龍慶日記 外伝

黒山羊

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外伝(新世界)

誇り高き王

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我が名は、アルベルト・フレイムライオン。ファイアーライオンと呼ばれることもある。
ライオン族の王であり、英雄でもある。



我々、誇り高きライオン族は、金色の鎧をまとい、戦場では常に一番の手柄を立てるように教わってきた。

そう、女王陛下に会うまでは・・・。








【過去】

~女王との謁見~

ネコ大臣「女王様、ライオン族の王、ファイアーライオン様です。」

アルベルト「お初にお目にかかります。アルベルト・フレイムライオンと申します。」

女王「・・・。」

女王「はい。あの、はい。こちらこそ、お初めまして、ヒマリと申します。本日は、お日柄もよく・・・。」

ネコ大臣「女王様、普段通りにしてもらってもかまいませんよ。」

アルベルト「女王、ライオンの獣人をみるのは、初めてで緊張しましたか。我々ライオン族は、前線の防衛と王国内のドラゴンの排除を行っているので、体が大きくなくては務まらないのですよ。」

アルベルト「モフモフゲ、女王は緊張しているようだし、私はこの場を退散しよう。」
  (こんな、小娘が1000年女王だと!モフモフゲめ、ふざけるのもいい加減にしろよ!)

ネコ大臣「・・・。」

アルベルト「それでは。」



女王「ねえ、ネコ大臣。」

ネコ大臣「なんでしょう。」

女王「アルベルトだっけ?彼、何か怒ってた?」

ネコ大臣「さあ?毛玉が喉につっかえてたんじゃないですかね。」

女王「うぇー、そりゃそんな時に呼ばれたら、いそいで帰りたいかもね。」

ネコ大臣「そうですな・・・。」












~女王との謁見後~

アルベルト「くそが!」

ライオン従者「アルベルト様、声が大きすぎます。ここはまだ宮殿内、誰かに聞かれでもしたら。」

アルベルト「それがどうした!あんな小娘が女王だと!ふざけるのもいい加減にしろよ!」

アルベルト「前線を維持してるのは、わしらライオン族だぞ、ペコペコ愛嬌がいいだけのネコ族なんぞ、なんの役にもたたんではないか!それにあの小娘に本当に1000年戦争を終わらせる力などあるはずがないだろ!」

ライオン従者「あわわわわ。それ以上は、城に戻ってからにしてください。」

ライオン従者「それに、トラ一族は、全部族が初めてまとまったそうですよ。今回、まとまったのは、女王様のおかげだとか。」

アルベルト「ふん!そんな眉唾物の話、信じてどうする。どうせ元からまとまる予定でもあったんだろ。」



ライオン使者A「はぁはぁ、アルベルト王、大変です。王都で暴動が起きています。」


アルベルト「暴動だと!」

ライオン使者A「はい。アダムス家が暴動の原因だろうということが分かっておりますが、アダムス家は兄弟そろっての実力者ですので、原因が分かったところで、手が付けられておりません。」

