以上の冒険者は 北門へ移動して下さい。
冒険者ランクがC、Dの冒険者は 西門へ移動して下さい。
冒険者ランクがEの冒険者は 指示があるまで広場で待機をお願いします。」
若い騎士の指示に従い、ゾロゾロと冒険者たちが移動していく。
その様子を横目にみながら、エイルが千紘に声をかける。
「Fランクの俺らは どうしたらいいのかな?」
「・・・とりあえず聞いてみましょう。」
千紘は人員整理をする騎士の元に近寄り、台の上で説明している若い騎士に声をかけた。
「すみません、ちょっといいでしょうか?」
「はい。
どうしましたか?」
「あの、Fランクの冒険者はどうすればいいでしょうか?」
「えっ、Fランクですか・・・。」
千紘の質問に騎士は困った顔をし始める。
おそらく Fランクの冒険者をどうするのか指示されていなかったのだろう。
しばらく考えた後に出した答えは・・・。
「そうですね。
Eランクの冒険者も大勢いるので広場に待機されても・・・。
とりあえず南門の警備をお願いします。
万が一、異常が発生したときは、広場にいる我々に知らせてください。」
「はい、わかりました。
忙しいところ、ありがとうございます。」
千紘とエイルは、荷物を排除されるような感覚で、今回の任務とは無関係の南門の警備を任されたようだ。
南門に着くと、そこには誰もおらず、普段と変わらない景色が広がっていた。
「なあ、千紘。」
「言わなくてもいい。」
「うん。
とりあえず、門の外で待機するか。」
「そうだね。
私たち以外に誰もいないね・・・。」
「そうだな。」
「・・・。」
「・・・。」
千紘とエイルは、無言のまま南門から見える近くの森を眺めていた。
時折、森の中から鹿のような動物が顔を出しているのが見える。
その様子を見ながら、エイルはぶつぶつと独り言を呟いていた。
「ねえ、さっきから何をぶつぶつ言ってるの?」
エイルは、ニコニコとしながら千紘に説明する。
「あの動物が顔を出す間隔を数えてたんだ。
千紘は気づいた?」
「何を?」
「実は、あの動物は 時間が経つにつれて、徐々に顔を出す間隔が短くなってるんだ。
最初は100秒以上の間隔だったのに、いまは30秒くらいで顔を出すよ。
・
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・
ほらっ!」
「ふーん。」
「ね、すごいでしょ!」
「うん。そだね。」
明らかに興味がない話に千紘は質問したことを後悔した。
ニコニコと間隔を数えるエイルにイライラしながら千紘がエイルに声をかける。
「ねえ!
こんなところに座ってても意味がないんじゃない?
私たちも広場に戻って経験を積ませてもらい・・・。」
真面目な表情のエイルが千尋の言葉を遮るように、千紘の口に指を当て、千紘にだけ聞こえるくらいの小声で話す。
「もうすぐ。」
千紘もエイルにだけ聞こえるくらいの小声で返事をする。
「何がもうすぐなの?」
千紘が質問し終わるころ、森の木々が激しく揺れ始めた。
と、その瞬間、森の中から1体のシロクマのような生き物が飛び出してきた。
シロクマのような生き物は、体長3mほどの大きさで、シロクマに比べると少し毛が長いようだ。
森の中からシロクマのような生き物が飛び出してくる様子を見た門番が大声で叫ぶ。
「ジャイアントオーグだ!
城門を閉めろ!」
エイルは千紘の腕を引き、城門内に引き返そうとしたのだが、千紘はエイルの腕を振りほどき その場に留まる。
「嫌よ!
私は強くならなくっちゃいけないの!」
「千紘、我がまま言うなよ。
さすがに・・・。
ほら。」
エイルが森の方を指差し、千紘が振り返ると、1体だけだと思われたシロクマのようなジャイアントオーグの背後から、何体ものジャイアントオーグの群れが飛び出してきた。
「ま、まずいかもね。」
「そうだね。
千紘、逃げよう。」
千紘たちは、城門の方に走って逃げるが、スタートが出遅れたため、ジャイアントオーグに追いつかれ囲まれてしまう。
その様子を見た門番たちは、千紘たちを助けることをせず、町の防衛を優先して門を閉じてしまった。
2人を取り囲んだジャイアントオーグは、一定の距離を保ったまま、その数を増やしていく。
千紘は周囲を見渡し、自分の震える手を見つめ、震える手を止めるように力強く拳を握る。
そして、エイルに精一杯の笑顔で声をかける。
「ごめんね。
君の言う通りに逃げてればよかったね。
・
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・
私が君を守るから。」
エイルは千紘の肩を優しく抱くと、その背にある2対の漆黒の翼を大きく広げた。
「千紘、俺がお前を守ってやるよ。」
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