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リュウマ編
龍慶日記 第一節
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これは、一人の青年の物語。
彼は、遠くない未来、竜を制した英雄である。
彼の名は【リュウマ】
彼の目を通して、君の冒険が始まる。
君は人々を救うことができるだろうか。
それとも・・
『火の七日間から、半年がたった』
シェルター内は、マザーコンピューター【インディ】により管理され、人々は快適とまではいかないが、何不自由なく過ごしていた。
ウゥーン!ウゥーン!ウゥーン!
しかし、普段と変わらない日常は、【インディ】の発した警報により、一変する。
君は、警報を聞き、警備責任者や施設長とともに、【インディ】の元に駆けつけた。
~司令室~
警備責任者「どうしたんだ、インディ 何があったんだ」
無精髭の男が、モニターに向かって話しかける。
天井のスピーカーから、男性の声が聞こえる。
インディ「はい。マザーコンピューター【インディ】内に不正アクセスがありました。現状は、不正アクセスのあった軍事研究施設バベルのマザーコンピューター【リルム】とのネットワークを切断しています。ネットワーク言語を利用していた為、人間ではないと想定されます。」
警備責任者「ネットワーク言語?」
インディ「はい。我々コンピューターがより多い情報量を瞬時にやり取りする言語です。ネットワーク言語を使うことで、空振による機械の操作も可能になります。」
リュウマ「音で機械を動かすってことだね。」
インディ「はい。簡単に言えば、その通りです。」
警備責任者「なぜ、わざわざネットワーク言語を使ってアクセスしてくるんだ?」
インディ「想定される理由は、研究情報のハッキングなどでしょうが、我々は外部ネットワークとの接触を物理的に制限されています。我々のネットワーク内に侵入する方法は、2通りしかありません。
1つ目はマザーコンピューター【リルム】内に侵入して直接操作し接続する方法、
2つ目は軍事施設バベルより、ネットワーク言語を使い不正にアクセスする方法の2通りです。」
厚いメガネをかけた、初老の男性が口を開く。
施設長「なるほど。バベルでは軍事研究も進めていたから、それを狙っての犯行か」
警備責任者「しかし、外はドラゴン達であふれているはず。どうやって軍事施設まで辿り着いたんだ?」
リュウマ「ここで議論しても分からないことばかりでしょう。私が行って確認してきます。あれから半年、外の様子も知るべきタイミングでしょうから。」
施設長「しかし、博士が行くとなれば、シェルター内に残された我々は不安でたまりません。外の様子も分からないし、もう少し様子をみてからにしませんか。」
リュウマ「シェルター内は、インディがいるから問題ないでしょう。この半年、特に問題も起きていないし、ドラゴン達も防御壁の内側には入ってこれないのは、火の七日間で実証済みです。それに、わたしは、どうしても外に出て確認したいこともある。わがままですみません。」
警備責任者「兄弟のことですよね。失礼なことを言うようですが、さすがに・・・。」
無精髭の男は、気まずそうに話す。
リュウマ「・・・。」
リュウマ「わかりました。では、もう一度考えてみます。」
返事をする君からは、元気を感じない。
場を和ませようと、施設長が作り笑顔で話す。
施設長「それがいいですよ。では、来週の節句の祭りの準備をしましょうか。祭りでみんなの気分を盛り上げるのはいい案でしたよ。」
リュウマ「そうですね。では、後程。」
君は、思いつめているような眼をしている。
~その日の夜・防御壁メインゲート~
君は、メインゲートの前に立つ。
メインゲート近くのスピーカーから声が聞こえる。
インディ「Dr.リュウマ、メインゲートのロックは開けておきました。」
リュウマ「ありがとう。私が出た後は、メインゲートのロックを頼む。」
インディ「了解しました。現在、外部よりメインゲートを開く手段は、マスターキーを使うことのみですが、大丈夫でしょうか。」
リュウマ「うん。弟を見つけてマスターキーをもらってくるよ。」
インディ「Dr.リュウマ、お気をつけて。」
こうして君の冒険は始まった。
後の『火の七日間』と呼ばれる、大事件以降、君は初めてシェルターの外の世界を見た。
破壊はすさまじく、ビルや建造物は瓦礫の山と化し、森は荒野へと姿を変えていた。
