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リュウマ編
龍慶日記Z 第九節
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~夜・駅の終点~
途中休憩しながらも、駅の終点にたどり着いた。
ドラゴンと共に行動をしているからか、途中何度か、ドラゴン犬の群れに遭遇したが、襲われることはなかった。
レイア「終点ですね。」
リュウマ「そうだね。もうすぐで海洋研究所につくけど、今日は近くの施設で休もう。」
君たちは休めるところと探し、休むことにした。
~駅近くの施設~
レイア「リュウマくん、いま大丈夫?」
君は、Dカードの遺伝子情報の解析の手を止め、レイアの方を向く。
レイア「ごめんね。作業中に、あした向かう海洋研究所には、何があるの?」
リュウマ「ああ、海洋研究所は表向きの名前で、実際は海洋ドラゴン研究所なんだよ。
そこでは、ドラゴンに協力してもらい、海底ケーブルの管理や、日本の経済水域の安定化や、水面下での防衛なんかをやってもらってるんだ。
そういった研究所だから、そこで目の事も調べられると思うよ。」
レイア「ドラゴンって、そんなことまで出来るの!?」
リュウマ「うん。頭もいいし、適応進化の速度が極端に速いからね。」
レイア「ドラゴンって凄いんだね。ドラちゃんも可愛いし、ちゃんと接すれば怖くないのに・・・。」
リュウマ「もちろん危険なドラゴンもいるけど、それは一部なんだよ。人間から戦争や、賭け事に使われて、傷ついたドラゴンや、ストレスの発散の為に、暴力を受けたドラゴンたちの怒りの復讐なんだと思うんだ。その証拠に、僕たちの目に映るドラゴンの魂は、好意的な魂が多いでしょ。」
レイア「そうだよね。私も、リュウマくんに会うまでは、ドラゴンの魂を見るのが怖かったけど、いまは怖くないっていうか、どっちかといえば、一緒に居てくれて落ち着くっていうか・・・。自分の気持ちで、ここまで変わるなんて不思議だよね。」
リュウマ「・・・ドラゴンたちは、死滅する際に、光の粒となり、大気に広がる。その魂はすぐには消滅せず、次の生命を育む助けとなる。」
レイアは、君を見る。
リュウマ「ある科学者が言った言葉だよ。その愚かな科学者は、人もドラゴンも機械も、例外なく助け合って生きていけると考えてたんだ。・・・その結果、大事な人を失ってしまうんだ。だけど、それでも僕は、信じていたい。・・・本当に愚かだよね。」
レイアは、君の手を優しく握る。
レイア「私は、愚かだと思わないよ。リュウマくんは、正しいよ。タナカくんも言ってたけど、リュウマくんと出会えて本当に良かったって。
ドラゴンと戦うだけが全てじゃないかもしれない。共存できるドラゴンもいるんじゃないかって考えれるようになれたって。
・・・それに、ドラちゃんだって、打ち解けてるじゃない。大丈夫だよ。きっと。」
リュウマ「ありがとう。もう少し頑張ってみるよ。」
~翌日~
君たちは、身支度を整え食事をとり、ここから海洋研究所までは、ドラゴンの背に乗り、30分程度の道のりになる。
レイアも、少しづつ慣れていくために、ドラゴンの背に頑張って乗ってみることにした。
~10分後~
島に通じる橋の元に到着する。橋は爆撃にあったのか、支柱が壊れていた、崩落の危険性がある。
リュウマ「急いで渡れば、いけるかな?」
レイア「だめよ、この橋はもう渡れない。支柱が完全に折れていて、橋の中央に負荷が集中してる。見た目は大丈夫そうだけど、突風が吹いても危険な状況だよ。」
リュウマ「となると、海を泳ぐか、船を探すかだけど・・・。」
君はレイアとドラちゃんを見る。
リュウマ「船を探そうか。」
君たちは、北にあるマリーナを目指した。
途中、ドラゴンが何かの気配を感じたのか、動きを止める。
レイア「どうしたの?」
ドラゴンは、民家の方を見つめている。
リュウマ「何かあるのかな?」
君たちは、民家を警戒して確認する。
ガサ!
