ミガモクツ

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最初に見た記憶と同じようだが・・・。


アパートの一室だろうか、窓から見える景色には勢いよく立ち上る黒い煙と向かいのマンションが見える。
窓とは反対側にある玄関では、激しく炎が燃え上がっている。

部屋の中では、幼い少女が怯えるように絵本を抱え、まだ新しい学習机の下に隠れているようだ。
その机の上には、まだ箱に入ったままのランドセルも見える。


「こわいよ。
　お父さん、お母さん・・・。」





幼い少女を脅かす炎は、ベランダの方からも襲い始める。
熱に耐えられなくなった窓は、恐ろしい音を立て割れ、炎が勢いを増す。

「こわいよ・・・助けて。」



少女は、抱きかかえていた絵本を開き、涙を流しながら絵本を読む。
まだ字を覚えていなのか、書いてある文字と、少女の言葉が一致していないようだが・・・。


「むかし、むかし、あるところに、とてもきれいな おひめさまがいました。
　おひめさまのなまえは、ちかひめ・・・。」


（美しいローサ姫は、悪の魔法使いに連れ去られてしまいます。
　隣国の王子さまは、従者の白騎士をつれ、ローサ姫を助けるために・・・。）


「白騎士さん、チーちゃんも助けて下さい。
　おねがいします。
　チーちゃんは、白騎士さんに・・・。」


ストーブの灯油に引火したのか、激しい爆発音とともに、勢いを増した炎が、幼い少女に襲い掛かる。


（私は・・・。）