半年ほど前の、街の面影は一切なく、人間はおろか、動物や昆虫でさえもいない、死の世界と化していた。
君は辺りを見渡す。君の知っている世界とは違う。見たこともない程に破壊され、研究所は原型を留めていない。
自身を奮い立たせるように、声を出す。
リュウマ「さて、まずは、バベル付近にある、山小屋を目指そう。山小屋には、緊急時の装備一式が保存してあるはずだ。先を急ごう!」
幸い、満月ということもあり、外は比較的明るい。持っていたライトの明かりがなくても、目が慣れれば十分に目視できるだろう。
暫く先に進むと、瓦礫の陰に何か、うごめく影を見つけた。
君は、息を殺して、うごめく影の様子を見ることにした。
うごめく影は月明りを浴び、犬のような姿をみせた。
しかし、犬と呼ぶことはできない威圧感がある。
しばらくすると、うごめく影は何処かへ行ってしまったようだ。
見たことのない生物だが、ドラゴンの変種なのだろうか、夜間の移動は危険も伴いそうだ。
君は、休めそうな廃墟を見つけて休むことにした。
~2日目~
空は青く、天気がいい。
リュウマ「さあ、軍事施設バベルを目指して行動しよう!」
夜間の移動は危険が伴う。明るいうちに、できるだけ移動し休めそうな場所も確保しておきたい。
できれば乗り物を使いたかったのだが、大破していて使えそうな物はなさそうだった。
道のりは長い、歩きやすい道路であれば助かるが、道路の舗装はめくれ上がったり、陥没していたりと道のりは決して楽に歩ける工程ではなさそうだ。
君は、先を目指して歩き出した。
見なれたはずの、自宅近くも、まったく違う土地を歩いているような感覚になる。
自宅のあった場所を通り過ぎようとしたとき、一匹の猫が近づいてきた。
ネコ「ニャーン」
リュウマ「あっ!」
この猫は、妹が飼っていた猫だ!たしか名前は・・・。
リュウマ「ロングブーツ、こっちにおいで。」
ネコ「ニャーン」
リュウマ「こんなとこで、お前に会うなんて、ヒマリも無事なのかな?」
ネコ「ニャン」
リュウマ「こんな食べるものもないような土地で、どうやって生き延びてたんだ?」
ネコ「ニャンニャニャン」
リュウマ「ネコのお前に話しかけても分からないよね。」
リュウマ「ニャンニャン」
ネコ「そうだよね、ふつうは言葉とか通じないもんね。」
リュウマ「・・・!」
リュウマ「ロングブーツ・・・さん?」
ネコ「何?」
どうやら、ロングブーツは話ができるようだ。
ロングブーツの話によれば、ヒマリは無事に隠れているそうだが、いまは案内できないとのことだった。
ロングブーツの持ってきた手紙によれば、世界中に放射能が拡散されているようで、いま妹は、シェルター内に隠れているらしい。
妹を何も対策することなく、外に出すのは、愚かな行為でしかない。
それに、外に出ている、君の命もそう長くないかもしれない・・・。
ロングブーツは、仲間を探しに冒険に行くそうだ。
別れ際に、ロングブーツは、一つの指環をくれた。
君は、ロングブーツに手紙と指環をもらったお礼を言って別れた。
リュウマ「放射能の影響なのか?まさか、猫と会話をする日がくるなんて。」
どのくらい歩いたのだろうか、太陽は真上にきている。
見渡す限り、瓦礫の山で、静寂に包まれている街中を歩いていると妙な感覚になる。
時折、原形をかろうじて留めている建造物もある。
日も沈みかけてきた時、最初の分岐点に辿り着いた。
ここからは、街中を通る回り道と、山中を通る近道があるが、どちらを通ろうか。
山は、山火事にでもあったのだろうか、黒く燃えてしまっているところも目立つ。
急いだほうがいいことは分かるが、あの【犬のような生物】も気になるし、たどり着く前に死んでしまっては意味がない。
君は、少し考えた結果、隠れることのできる場所が多い、街中を歩くことに決めた。
街中であれば、時間はかかるが、安全に行動することができるだろう。
今日は、野宿をして明日の朝に出発することにしよう。
~3日目~
翌朝、日の出とともに、行動を開始した。
昨日の疲れからか、体中がだるく重い感覚におそわれる。
街の郊外に差し掛かった時、大型ショッピングモールの廃墟をみつけた。
かなり原形を留めていた為、中を散策することもできるだろう。
君は、何か使えるものがあるかもしれない。
そう期待してショッピングモールに寄ることにした。
~ショッピングモール~
近くまで来ると、異様な感じがした。