民家の庭から音がして、2階のカーテンが動いたように感じた。
レイア「誰かいるの?怖がらなくていいよ。」
レイアは、ドラゴンの背を降り、民家に近づく。
君は、慌ててレイアを止める。
リュウマ「危ないかもよ。」
レイア「大丈夫よ。子供みたい。」
女の子の声「・・・お姉ちゃんたちは、ドラゴンが怖くないの?」
レイア「ええ、だって、ドラちゃんはお友達だから。」
男の子の声「ほら、アカネ姉ちゃん、このお兄ちゃんたちはいい人だよ。」
女の子(アカネ)の声「うん。そうみたい。」
そういうと、庭の陰から、黒い鱗のドラゴンと、玄関の中から、体中が鱗に覆われた女の子(6歳くらい)が出てきた。
黒いドラゴンは、人間のようなシルエットをしていて2足歩行だが、トカゲのような尻尾が生え、顔はイヌのような顔で、頭には、鬼のような角が、短く2本生えている。
アカネ「あの、私はウミサチ・アカネといいます。そっちの子は、近所の4歳の男の子で、ヤマガミ・コジローです。」
鱗に覆われた女の子は、黒い鱗のドラゴンを指さしている。
コジロー「ヤマガミ・コジローです。」
二人は、ひどく怯えているようだった。
レイア「はじめまして。二人でここで暮らしていたの?」
アカネ「はい。お父さんもお母さんも、星になったんです。コジローの家は、お兄ちゃんのコタローも星になったって言ってました。」
君とレイアは、優しく二人を抱きしめる。
抱きしめられた二人は、涙を流している。
君たちに出会うまで、つらい思いを我慢していたんだろうか。二人は、暫く泣いていた。
君たちは、一緒に行動をすることにした。
~マリーナ~
君たちは、マリーナにたどり着く。
ドラゴンも一緒に乗れそうな船を探していると、アカネとコジローが、話しかけてきた。
アカネ「ねえ、お兄ちゃん。海には出ない方がいいよ。大きなドラゴンが海に住んでるの。」
コジロー「そうだよ!とっても、とっても、とっても大きいんだよ!」
レイア「そんなに大きかったら、ごはんとか大変だね。」
レイアは、子供たちの冗談に付き合ってあげる。
リュウマ「よし!この船なら動かせそうだ。」
君は、船を海に運び出し、全員で船に乗る。
コジロー「ほんとうに大丈夫?食べられたりしない?」
リュウマ「大丈夫だよ。そんなに大きいなら、もっと広い海に移動してるよ。」
君たちを乗せた船は、島の研究所を目指して海を進む。
空は晴れ、海は穏やかで、安心して航海を楽しめそうだ。
~海洋研究所~
君たちは、船を降り、船を係留する。
海洋研究所の調査艇を係留する港だ。
研究所に入り、ドラゴンを一般公開向けの展示室に待機させ、一般公開用の研究棟からエレベーターに乗り、暗証番号を入力し地下を目指す。
地下にある、海洋ドラゴン研究所には巨大な水槽と、研究用の機械が置いてある。
巨大な水槽が割れたのか、部屋中が水浸しになり、機械は使えそうにない。
レイア「ここはダメみたいね。」
リュウマ「うん。さすがに海水がかかってるから、もう使えないだろうね。」
君たちは諦め地上の3階にある倉庫に向かった。
倉庫から携帯用保存食など、必要な物資を集め、ドラゴンの待つ展示室を目指す。
展示室に戻ると、ドラゴンの姿がない。
アカネ「お姉ちゃん、あそこにドラちゃんがいるよ!」
アカネの指さす方には、海洋研究所で活躍するドラゴンの写真が飾られている。
表向きは、活躍するだが、実際はこの研究所で生まれたドラゴンたちだ。
君は、懐かしく写真を眺める。
ムラサメ博士が育てた、海洋生物保護ドラゴン【大蛇丸】
シチフク博士が育てた、防衛用ドラゴン【バルス】【ガリュス】
君が育てた、深海探索用ドラゴン【深海龍】
コジロー「アカネ姉ちゃん!あのドラゴンだ!とっても大きいやつ!」
アカネ「本当だ!お兄ちゃん、お姉ちゃん、あのドラゴンだよ!」
二人は深海龍を指さしている。
レイア「シンカイリュウ?あれ?この写真に一緒に映ってる人は、リュウマくんじゃない?」
リュウマ「そうだよ。深海龍を育てたから。確かに大きいドラゴンだけど、20mくらいだからクジラと同じくらいじゃないかな。」
レイア「確かに大きいよね。・・・あっ!こっちにお父さんもいる!」