アルベルト「わかった。急ぎ戻るとしよう!」


ライオン使者B「アルベルト王、最前線基地エンピツに、竜騎兵団が進行を始めたようです。」

アルベルト「クソが!このタイミングで!竜騎兵団の戦力は?」

ライオン使者B「数は、2千程ですが、」

アルベルト「では、第4部隊から600程向かわせろ。」

ライオン使者B「いえ、それが、今回はソロモン王自ら出陣しているようですので・・・。」

アルベルト「・・・・・・・。第4から第7部隊で防衛に当たれ、数は倍以上いるんだ。退くことはゆるさん!」

ライオン使者B「え!しかし、たった倍程度の兵力では・・・。」

アルベルト「アダムス家が、反乱を起こしていてこれ以上の兵力は裂けない。死守せよ。」


ライオン使者B「・・・はい。・・・命に代えても。」

アルベルト「・・・。」






女性の声「アルベルト!あなたと主力部隊は、前線基地の防衛に向かいなさい!」

アルベルトは声のする方を見た。声の主は、先ほど謁見した女王だ。


アルベルト「女王!では、王都の暴動はどうなさるのですか。」

女王「私が押さえます。」

アルベルト「・・・。」

アルベルトは真紅の鬣(たてがみ)を震わせている。




アルベルト「小娘!アダムス家は、第2、第3、第8部隊を率いているんだぞ!どうやって勝つつもりだ!」

女王「暴動は私が必ず押さえます。ちゃんと話を聞けば、話し合いで解決できることもあります。」

ネコ大臣「天馬の準備を!目的地は王都ライアンだ!急げ!」

女王「アルベルト、私たちを信じてください。」

アルベルト「・・・。」

女王「アルベルト、あなたには、この国の命を預けます。必ず勝って戻ってきてください。」

アルベルト「・・・ふん!」




アルベルト「全部隊に号令をかけよ!最前線の防衛、敵は竜騎士団!私も参戦する!」


ライオン使者AB「はい!」






















~それから2時間後~

アルベルト「敵の数は少ない!全軍突撃、逝けー!」

獣人兵たち「ウォォォォ!」


ソロモン王「全軍構えよ!青龍の陣で迎え撃て」

竜騎兵たち「オォォォ!」




小雨の降る中、最前線での戦闘が始まった。

剣と剣がぶつかる甲高い音、肉が切れ骨が断たれる鈍い音、戦場の音が次第に激しさを増す。




数は獣人軍が圧倒していたのだが、敵の攻撃は激しく、徐々に押されていった。













~戦闘開始から1時間後~

雨は次第に強くなり、敵の増援もかけつけ、旗色が悪くなる。




ライオン兵士「アルベルト様、お逃げください!このまま前線の維持をすることは不可能です。」


アルベルト「・・・。」




アルベルト「全軍に撤退命令。俺の斧を持ってこい。」

ライオン近衛兵「アルベルト王、我々、近衛兵も王と共に逝きます。」


アルベルト「・・・うむ。」

アルベルト「我に続け!勝利を我が手に!」





王と近衛兵は、獣人軍が敗走を続けるなか、真紅の鬣(タテガミ)を奮い立たせ、獅子奮迅の戦いで殿を務めた。

が、一人、また一人と残った近衛兵たちも倒れていく。









空には黒い雲が広がっていく。



ライオン近衛兵「引くな!押し込め!王に続け!」






どれくらい戦っただろうか。

雨も激しくなり、戦場の音を奪っていく。


気が付くと、近衛兵は倒れ、戦える状態ではない。


アルベルト「ここまでか・・・。」



アルベルトの手から、巨大な斧が滑り落ちる。

ズドーン!















ズドーン!

ズドーン!


空から雷が落ちてくる。













ズドーン!

ズドーン!

ズドーン!



アルベルト「!?」



敵がざわつき始めた。


竜騎士団A「しまった、罠だ!敵に囲まれてるぞ!」

竜騎士団B「まずい!王の元まで引き返せ!」




老婆の声「おやおや、王様が情けないね!」

男の声「アルベルト殿!お待たせしました!」

顔を上げると、そこには、アダムス家率いる部隊と、サンダータイガー率いるトラ一家がいる。




アルベルト「なぜ!?」

サンダータイガー「なぜって、ネコマジン殿から聞いたんですよ。女王陛下がアルベルト殿を・・・大切な仲間を守ってほしいって。言ってたって。」

アダムス婆「あたしゃ、あんたのことは正直嫌いだけど、女王様には惚れたんだよ。私たちアダムス家を前に、一歩も引かず、堂々と一人で来るなんて、正気の沙汰とは思えなかったけどね。」


アルベルトの目から涙が流れる。流れた涙は雨粒と共に、流れ落ちる。


アダムス婆「グズグズするんじゃないよ!ほら、早く指示をだしな!」



アルベルト「これより前線基地を奪回する!全軍、共に行こう!」





そこからの戦いは一方的だった。
勝利を目前にした竜騎士団は、死ぬことが怖くなったのか、先ほどまでの鬼気迫る戦いぶりは感じ取れなかった。

さらに、援軍として駆け付けたアダムス家の戦い方もいままでとは違ったようだ。


アダムス婆「アルベルト、アダムス家が援護するから、正面から突破しておやり!」



アルベルト「よし!我に続け!勝利を我々、獣人軍に!」





 ~ END





















女王「あの~、私の活躍した場面が少ないんですけど~。」

ロングブーツ「為になる、お話でかっこよかったニャン」

アルベルト「あっ!女王陛下、どの部分からお聞きになりましたか。」

女王「・・・。私の悪口・・・。」




ロングブーツ「謁見のシーンの?」

女王「・・・。何それ。」

アルベルト「よし!今日の話はこれまで!」



女王「ナガグツ!教えなさい!教えないなら、一緒に買ったプリン食べちゃうからね!」

ロングブーツ「え~!話す、話すよ~」


アルベルト「ロングブーツ、今日は城でプリンパーティあるから、すぐに出発しよう!」



 ~ END




女王「何がENDよ!ちょっと待ちなさ~い!」

ネコ大臣「やれやれ。またですか。」モフモフ











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