駐車場の車両はバリケードを作っているかのような配置になっているし、車両バリケードの外側には、【犬のような生物】の死骸も散乱している。
君がバリケードに近づくと、建物の方から声が聞こえた。
「おーい!いまドラゴン犬の群れがこちらに向かってるぞ!早く2階駐車場に走ってこい!」
君は、2階駐車場に向かって走った。
走り始めると、すぐ後ろで殺気を感じた。
ダダダダダダダダッ! 銃声が鳴り響く。
君が、2階駐車場のバリケードに着くころには、後ろを追っていた【犬のような生物】の死骸から流れる血が、滝のようになっていた。
迷彩服を着た男たちが寄ってくる。
迷彩服「おい、大丈夫か?」
リュウマ「はい、ありがとうございます。助かりました。」
別の迷彩服「防護服も着らずに、君は私たちと同じ、強化人間なのかい?」
リュウマ「強化人間!?」
※【強化人間】とは、D(ドラゴン)細胞ができたばかりのころから研究していた、人間とD細胞の融合実験のことで、ソロモン研究所での実験では、動物実験では適合率の安定値も98%まで高まっていたが、適合率次第で、宿主をドラゴンに変態させてしまうことを理由に、軍の上層部から中止にされた実験である。
リュウマ「いえ、強化人間ですか?」
君は、彼らの素性も分からないので、【ソロモンのシェルター】のことや、【バベル】に向かっていることなどを伏せて話をすることにした。
彼らの話では、彼らは、もともと軍人ではなく、第9シェルターの生き残りの民間人だそうだ、適合者である彼らは、有志で強化人間になり、ドラゴン犬の退治をしているとのことだ。
しかし、この付近で生き残りのドラゴンの攻撃に遭い、ほぼ壊滅状態で通信手段もなく、隊長の命令でバリケードをはって死守しているらしい。
この場所は立地もよく、ショッピングモール内に、非常食も豊富にあるので、バリケードを築くにはもってこいの場所だったのだろう。
正式な軍人は隊長だけだが、隊長は単身、ドラゴンの生き残りを追って、山に向かったそうだ。
リュウマ「いくら強化人間の軍人とはいえ、一人で大丈夫なんですか」
迷彩服「隊長なら大丈夫だろう。我々がいなければ、もしかすると、隊長一人でドラゴンを倒していたかもしれないほどなんだぞ。」
別の迷彩服「俺らをかばうため、ドラゴンを逃がしてしまったくらいだから。隊長一人なら、まったく問題ないだろう。俺らは、ここで隊長の凱旋を待つだけさ。君もここで隊長を待つといい。」
リュウマ「ありがとうございます。しかし、私は弟を探しているので。先に進みます。」
迷彩服「そうか。武器も持ってないようだし、ドラゴン犬に襲われたらひとたまりもないだろう。」
そういうと、彼は持っていた、ハンドガンと弾薬を、君にくれた。
迷彩服「少ない物資だが、君には必要みたいだからな、持っていくといい。心配するな、隊長は理解してくれるから。」
別の迷彩服「弟さん、見つかるといいな。」
リュウマ「ありがとうございます。」
君は、彼らにお礼を言い、先を目指すことにした。
~街中~
ショッピングモールを抜けて川沿いに歩くと、街が見えてきた。
街に入っても、相変わらず人影も見えない。
とくにイベントもなく、街を通過していく。
~街の外れ~
街の外れに辿り着くころには、すっかりと日も暮れていた。
君は、山小屋に向かう前に休息をとることにした。
歩くペースが落ちている。このままだと、ここから2日はかかる道のりだ。
休めそうなコンテナを見つける。
辺りは、虫の音や物音ひとつしない静寂の闇だ。
ふと、空を見上げた。
大小様々な星は光瞬き、いままでに見たこともないほどに、美しかった。
君は、疲労からか、そのまま星を見上げるように、眠ってしまったようだ。
~4日目・夜明け~
君は、寒さで目が覚めた。
頭が痛く、吐き気もある。
防寒具を着ていても寒さを感じる。風邪だといいんだが。
寝ている最中に何か、夢を見た気がしたのだが、思い出せない。
ここからだと、日が暮れる頃には、山道に辿り着く。
時間もたっぷりあるし、道中、思い出すかもしれない。
君は、先を急ぐことにした。
特に問題もなく、道のりを進むことができた、日暮れ頃には、山道に辿り着けそうだ。
ただ、昨日見た夢を思い出すことはできなかった。
起きてすぐなら、もしかしたら思い出せたかもしれなかっただろう。
~山道~
いよいよ、山道に辿り着いた。
日も暮れ始めたが、君は山小屋を目指すことにした。
山小屋には、21時頃には到着できるだろう。
多少、危険も承知だが、このまま野宿をするよりかは、山小屋に辿り着くことができれば、はるかに安全な気がしたからだ。