レイアは、【バルス】【ガリュス】の写真を見ている。
リュウマ「まさか、シチフク博士の!?」
レイア「お父さんを知ってるの?」
リュウマ「写真の通り、海洋研究所で一緒に研究をしていた程度だけど・・・。」
リュウマ「なるほど、エララも、そうか、それで、いやだったら・・・。」
三人が、心配そうに君を見つめる。
君は恥ずかしそうに笑い、真剣にレイアに説明する。
リュウマ「君の目の症状を落ち着かせることができるかもしれない。シチフク博士と話をした際に、人体への投与の結果、D細胞の融合率の上下が症状として起こると聞いたことがある。それはエキソンにD細胞が直接作用してしまう結果、全遺伝情報の書き換えが行われ・・・。いや、簡単に言うと、僕の作ったD細胞で遺伝子をカバーしてあげれば大丈夫かもって話。」
三人が、不安そうに君を見つめる。
コジロー「よく分からないけど、僕たち助かるの?」
レイアは、コジローの反応に笑っている。
リュウマ「んーと、僕がレイア姉ちゃんを守るって話。」
コジローは、レイアを見つめる。
レイア「うん。お姉ちゃんは、お兄ちゃんに守ってもらうから安心って話だよ。」
コジローはアカネを見る。
アカネ「コジローは、まだ子供だからね。お兄ちゃんが、お姉ちゃんに愛の告白をして、二人は、パパとママになるって話なんだよ。」
コジローにも理解できたようで、笑顔になる。
コジロー「僕たちのパパとママになるんだね!」
アカネ「そういうこと!」
リュウマ「いや、その・・・。」
君が否定しようとすると、悲しそうな顔になる子供たち。
リュウマ「そうだよ。パパって呼んでいいよ。うん。レイアは?」
レイア「え、ええ、ママって呼んでね。」
レイアは耳を赤くして答える。
レイアは、質問したいこともあっただろうが、子供たちの面倒をみてそれどころではなさそうだ。
子供たちに手を引かれ、展示室をみんなで見て回る。
まるで、この世界が偽りであったかのような笑い声が、施設内に響き渡る。
施設を見学し、船に水や非常食を積み込み、今日はこの研究所の宿直室で休むことにした。
子供たちは、遊び疲れたのだろうか、布団をひき、横になると、すぐに眠りにつく。
レイア「ねえ、リュウマくん。まだ起きてる?」
リュウマ「うん。起きてるよ。」
レイア「私のお父さん、元気にしてた?」
リュウマ「・・・とても元気だったよ。やりがいのある研究だったからね。」
レイア「本当に?想像つかないな・・・。私が元気だったころは、お父さん、研究ばっかりで、家族での会話もなくって、研究結果にしか興味がなさそうだったから。」
リュウマ「そんなことないよ。いまは遠くにいて会えないけど、自慢の娘がいるって話を毎日してた。必ず戻ってくるんだって。」
レイアが泣き出している。
君はレイアを安心させる為に嘘をついたが、余計なことだったのだろうか。
本当のシチフク博士は、変わり者で研究の為なら何でもすることから、同僚からは嫌われていた。レイアはそれを知っていたのか・・・。
リュウマ「レイア、大丈夫?」
君は、泣いているレイアの横に座る。
レイア「うん。ありがとう。お父さん、みんなから嫌われてたんじゃないかって心配だった。本当は凄くいい人なんだよ・・・。リュウマくん、嘘でも嬉しい。」
レイアは起き上がり、笑顔を見せる。彼女の笑顔は、天使のように美しかった。
~翌朝~
君が目を覚ますと、宿直室の台所から、声が聞こえる。
レイア「ほら、コジロー、パパを起こしてきて。アカネは料理を並べてくれてるよ。」
コジロー「はーい。」
勢いよく扉を開けてコジローが入ってくる。
コジロー「パパー起きてーごはんだよー。」
リュウマ「おはよー!みんな早起きだね。」
アカネも君を起こしに来る。
アカネ「今日の朝ごはんは、アカネとママで作ったんだよ!早く来ないと食べちゃうよー。」
君は布団をたたみ、食卓についた。
レイア「ねえ、リュウマくん。出発する前に子供たちを連れて遊びに行ってもいいかな?」
リュウマ「いいけど、どこに行くの?」
コジロー「船に乗ってイルカを見に行くんだよ!」
