龍慶日記

黒山羊

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リュウマ編

龍慶日記Z 第十節

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~カッパランド~

カッパランドは、最近オープンしたばかりの銭湯型遊園地で、流れる温泉や、温泉スライダー、浅いお風呂のフィールドを水鉄砲で遊ぶ戦闘型銭湯などがある。
もちろん、ゆっくり入れる、天空温泉も有名だ。




子供たちは、大はしゃぎで遊園地に遊びに行きたがっている。




屋上の天空温泉まであがり、周囲を見渡すが、人影を見つけるとこはできない。





レイア「まだ誰も来てないね。」

リュウマ「そうだね。航路だったから、早く着きすぎたのかも。」

レイア「子供たちも遊びたがってるし、みんなが来るまで、遊んで待ってよっか?」

アカネ、コジロー「やったー!」





君は、発電機を動かし、食料の確保をして、遊園地に顔を出す。



子供たちは裸であそんでいるが、レイアの姿が見当たらない。

リュウマ「・・・もしかして!!!」



君は、平常を装い、レイアを探す。










いた!!!



子供たちの少し奥で、一緒に流れる温泉(子供用)に肩まで使っている。





レイアは、君を見つけて、立ちあがり手を振る。


レイア「リュウマくーん!気持ちいよ!」




・・・。





水着だ。



確かに、入り口の売店に水着が置いてあった。







リュウマ「・・・無念。」


















~数日後~

君はレイアに起こされる。


レイア「リュウマくん、魂が騒いでるよ。何かあるのかも・・・。」

不安そうなレイア。

君は右目に集中し、周囲の魂を確認する。




確かに、魂が慌ただしく動いている。

ドラちゃんも、警戒しているのか、窓から外の様子を見ている。

窓の外、上空には数多くのドローンが集結していた。

何かを探しているのか、ドローンは少し南の上空を旋回している。





レイア「もしかして、新天地から部隊が来て監視されてるのかな?」

リュウマ「機械から監視?」

レイア「そうだよ。ドローンたちは敵なんだって。」

君は子供たちに危険が及ばないようにするため、機械に気づかれる前に発電機を止める。




・・・ダダダダダ!

遠くの方で銃声が聞こえる。戦闘が始まったのだろうか・・・。






部屋に戻ると、子供たちは寝ていたが、レイアは大きな荷物を背負い外に出る支度を終わらせていた。

レイア「リュウマくんは子供たちと、ここで待ってて!私は、機械を止めれるかもしれないから、あそこのタワーに行ってくる!」

レイアの指さす先には、遠くにラジオ局のものだろうか、電波塔が建っている。



リュウマ「いや、それは危険だよ。止める方法があるんなら、僕が行くよ!」

レイア「リュウマくんは、ネットワーク言語を理解できる?私なら、機械を遠ざけることができるかもしれない!子供たちを守って!」

レイアは、君の返事を待たず、ドラちゃんの背中に乗り、外に出て行った。




君は、後を追うことも考えたが、子供たちを残していけない・・・。











~電波塔~

レイアは、魂の導きと、ドラちゃんの移動速度のおかげで、機械に見つかることなく、電波塔に到着していた。電波塔の付近には、自立戦闘型機械が集結しており、何か大変な事が起きようとしているようだった。



外から見ると、電波塔の内部は、機械やドラゴンが侵入した形跡はなく、綺麗に片付いている。体の大きいドラゴンでは、狭い階段は逆に通りにくいと考えて、レイアは単身、電波塔に入ることにした。

レイア「ドラちゃん、ありがとう。機械に見つかると危険だから、どこかで隠れてて。」




電波塔の17階が展望台になっているようで、そこを目指して非常階段を上る。

階段を上り終え、息を整えながら、大きな荷物を下ろし作業にはいる。




レイアは、持ってきたスピーカーとノートパソコンを接続し、パソコンで何かを操作し始める。











~40分後~

何度か調整をして、設定が終わったようだ。

レイアは立ち上がり、隠し持っていたハンドガンで、スピーカーの前にある展望台の窓を撃ち、椅子を投げて割りスピーカーを起動した。




周囲から発砲音が止んだ。

レイア「これで、この近辺の戦闘は回避できるわね!」



レイアは、機械の様子を見て安堵し、階段を目指す。




ガシャーン!・・・ガシャ!ガシャ!


背後で窓ガラスが割れ、何かがガラスを踏みながら近づいてくる・・・。







レイアは、階段を目指し、駆けだす!


ガシャガシャガシャガシャ!

何かは、速度を上げ、凄い勢いでレイアに近づく!





間一髪、レイアは非常階段に逃げ込んだが、その拍子に、階段を転げ落ちる!



ガタ、ガタガタガタ、ガターン!