君は、闇の中を、月明かりと手元のライトで進み始めた。
心配をよそに、襲われることなく君は、山小屋に辿り着いた。
山小屋には、窓のない部屋(物置)もあり、そこで睡眠をとることにした。
~5日目~
目が覚めた。
今日は、ぐっすり寝れたからだろうか、比較的体調もいい。
どれくらい寝たのだろうか、窓がないため、時間の感覚がつかめない。
時計を見ると、11時をまわっていた。
バベルに向かうために、倉庫で装備を整えることにした。
準備をしようと鏡を見たとき、異変に気付いた。
特にぶつけた記憶もないのに、鼻血で服が赤く染まっている。
君は山小屋においてある服を借りることにした。
服を着替えて、倉庫の暗証番号を入力する。
倉庫には、山小屋らしからぬ装備が保管されている。
たとえば、保存食はもちろん、銃器や超振動ナイフなどの武器に、フックロープを発射するロープガン、ライオットシールドなども保管されていた。
いままでの道中のことを考えて、ドラゴン犬ように、君は銃器の携帯や弾薬の補充をする。
【君の装備】
・サンダーランンチャー(射程は8mと短いが、電極をとばし、電撃で細胞破壊をする兵器の試作モデル)
・ハンドガン(迷彩服からもらったもの)
・ハンドガン(倉庫に保管してあったもの)
・ハンドガンの弾
・超振動ナイフ(刃が振動することで切れ味を増すナイフ、薄い鉄板なら軽く切り裂く)
・ロープガン(フックロープを発射する道具)
・ライオットシールド(10年前のモデルより、軽量化、圧倒的な防御力の向上に成功している。)
倉庫に置いてあった時計を見たとき、ふと半年前に弟と約束をしたことを思い出した。
ドラゴンが襲ってきたあの日、もしソロモンのシェルター内に戻ることができなければ、この山小屋を目指すといっていたことを。
君は、山小屋内を、何か手掛かりがないか探した。
すると、一通の手紙と見覚えのあるカードが出てきた。
手紙には、こうかかれていた。
「このカードを、ソロモン研究所のDr.リュウマへ届けてほしい。 バベル」
バベル?軍事施設バベルのことだろうか?
この手紙の主は、弟ではないのか?
誰が一体、何の為にわざわざ倉庫内に手紙までおいて残したのか?
弟は、生きているのか?
それに、同封されていた、このカードは、研究していたDカードの試作品だ。
混乱したが、まずは手掛かりとなり目的地でもある、バベルへ向かうとしよう。
※ 【Dカード】ドラゴンの遺伝子情報をカードに記憶させることにより、即席でドラゴンを召喚できるものだ。事件のあった日の前日、試作品の完成を祝って、リュウマは弟に電話で説明していた。
山小屋からは、1時間程度で、軍事研究施設バベルに到着する。
気を引き締めて向かうことにしよう!
~軍事研究施設バベル・正面ゲート~
重装備をしてきたが、特に戦闘もなく目的地にに辿り着いた。
正面ゲート付近には、【犬のような生物】が数匹寝ているようだが。
侵入方法は、正面ゲートを抜けるか、空を飛び壊れた個所から進入するしかないだろう。
施設の周りを一通り見て回ったが、他に入れそうな場所はなさそうだ。
意を決して、バレないようにこっそりと、正面突破?することに決めた。
無事に、【犬のような生物】の横を通り過ぎようとした瞬間!
ガサッ!
重装備で来たのが、仇になったようだ。装備同士がぶつかり、音を立ててしまう。
気づかれたのか!?
君は気づかれる前に、【犬のような生物】に襲い掛かった。
【犬のような生物】は、不意に攻撃を受け、うろたえている!
至近距離から、ライオットシールドを構え、サンダーランチャーを放つ。
サンダーランチャーの直撃を受けた【犬のような生物】は、即死だろう。
あと4匹、
とっさによけた1匹が突進してきたが、構えたシールドにぶつかりスキができている。
2匹は、派生する電撃を受け、感電しているようだ。
1匹は、何が起こったのか理解できず混乱しているようだ。
君は次の標的に、突進してきた【犬のような生物】を、ハンドガンで攻撃した。
君も慌てていたからだろう、至近距離から放ったにもかかわらず、仕留めるのに弾を打ち尽くした。
あと3匹、
銃声が鳴り響く中、混乱していた1匹は、山中へ逃げ出した。
君は、感電している2匹を、もう1丁のハンドガンで仕留めた。
超振動ナイフ?いくら感電しているとはいえ、怖くて近づけない。
思ったより、苦戦したが、怪我なく乗り切れたことが奇跡だろう。
無事に、正面ゲートに辿り着いた!