アカネ「もう逃げちゃってるかもしれないけど、近くにイルカの家があるんだ。そこにコジローが見に行きたいって言ってるの。」
リュウマ「いいよ。じゃあ、朝ごはんを食べたら、船に乗ってイルカを見に行こうか。そのまま海が安全なら、航路で東を目指してもいいよね。」
レイア「よかったね。じゃあ、みんな朝ごはんを食べたら準備しようね。」
子供たち「はーい、ママ。」
朝食を終え、船に乗り込み、西へと進む。
しばらく進むと、イルカたちが寄ってきた。
子供たちは楽しそうにしている。
レイア「イルカを見にきてよかったね。二人ともあんなに喜んでるよ。」
そう話すレイアも、とても楽しそうだ。
しばらくイルカを見た後、船を北に向けて進ませる。
君は、海は安全と判断し、航路を進むことにした。
太陽が海に沈み、海を星々が照らし始める。
レイア「船旅ってなんだか、素敵ね。」
アカネ「ママ、夜になったら大きなドラゴンが襲ってくるんじゃないかな?」
コジロー「えっ!夜はドラゴンが来るの!」
レイア「大丈夫よ。ほら、二人とも、下に行こう眠る時間だよ。」
レイアは子供たちを寝かしつけに行く。
リュウマとドラゴンは、念のために警戒しながら船を進める。
ドラゴンが何かに気づく。
リュウマ「ドラゴンが来たのか?」
ドラゴンは、南の海を見つめている。
星を映す海が大きく盛り上がっている。
リュウマ「まずいな・・・。全速力で水深の浅い場所まで逃げ込もう!」
船を動かし、水深の浅そうな入江を目指す。
巨大なドラゴンであれば水深の浅い海には入ってこないだろう。
船は座礁するかもしれないが、命には代えられない。
そう判断した君は、船を全速力で動かす。
海の盛り上がりは、船と一定の距離を保って後を追ってくる。
襲ってくる様子は、いまのところ見られない。
異変に気付き、下からレイアが上がってくる。
レイア「リュウマくん、どうしたの?子供たちを起こした方がいい?」
リュウマ「ああ、いまドラゴンに追われてる!」
レイアは後方を確認する。
レイアがドラゴンの魂に気づき、落ち着いた声で君に話しかける。
レイア「リュウマくん、このドラゴン、この船を襲う気はないみたいだよ。」
リュウマ「分かるの?」
レイア「うん。なんとなくだけど・・・。」
リュウマはレイアを信じ、船の速度を落としていく。
海面の盛り上がりも徐々に落ち着いていく。
君が船を止めると、海面の盛り上がりもなくなっていた。
レイア「ゆっくり上がってきてね。子供たちが起きちゃうから。」
海に向かって優しく話しかける。
すると、海の中から規格外の巨大なドラゴンが顔を出した。
そのドラゴンは、頭部だけで、この船と同じかそれ以上の大きさがあり、目は正面に4つ、左右対称に2つの目が縦に合計8つの目を持っている。
頭部は、大理石のようなもので覆われ、頭の付け根からは、人の親指程の太い毛が大量に生えている。
体は大型バス程の太さで、蛇のように長く伸び、鱗に覆われている。
その体は、暗闇の夜に肉眼では確認できないほど遠くまで体が続いている。
リュウマ「・・・深海龍なのか?」
規格外のドラゴンは、船を傷つけないように、そっと動く。
その姿は、まるで頷いているようにも見えた。
レイア「こんなに大きかったの?」
リュウマ「いや、大きいっていっても、20mくらいだったんだけど・・・。」
ドラちゃんは、超規格外のドラゴンに完全に怯えてしまい、身動きも取れないようだった。
レイア「みんなで一緒に行きたいの?」
先ほどと同じように、そっと頷く。
レイア「リュウマくん、悪いドラゴンじゃないし、行けるところまで一緒に行動したら?」
リュウマ「そうだね。深海龍、宜しくね。」
深海龍は、うれしかったのか、少し大きめに頷いた。その巨体の波は、船を大きく上下させる。
深海龍が襲ってくることはないだろうが、深海龍以上の大きさのドラゴンに襲われれば、ひとたまりもない。
君たちは、なるべく陸地沿いに進路をとることにした。
~2日後~
夜間は休息をとり、無事に目的地付近の港に辿り着いた。
しかし、海の移動は危険が伴うことが大いに証明された。
この二日間、大型バス程の巨大なサメや、タコのような巨大な触手を何度も見かけた。