金属製の非常階段に全身をぶつけ、鈍痛が走るが、態勢を立て直し、階段を見る。







そこには、クモのようなドラゴンが、構えていた。

クモのような足が長く先端には、鋭い鉤爪がついている。
全体の大きさは、3mほどあるだろうか。
独立して動く4つの目は、周囲の様子を確認するように、ぐるぐると目まぐるしく動いている。


レイアは、後ずさるように、下の階を目指す。

クモドラゴンは、レイアの動きを見逃さない!


徐々に間合いを詰めるクモドラゴン・・・。



パン!パン!パン!



ハンドガンで威嚇して階段を駆け下りる!



ドラゴンは、一瞬ひるんだのだろうか、その鉤爪は、レイアの左肩をかすめるにとどまった。

しかし、その衝撃で、レイアはバランスを崩し、階段を転げ落ちる!



ガタ、ガタガタガタ、ドン!





階段から転げ落ち、背中が何かにぶつかる。

下からもドラゴンが上がってきていたのか・・・。



クモのドラゴンが、上から詰め寄ってくる。

レイアは、目をつぶり、子供たちやリュウマの事を思い出す・・・。




レイア「ごめんね。」







男の声「我、魂に命じる、風の刃よ、敵を切り裂け!」




レイアの背後から聞きなれた声がする。


ヒュン!ヒュン!ヒュルルン!

・・・ドサ!




レイアが、目を開け、振り返ると、そこにはリュウマがいた。

レイア「来てくれたんだ・・・。うれしい。」

レイアは、涙を流している。



君は、レイアの涙を拭き、肩を貸し階段を下りる。

レイア「子供たちは?」

リュウマ「ちょっと悩んだけど、深海龍に任せてきた。」

レイア「泣いてないかな?」

リュウマ「パパとママが無事に帰れば大丈夫だよ。」



外に出ると、ドラちゃんも近寄ってきた。

君たちは、船着き場に子供たちを迎えに行く。


船着き場の近くでは、綺麗に切断され水浸しの機械が散乱していた。

他にもドラゴンの魂も多く浮かんでいる。


君たちが戻ると、深海龍は喜んでいるのか、声を出した。

キューイ、キュゥーーーイ!


ドラちゃんは、完全に怯えている・・・。




船の中から、元気いっぱいにアカネとコタローも飛び出してくる。

子供たち「ママー!」

レイアは、子供たちを抱きしめた。











その後、どれだけ待っても、迷彩服の軍隊は現れることがなかった・・・。















~3年後・カッパランド~

深海龍の守りと、レイアの機械のおかげで、周囲の危険は去っていた。

この土地は、人とドラゴンが共存する土地になり、海を渡ってきた生存者たちであふれている。もともとが温泉地ということもあり、地熱による食料の栽培や飲料水にも困ることはなかった。



海を渡ってきた生存者の情報などから、いくつかの事が分かった。

・北からの生存者は、レイアと同じD細胞の定着方法(シチフク式)だった。

・石の仮面を被ったホープという人間を海の向こうで見た。

・ソロモン研究所は無事で、まだシェルターの扉が閉まったまま。

・薬を配り歩いているのは、ホープと、イダと、兵士たちで、兵士たちは瞬きもせず、食事もとらず、機械のようだったということ。


「ホープ、イダ・・・。エララの仇か・・・。」








君は 家族を安全な この地に残し、南の新天地やアフロ夫婦など、周囲の様子を探りに行くことを決意した。

見送りには、家族や新しくできた近所の人たちが訪れた。



レイア「・・・本当に探しに行くの?」

リュウマ「そうだよ。このままバベルを見捨てることはできないし、タナカ(迷彩服)さんのその後も気になるからね。」

レイアは悲しそうな目をしている。




リュウマ「・・・海は渡らずに帰ってくるよ。ドラちゃんに乗ってれば、戦闘も回避できるから。」

子供たち「パパ、かならず帰ってきてね!」

リュウマ「もちろん!お姉ちゃんにお兄ちゃんなんだから、ママとカイリを守るんだぞ!」

子供たち「わかった!」



リュウマ「もし困ったことがあったら、この笛を吹くんだ。」

そういって、君は首からかけていた虹色の笛をレイアに渡す。

レイア「これは?」

リュウマ「これは、僕のDカードを魂魄を経由して共鳴させる笛だよ。カードが共鳴したときは、急いで帰ってくるからね。」

レイア「分かったわ。気をつけてね。」


レイアの抱きかかえていた赤ん坊が笛を吹く。

ピー!ピーピー!

キー!キーキーン!

コタロー「こら、カイリ、パパが出発できないだろ!」



笛を取り上げられ、泣き出す赤ん坊と、あやすレイア。

アカネが棒のようなものを笛の代わりに、赤ん坊の男の子に渡す。



君は、笑顔で別れを告げる。

リュウマ「行ってきまーす。」

一同「行ってらっしゃい!」



君はドラちゃんの背に乗り、南を目指す。山を越えずに移動することにした。

最初に目指すのは、バベルの築いた新天地だ!







 ~ to be continued







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