君は、パスコードを入力して、施設内に入ることに成功した。
~ To Be Continued
【装備】
・サンダーランンチャー(射程は8mと短いが、電極をとばし、電撃で細胞破壊をする兵器の試作モデル)
・ハンドガン(迷彩服からもらったもの)
・ハンドガン(倉庫に保管してあったもの)
・超振動ナイフ(刃が振動することで切れ味を増すナイフ、薄い鉄板なら軽く切り裂く)
・ロープガン(フックロープを発射する道具)
・ライオットシールド(10年前のモデルより、軽量化、圧倒的な防御力の向上に成功している)
・ロングブーツの指環
・Dカード
彼は、遠くない未来、竜を制した英雄である。
彼の名は【リュウマ】
彼の目を通して、君の冒険が始まる。
君は人々を救うことができるだろうか。
それとも・・
『火の七日間から、半年がたった』
シェルター内は、マザーコンピューター【インディ】により管理され、人々は快適とまではいかないが、何不自由なく過ごしていた。
ウゥーン!ウゥーン!ウゥーン!
しかし、普段と変わらない日常は、【インディ】の発した警報により、一変する。
君は、警報を聞き、警備責任者や施設長とともに、【インディ】の元に駆けつけた。
~司令室~
警備責任者「どうしたんだ、インディ 何があったんだ」
無精髭の男が、モニターに向かって話しかける。
天井のスピーカーから、男性の声が聞こえる。
インディ「はい。マザーコンピューター【インディ】内に不正アクセスがありました。現状は、不正アクセスのあった軍事研究施設バベルのマザーコンピューター【リルム】とのネットワークを切断しています。ネットワーク言語を利用していた為、人間ではないと想定されます。」
警備責任者「ネットワーク言語?」
インディ「はい。我々コンピューターがより多い情報量を瞬時にやり取りする言語です。ネットワーク言語を使うことで、空振による機械の操作も可能になります。」
リュウマ「音で機械を動かすってことだね。」
インディ「はい。簡単に言えば、その通りです。」
警備責任者「なぜ、わざわざネットワーク言語を使ってアクセスしてくるんだ?」
インディ「想定される理由は、研究情報のハッキングなどでしょうが、我々は外部ネットワークとの接触を物理的に制限されています。我々のネットワーク内に侵入する方法は、2通りしかありません。
1つ目はマザーコンピューター【リルム】内に侵入して直接操作し接続する方法、
2つ目は軍事施設バベルより、ネットワーク言語を使い不正にアクセスする方法の2通りです。」
厚いメガネをかけた、初老の男性が口を開く。
施設長「なるほど。バベルでは軍事研究も進めていたから、それを狙っての犯行か」
警備責任者「しかし、外はドラゴン達であふれているはず。どうやって軍事施設まで辿り着いたんだ?」
リュウマ「ここで議論しても分からないことばかりでしょう。私が行って確認してきます。あれから半年、外の様子も知るべきタイミングでしょうから。」
施設長「しかし、博士が行くとなれば、シェルター内に残された我々は不安でたまりません。外の様子も分からないし、もう少し様子をみてからにしませんか。」
リュウマ「シェルター内は、インディがいるから問題ないでしょう。この半年、特に問題も起きていないし、ドラゴン達も防御壁の内側には入ってこれないのは、火の七日間で実証済みです。それに、わたしは、どうしても外に出て確認したいこともある。わがままですみません。」
警備責任者「兄弟のことですよね。失礼なことを言うようですが、さすがに・・・。」
無精髭の男は、気まずそうに話す。
リュウマ「・・・。」
リュウマ「わかりました。では、もう一度考えてみます。」
返事をする君からは、元気を感じない。
場を和ませようと、施設長が作り笑顔で話す。
施設長「それがいいですよ。では、来週の節句の祭りの準備をしましょうか。祭りでみんなの気分を盛り上げるのはいい案でしたよ。」
リュウマ「そうですね。では、後程。」
君は、思いつめているような眼をしている。
~その日の夜・防御壁メインゲート~
君は、メインゲートの前に立つ。
メインゲート近くのスピーカーから声が聞こえる。
インディ「Dr.リュウマ、メインゲートのロックは開けておきました。」
リュウマ「ありがとう。私が出た後は、メインゲートのロックを頼む。」
インディ「了解しました。現在、外部よりメインゲートを開く手段は、マスターキーを使うことのみですが、大丈夫でしょうか。」
リュウマ「うん。弟を見つけてマスターキーをもらってくるよ。」