しかし、君たちの船の横を並走するように深海龍が泳いでいた為、巨大な生物たちは、船に近寄ることはできなかったようだ。
子供たちは、安全と分かると、レイアと一緒に巨大な生物たちを楽しそうに見ていた。
君たちは、陸地に降り、カッパランドを目指すことにする。
深海龍に説明したけど、分かってもらえたのだろうか、いまは港の周囲を遊泳しているようだ。
途中休憩しながらも、駅の終点にたどり着いた。
ドラゴンと共に行動をしているからか、途中何度か、ドラゴン犬の群れに遭遇したが、襲われることはなかった。
レイア「終点ですね。」
リュウマ「そうだね。もうすぐで海洋研究所につくけど、今日は近くの施設で休もう。」
君たちは休めるところと探し、休むことにした。
~駅近くの施設~
レイア「リュウマくん、いま大丈夫?」
君は、Dカードの遺伝子情報の解析の手を止め、レイアの方を向く。
レイア「ごめんね。作業中に、あした向かう海洋研究所には、何があるの?」
リュウマ「ああ、海洋研究所は表向きの名前で、実際は海洋ドラゴン研究所なんだよ。
そこでは、ドラゴンに協力してもらい、海底ケーブルの管理や、日本の経済水域の安定化や、水面下での防衛なんかをやってもらってるんだ。
そういった研究所だから、そこで目の事も調べられると思うよ。」
レイア「ドラゴンって、そんなことまで出来るの!?」
リュウマ「うん。頭もいいし、適応進化の速度が極端に速いからね。」
レイア「ドラゴンって凄いんだね。ドラちゃんも可愛いし、ちゃんと接すれば怖くないのに・・・。」
リュウマ「もちろん危険なドラゴンもいるけど、それは一部なんだよ。人間から戦争や、賭け事に使われて、傷ついたドラゴンや、ストレスの発散の為に、暴力を受けたドラゴンたちの怒りの復讐なんだと思うんだ。その証拠に、僕たちの目に映るドラゴンの魂は、好意的な魂が多いでしょ。」
レイア「そうだよね。私も、リュウマくんに会うまでは、ドラゴンの魂を見るのが怖かったけど、いまは怖くないっていうか、どっちかといえば、一緒に居てくれて落ち着くっていうか・・・。自分の気持ちで、ここまで変わるなんて不思議だよね。」
リュウマ「・・・ドラゴンたちは、死滅する際に、光の粒となり、大気に広がる。その魂はすぐには消滅せず、次の生命を育む助けとなる。」
レイアは、君を見る。
リュウマ「ある科学者が言った言葉だよ。その愚かな科学者は、人もドラゴンも機械も、例外なく助け合って生きていけると考えてたんだ。・・・その結果、大事な人を失ってしまうんだ。だけど、それでも僕は、信じていたい。・・・本当に愚かだよね。」
レイアは、君の手を優しく握る。
レイア「私は、愚かだと思わないよ。リュウマくんは、正しいよ。タナカくんも言ってたけど、リュウマくんと出会えて本当に良かったって。
ドラゴンと戦うだけが全てじゃないかもしれない。共存できるドラゴンもいるんじゃないかって考えれるようになれたって。
・・・それに、ドラちゃんだって、打ち解けてるじゃない。大丈夫だよ。きっと。」
リュウマ「ありがとう。もう少し頑張ってみるよ。」
~翌日~
君たちは、身支度を整え食事をとり、ここから海洋研究所までは、ドラゴンの背に乗り、30分程度の道のりになる。
レイアも、少しづつ慣れていくために、ドラゴンの背に頑張って乗ってみることにした。
~10分後~
島に通じる橋の元に到着する。橋は爆撃にあったのか、支柱が壊れていた、崩落の危険性がある。
リュウマ「急いで渡れば、いけるかな?」
レイア「だめよ、この橋はもう渡れない。支柱が完全に折れていて、橋の中央に負荷が集中してる。見た目は大丈夫そうだけど、突風が吹いても危険な状況だよ。」
リュウマ「となると、海を泳ぐか、船を探すかだけど・・・。」
君はレイアとドラちゃんを見る。
リュウマ「船を探そうか。」
君たちは、北にあるマリーナを目指した。
途中、ドラゴンが何かの気配を感じたのか、動きを止める。
レイア「どうしたの?」
ドラゴンは、民家の方を見つめている。
リュウマ「何かあるのかな?」
君たちは、民家を警戒して確認する。
ガサ!