インディ「Dr.リュウマ、お気をつけて。」
こうして君の冒険は始まった。
後の『火の七日間』と呼ばれる、大事件以降、君は初めてシェルターの外の世界を見た。
破壊はすさまじく、ビルや建造物は瓦礫の山と化し、森は荒野へと姿を変えていた。
半年ほど前の、街の面影は一切なく、人間はおろか、動物や昆虫でさえもいない、死の世界と化していた。
君は辺りを見渡す。君の知っている世界とは違う。見たこともない程に破壊され、研究所は原型を留めていない。
自身を奮い立たせるように、声を出す。
リュウマ「さて、まずは、バベル付近にある、山小屋を目指そう。山小屋には、緊急時の装備一式が保存してあるはずだ。先を急ごう!」
幸い、満月ということもあり、外は比較的明るい。持っていたライトの明かりがなくても、目が慣れれば十分に目視できるだろう。
暫く先に進むと、瓦礫の陰に何か、うごめく影を見つけた。
君は、息を殺して、うごめく影の様子を見ることにした。
うごめく影は月明りを浴び、犬のような姿をみせた。
しかし、犬と呼ぶことはできない威圧感がある。
しばらくすると、うごめく影は何処かへ行ってしまったようだ。
見たことのない生物だが、ドラゴンの変種なのだろうか、夜間の移動は危険も伴いそうだ。
君は、休めそうな廃墟を見つけて休むことにした。
~2日目~
空は青く、天気がいい。
リュウマ「さあ、軍事施設バベルを目指して行動しよう!」
夜間の移動は危険が伴う。明るいうちに、できるだけ移動し休めそうな場所も確保しておきたい。
できれば乗り物を使いたかったのだが、大破していて使えそうな物はなさそうだった。
道のりは長い、歩きやすい道路であれば助かるが、道路の舗装はめくれ上がったり、陥没していたりと道のりは決して楽に歩ける工程ではなさそうだ。
君は、先を目指して歩き出した。
見なれたはずの、自宅近くも、まったく違う土地を歩いているような感覚になる。
自宅のあった場所を通り過ぎようとしたとき、一匹の猫が近づいてきた。
ネコ「ニャーン」
リュウマ「あっ!」
この猫は、妹が飼っていた猫だ!たしか名前は・・・。
リュウマ「ロングブーツ、こっちにおいで。」
ネコ「ニャーン」
リュウマ「こんなとこで、お前に会うなんて、ヒマリも無事なのかな?」
ネコ「ニャン」
リュウマ「こんな食べるものもないような土地で、どうやって生き延びてたんだ?」
ネコ「ニャンニャニャン」
リュウマ「ネコのお前に話しかけても分からないよね。」
リュウマ「ニャンニャン」
ネコ「そうだよね、ふつうは言葉とか通じないもんね。」
リュウマ「・・・!」
リュウマ「ロングブーツ・・・さん?」
ネコ「何?」
どうやら、ロングブーツは話ができるようだ。
ロングブーツの話によれば、ヒマリは無事に隠れているそうだが、いまは案内できないとのことだった。
ロングブーツの持ってきた手紙によれば、世界中に放射能が拡散されているようで、いま妹は、シェルター内に隠れているらしい。
妹を何も対策することなく、外に出すのは、愚かな行為でしかない。
それに、外に出ている、君の命もそう長くないかもしれない・・・。
ロングブーツは、仲間を探しに冒険に行くそうだ。
別れ際に、ロングブーツは、一つの指環をくれた。
君は、ロングブーツに手紙と指環をもらったお礼を言って別れた。
リュウマ「放射能の影響なのか?まさか、猫と会話をする日がくるなんて。」
どのくらい歩いたのだろうか、太陽は真上にきている。
見渡す限り、瓦礫の山で、静寂に包まれている街中を歩いていると妙な感覚になる。
時折、原形をかろうじて留めている建造物もある。
日も沈みかけてきた時、最初の分岐点に辿り着いた。
ここからは、街中を通る回り道と、山中を通る近道があるが、どちらを通ろうか。
山は、山火事にでもあったのだろうか、黒く燃えてしまっているところも目立つ。
急いだほうがいいことは分かるが、あの【犬のような生物】も気になるし、たどり着く前に死んでしまっては意味がない。
君は、少し考えた結果、隠れることのできる場所が多い、街中を歩くことに決めた。
街中であれば、時間はかかるが、安全に行動することができるだろう。
今日は、野宿をして明日の朝に出発することにしよう。
~3日目~
翌朝、日の出とともに、行動を開始した。
昨日の疲れからか、体中がだるく重い感覚におそわれる。
街の郊外に差し掛かった時、大型ショッピングモールの廃墟をみつけた。
かなり原形を留めていた為、中を散策することもできるだろう。
君は、何か使えるものがあるかもしれない。