民家の庭から音がして、2階のカーテンが動いたように感じた。
レイア「誰かいるの?怖がらなくていいよ。」
レイアは、ドラゴンの背を降り、民家に近づく。
君は、慌ててレイアを止める。
リュウマ「危ないかもよ。」
レイア「大丈夫よ。子供みたい。」
女の子の声「・・・お姉ちゃんたちは、ドラゴンが怖くないの?」
レイア「ええ、だって、ドラちゃんはお友達だから。」
男の子の声「ほら、アカネ姉ちゃん、このお兄ちゃんたちはいい人だよ。」
女の子(アカネ)の声「うん。そうみたい。」
そういうと、庭の陰から、黒い鱗のドラゴンと、玄関の中から、体中が鱗に覆われた女の子(6歳くらい)が出てきた。
黒いドラゴンは、人間のようなシルエットをしていて2足歩行だが、トカゲのような尻尾が生え、顔はイヌのような顔で、頭には、鬼のような角が、短く2本生えている。
アカネ「あの、私はウミサチ・アカネといいます。そっちの子は、近所の4歳の男の子で、ヤマガミ・コジローです。」
鱗に覆われた女の子は、黒い鱗のドラゴンを指さしている。
コジロー「ヤマガミ・コジローです。」
二人は、ひどく怯えているようだった。
レイア「はじめまして。二人でここで暮らしていたの?」
アカネ「はい。お父さんもお母さんも、星になったんです。コジローの家は、お兄ちゃんのコタローも星になったって言ってました。」
君とレイアは、優しく二人を抱きしめる。
抱きしめられた二人は、涙を流している。
君たちに出会うまで、つらい思いを我慢していたんだろうか。二人は、暫く泣いていた。
君たちは、一緒に行動をすることにした。
~マリーナ~
君たちは、マリーナにたどり着く。
ドラゴンも一緒に乗れそうな船を探していると、アカネとコジローが、話しかけてきた。
アカネ「ねえ、お兄ちゃん。海には出ない方がいいよ。大きなドラゴンが海に住んでるの。」
コジロー「そうだよ!とっても、とっても、とっても大きいんだよ!」
レイア「そんなに大きかったら、ごはんとか大変だね。」
レイアは、子供たちの冗談に付き合ってあげる。
リュウマ「よし!この船なら動かせそうだ。」
君は、船を海に運び出し、全員で船に乗る。
コジロー「ほんとうに大丈夫?食べられたりしない?」
リュウマ「大丈夫だよ。そんなに大きいなら、もっと広い海に移動してるよ。」
君たちを乗せた船は、島の研究所を目指して海を進む。
空は晴れ、海は穏やかで、安心して航海を楽しめそうだ。
~海洋研究所~
君たちは、船を降り、船を係留する。
海洋研究所の調査艇を係留する港だ。
研究所に入り、ドラゴンを一般公開向けの展示室に待機させ、一般公開用の研究棟からエレベーターに乗り、暗証番号を入力し地下を目指す。
地下にある、海洋ドラゴン研究所には巨大な水槽と、研究用の機械が置いてある。
巨大な水槽が割れたのか、部屋中が水浸しになり、機械は使えそうにない。
レイア「ここはダメみたいね。」
リュウマ「うん。さすがに海水がかかってるから、もう使えないだろうね。」
君たちは諦め地上の3階にある倉庫に向かった。
倉庫から携帯用保存食など、必要な物資を集め、ドラゴンの待つ展示室を目指す。
展示室に戻ると、ドラゴンの姿がない。
アカネ「お姉ちゃん、あそこにドラちゃんがいるよ!」
アカネの指さす方には、海洋研究所で活躍するドラゴンの写真が飾られている。
表向きは、活躍するだが、実際はこの研究所で生まれたドラゴンたちだ。
君は、懐かしく写真を眺める。
ムラサメ博士が育てた、海洋生物保護ドラゴン【大蛇丸】
シチフク博士が育てた、防衛用ドラゴン【バルス】【ガリュス】
君が育てた、深海探索用ドラゴン【深海龍】
コジロー「アカネ姉ちゃん!あのドラゴンだ!とっても大きいやつ!」
アカネ「本当だ!お兄ちゃん、お姉ちゃん、あのドラゴンだよ!」
二人は深海龍を指さしている。
レイア「シンカイリュウ?あれ?この写真に一緒に映ってる人は、リュウマくんじゃない?」
リュウマ「そうだよ。深海龍を育てたから。確かに大きいドラゴンだけど、20mくらいだからクジラと同じくらいじゃないかな。」
レイア「確かに大きいよね。・・・あっ!こっちにお父さんもいる!」
レイアは、【バルス】【ガリュス】の写真を見ている。
リュウマ「まさか、シチフク博士の!?」
レイア「お父さんを知ってるの?」
リュウマ「写真の通り、海洋研究所で一緒に研究をしていた程度だけど・・・。」
リュウマ「なるほど、エララも、そうか、それで、いやだったら・・・。」
三人が、心配そうに君を見つめる。
君は恥ずかしそうに笑い、真剣にレイアに説明する。
リュウマ「君の目の症状を落ち着かせることができるかもしれない。シチフク博士と話をした際に、人体への投与の結果、D細胞の融合率の上下が症状として起こると聞いたことがある。それはエキソンにD細胞が直接作用してしまう結果、全遺伝情報の書き換えが行われ・・・。いや、簡単に言うと、僕の作ったD細胞で遺伝子をカバーしてあげれば大丈夫かもって話。」
三人が、不安そうに君を見つめる。
コジロー「よく分からないけど、僕たち助かるの?」
レイアは、コジローの反応に笑っている。
リュウマ「んーと、僕がレイア姉ちゃんを守るって話。」
コジローは、レイアを見つめる。
レイア「うん。お姉ちゃんは、お兄ちゃんに守ってもらうから安心って話だよ。」
コジローはアカネを見る。
アカネ「コジローは、まだ子供だからね。お兄ちゃんが、お姉ちゃんに愛の告白をして、二人は、パパとママになるって話なんだよ。」
コジローにも理解できたようで、笑顔になる。
コジロー「僕たちのパパとママになるんだね!」
アカネ「そういうこと!」
リュウマ「いや、その・・・。」
君が否定しようとすると、悲しそうな顔になる子供たち。
リュウマ「そうだよ。パパって呼んでいいよ。うん。レイアは?」
レイア「え、ええ、ママって呼んでね。」
レイアは耳を赤くして答える。
レイアは、質問したいこともあっただろうが、子供たちの面倒をみてそれどころではなさそうだ。
子供たちに手を引かれ、展示室をみんなで見て回る。
まるで、この世界が偽りであったかのような笑い声が、施設内に響き渡る。
施設を見学し、船に水や非常食を積み込み、今日はこの研究所の宿直室で休むことにした。
子供たちは、遊び疲れたのだろうか、布団をひき、横になると、すぐに眠りにつく。
レイア「ねえ、リュウマくん。まだ起きてる?」
リュウマ「うん。起きてるよ。」
レイア「私のお父さん、元気にしてた?」
リュウマ「・・・とても元気だったよ。やりがいのある研究だったからね。」
レイア「本当に?想像つかないな・・・。私が元気だったころは、お父さん、研究ばっかりで、家族での会話もなくって、研究結果にしか興味がなさそうだったから。」
リュウマ「そんなことないよ。いまは遠くにいて会えないけど、自慢の娘がいるって話を毎日してた。必ず戻ってくるんだって。」
レイアが泣き出している。
君はレイアを安心させる為に嘘をついたが、余計なことだったのだろうか。
本当のシチフク博士は、変わり者で研究の為なら何でもすることから、同僚からは嫌われていた。レイアはそれを知っていたのか・・・。
リュウマ「レイア、大丈夫?」
君は、泣いているレイアの横に座る。
レイア「うん。ありがとう。お父さん、みんなから嫌われてたんじゃないかって心配だった。本当は凄くいい人なんだよ・・・。リュウマくん、嘘でも嬉しい。」
レイアは起き上がり、笑顔を見せる。彼女の笑顔は、天使のように美しかった。
~翌朝~
君が目を覚ますと、宿直室の台所から、声が聞こえる。
レイア「ほら、コジロー、パパを起こしてきて。アカネは料理を並べてくれてるよ。」
コジロー「はーい。」
勢いよく扉を開けてコジローが入ってくる。
コジロー「パパー起きてーごはんだよー。」
リュウマ「おはよー!みんな早起きだね。」
アカネも君を起こしに来る。
アカネ「今日の朝ごはんは、アカネとママで作ったんだよ!早く来ないと食べちゃうよー。」
君は布団をたたみ、食卓についた。
レイア「ねえ、リュウマくん。出発する前に子供たちを連れて遊びに行ってもいいかな?」
リュウマ「いいけど、どこに行くの?」
コジロー「船に乗ってイルカを見に行くんだよ!」
アカネ「もう逃げちゃってるかもしれないけど、近くにイルカの家があるんだ。そこにコジローが見に行きたいって言ってるの。」
リュウマ「いいよ。じゃあ、朝ごはんを食べたら、船に乗ってイルカを見に行こうか。そのまま海が安全なら、航路で東を目指してもいいよね。」
レイア「よかったね。じゃあ、みんな朝ごはんを食べたら準備しようね。」
子供たち「はーい、ママ。」