そう期待してショッピングモールに寄ることにした。
~ショッピングモール~
近くまで来ると、異様な感じがした。
駐車場の車両はバリケードを作っているかのような配置になっているし、車両バリケードの外側には、【犬のような生物】の死骸も散乱している。
君がバリケードに近づくと、建物の方から声が聞こえた。
「おーい!いまドラゴン犬の群れがこちらに向かってるぞ!早く2階駐車場に走ってこい!」
君は、2階駐車場に向かって走った。
走り始めると、すぐ後ろで殺気を感じた。
ダダダダダダダダッ! 銃声が鳴り響く。
君が、2階駐車場のバリケードに着くころには、後ろを追っていた【犬のような生物】の死骸から流れる血が、滝のようになっていた。
迷彩服を着た男たちが寄ってくる。
迷彩服「おい、大丈夫か?」
リュウマ「はい、ありがとうございます。助かりました。」
別の迷彩服「防護服も着らずに、君は私たちと同じ、強化人間なのかい?」
リュウマ「強化人間!?」
※【強化人間】とは、D(ドラゴン)細胞ができたばかりのころから研究していた、人間とD細胞の融合実験のことで、ソロモン研究所での実験では、動物実験では適合率の安定値も98%まで高まっていたが、適合率次第で、宿主をドラゴンに変態させてしまうことを理由に、軍の上層部から中止にされた実験である。
リュウマ「いえ、強化人間ですか?」
君は、彼らの素性も分からないので、【ソロモンのシェルター】のことや、【バベル】に向かっていることなどを伏せて話をすることにした。
彼らの話では、彼らは、もともと軍人ではなく、第9シェルターの生き残りの民間人だそうだ、適合者である彼らは、有志で強化人間になり、ドラゴン犬の退治をしているとのことだ。
しかし、この付近で生き残りのドラゴンの攻撃に遭い、ほぼ壊滅状態で通信手段もなく、隊長の命令でバリケードをはって死守しているらしい。
この場所は立地もよく、ショッピングモール内に、非常食も豊富にあるので、バリケードを築くにはもってこいの場所だったのだろう。
正式な軍人は隊長だけだが、隊長は単身、ドラゴンの生き残りを追って、山に向かったそうだ。
リュウマ「いくら強化人間の軍人とはいえ、一人で大丈夫なんですか」
迷彩服「隊長なら大丈夫だろう。我々がいなければ、もしかすると、隊長一人でドラゴンを倒していたかもしれないほどなんだぞ。」
別の迷彩服「俺らをかばうため、ドラゴンを逃がしてしまったくらいだから。隊長一人なら、まったく問題ないだろう。俺らは、ここで隊長の凱旋を待つだけさ。君もここで隊長を待つといい。」
リュウマ「ありがとうございます。しかし、私は弟を探しているので。先に進みます。」
迷彩服「そうか。武器も持ってないようだし、ドラゴン犬に襲われたらひとたまりもないだろう。」
そういうと、彼は持っていた、ハンドガンと弾薬を、君にくれた。
迷彩服「少ない物資だが、君には必要みたいだからな、持っていくといい。心配するな、隊長は理解してくれるから。」
別の迷彩服「弟さん、見つかるといいな。」
リュウマ「ありがとうございます。」
君は、彼らにお礼を言い、先を目指すことにした。
~街中~
ショッピングモールを抜けて川沿いに歩くと、街が見えてきた。
街に入っても、相変わらず人影も見えない。
とくにイベントもなく、街を通過していく。
~街の外れ~
街の外れに辿り着くころには、すっかりと日も暮れていた。
君は、山小屋に向かう前に休息をとることにした。
歩くペースが落ちている。このままだと、ここから2日はかかる道のりだ。
休めそうなコンテナを見つける。
辺りは、虫の音や物音ひとつしない静寂の闇だ。
ふと、空を見上げた。
大小様々な星は光瞬き、いままでに見たこともないほどに、美しかった。
君は、疲労からか、そのまま星を見上げるように、眠ってしまったようだ。
~4日目・夜明け~
君は、寒さで目が覚めた。
頭が痛く、吐き気もある。
防寒具を着ていても寒さを感じる。風邪だといいんだが。
寝ている最中に何か、夢を見た気がしたのだが、思い出せない。
ここからだと、日が暮れる頃には、山道に辿り着く。
時間もたっぷりあるし、道中、思い出すかもしれない。
君は、先を急ぐことにした。
特に問題もなく、道のりを進むことができた、日暮れ頃には、山道に辿り着けそうだ。
ただ、昨日見た夢を思い出すことはできなかった。
起きてすぐなら、もしかしたら思い出せたかもしれなかっただろう。
~山道~
いよいよ、山道に辿り着いた。
日も暮れ始めたが、君は山小屋を目指すことにした。