朝食を終え、船に乗り込み、西へと進む。
しばらく進むと、イルカたちが寄ってきた。
子供たちは楽しそうにしている。
レイア「イルカを見にきてよかったね。二人ともあんなに喜んでるよ。」
そう話すレイアも、とても楽しそうだ。
しばらくイルカを見た後、船を北に向けて進ませる。
君は、海は安全と判断し、航路を進むことにした。
太陽が海に沈み、海を星々が照らし始める。
レイア「船旅ってなんだか、素敵ね。」
アカネ「ママ、夜になったら大きなドラゴンが襲ってくるんじゃないかな?」
コジロー「えっ!夜はドラゴンが来るの!」
レイア「大丈夫よ。ほら、二人とも、下に行こう眠る時間だよ。」
レイアは子供たちを寝かしつけに行く。
リュウマとドラゴンは、念のために警戒しながら船を進める。
ドラゴンが何かに気づく。
リュウマ「ドラゴンが来たのか?」
ドラゴンは、南の海を見つめている。
星を映す海が大きく盛り上がっている。
リュウマ「まずいな・・・。全速力で水深の浅い場所まで逃げ込もう!」
船を動かし、水深の浅そうな入江を目指す。
巨大なドラゴンであれば水深の浅い海には入ってこないだろう。
船は座礁するかもしれないが、命には代えられない。
そう判断した君は、船を全速力で動かす。
海の盛り上がりは、船と一定の距離を保って後を追ってくる。
襲ってくる様子は、いまのところ見られない。
異変に気付き、下からレイアが上がってくる。
レイア「リュウマくん、どうしたの?子供たちを起こした方がいい?」
リュウマ「ああ、いまドラゴンに追われてる!」
レイアは後方を確認する。
レイアがドラゴンの魂に気づき、落ち着いた声で君に話しかける。
レイア「リュウマくん、このドラゴン、この船を襲う気はないみたいだよ。」
リュウマ「分かるの?」
レイア「うん。なんとなくだけど・・・。」
リュウマはレイアを信じ、船の速度を落としていく。
海面の盛り上がりも徐々に落ち着いていく。
君が船を止めると、海面の盛り上がりもなくなっていた。
レイア「ゆっくり上がってきてね。子供たちが起きちゃうから。」
海に向かって優しく話しかける。
すると、海の中から規格外の巨大なドラゴンが顔を出した。
そのドラゴンは、頭部だけで、この船と同じかそれ以上の大きさがあり、目は正面に4つ、左右対称に2つの目が縦に合計8つの目を持っている。
頭部は、大理石のようなもので覆われ、頭の付け根からは、人の親指程の太い毛が大量に生えている。
体は大型バス程の太さで、蛇のように長く伸び、鱗に覆われている。
その体は、暗闇の夜に肉眼では確認できないほど遠くまで体が続いている。
リュウマ「・・・深海龍なのか?」
規格外のドラゴンは、船を傷つけないように、そっと動く。
その姿は、まるで頷いているようにも見えた。
レイア「こんなに大きかったの?」
リュウマ「いや、大きいっていっても、20mくらいだったんだけど・・・。」
ドラちゃんは、超規格外のドラゴンに完全に怯えてしまい、身動きも取れないようだった。
レイア「みんなで一緒に行きたいの?」
先ほどと同じように、そっと頷く。
レイア「リュウマくん、悪いドラゴンじゃないし、行けるところまで一緒に行動したら?」
リュウマ「そうだね。深海龍、宜しくね。」
深海龍は、うれしかったのか、少し大きめに頷いた。その巨体の波は、船を大きく上下させる。
深海龍が襲ってくることはないだろうが、深海龍以上の大きさのドラゴンに襲われれば、ひとたまりもない。
君たちは、なるべく陸地沿いに進路をとることにした。
~2日後~
夜間は休息をとり、無事に目的地付近の港に辿り着いた。
しかし、海の移動は危険が伴うことが大いに証明された。
この二日間、大型バス程の巨大なサメや、タコのような巨大な触手を何度も見かけた。
しかし、君たちの船の横を並走するように深海龍が泳いでいた為、巨大な生物たちは、船に近寄ることはできなかったようだ。
子供たちは、安全と分かると、レイアと一緒に巨大な生物たちを楽しそうに見ていた。
君たちは、陸地に降り、カッパランドを目指すことにする。
深海龍に説明したけど、分かってもらえたのだろうか、いまは港の周囲を遊泳しているようだ。
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