山小屋には、21時頃には到着できるだろう。
多少、危険も承知だが、このまま野宿をするよりかは、山小屋に辿り着くことができれば、はるかに安全な気がしたからだ。
君は、闇の中を、月明かりと手元のライトで進み始めた。
心配をよそに、襲われることなく君は、山小屋に辿り着いた。
山小屋には、窓のない部屋(物置)もあり、そこで睡眠をとることにした。
~5日目~
目が覚めた。
今日は、ぐっすり寝れたからだろうか、比較的体調もいい。
どれくらい寝たのだろうか、窓がないため、時間の感覚がつかめない。
時計を見ると、11時をまわっていた。
バベルに向かうために、倉庫で装備を整えることにした。
準備をしようと鏡を見たとき、異変に気付いた。
特にぶつけた記憶もないのに、鼻血で服が赤く染まっている。
君は山小屋においてある服を借りることにした。
服を着替えて、倉庫の暗証番号を入力する。
倉庫には、山小屋らしからぬ装備が保管されている。
たとえば、保存食はもちろん、銃器や超振動ナイフなどの武器に、フックロープを発射するロープガン、ライオットシールドなども保管されていた。
いままでの道中のことを考えて、ドラゴン犬ように、君は銃器の携帯や弾薬の補充をする。
【君の装備】
・サンダーランンチャー(射程は8mと短いが、電極をとばし、電撃で細胞破壊をする兵器の試作モデル)
・ハンドガン(迷彩服からもらったもの)
・ハンドガン(倉庫に保管してあったもの)
・ハンドガンの弾
・超振動ナイフ(刃が振動することで切れ味を増すナイフ、薄い鉄板なら軽く切り裂く)
・ロープガン(フックロープを発射する道具)
・ライオットシールド(10年前のモデルより、軽量化、圧倒的な防御力の向上に成功している。)
倉庫に置いてあった時計を見たとき、ふと半年前に弟と約束をしたことを思い出した。
ドラゴンが襲ってきたあの日、もしソロモンのシェルター内に戻ることができなければ、この山小屋を目指すといっていたことを。
君は、山小屋内を、何か手掛かりがないか探した。
すると、一通の手紙と見覚えのあるカードが出てきた。
手紙には、こうかかれていた。
「このカードを、ソロモン研究所のDr.リュウマへ届けてほしい。 バベル」
バベル?軍事施設バベルのことだろうか?
この手紙の主は、弟ではないのか?
誰が一体、何の為にわざわざ倉庫内に手紙までおいて残したのか?
弟は、生きているのか?
それに、同封されていた、このカードは、研究していたDカードの試作品だ。
混乱したが、まずは手掛かりとなり目的地でもある、バベルへ向かうとしよう。
※ 【Dカード】ドラゴンの遺伝子情報をカードに記憶させることにより、即席でドラゴンを召喚できるものだ。事件のあった日の前日、試作品の完成を祝って、リュウマは弟に電話で説明していた。
山小屋からは、1時間程度で、軍事研究施設バベルに到着する。
気を引き締めて向かうことにしよう!
~軍事研究施設バベル・正面ゲート~
重装備をしてきたが、特に戦闘もなく目的地にに辿り着いた。
正面ゲート付近には、【犬のような生物】が数匹寝ているようだが。
侵入方法は、正面ゲートを抜けるか、空を飛び壊れた個所から進入するしかないだろう。
施設の周りを一通り見て回ったが、他に入れそうな場所はなさそうだ。
意を決して、バレないようにこっそりと、正面突破?することに決めた。
無事に、【犬のような生物】の横を通り過ぎようとした瞬間!
ガサッ!
重装備で来たのが、仇になったようだ。装備同士がぶつかり、音を立ててしまう。
気づかれたのか!?
君は気づかれる前に、【犬のような生物】に襲い掛かった。
【犬のような生物】は、不意に攻撃を受け、うろたえている!
至近距離から、ライオットシールドを構え、サンダーランチャーを放つ。
サンダーランチャーの直撃を受けた【犬のような生物】は、即死だろう。
あと4匹、
とっさによけた1匹が突進してきたが、構えたシールドにぶつかりスキができている。
2匹は、派生する電撃を受け、感電しているようだ。
1匹は、何が起こったのか理解できず混乱しているようだ。
君は次の標的に、突進してきた【犬のような生物】を、ハンドガンで攻撃した。
君も慌てていたからだろう、至近距離から放ったにもかかわらず、仕留めるのに弾を打ち尽くした。
あと3匹、
銃声が鳴り響く中、混乱していた1匹は、山中へ逃げ出した。
君は、感電している2匹を、もう1丁のハンドガンで仕留めた。
超振動ナイフ?いくら感電しているとはいえ、怖くて近づけない。
思ったより、苦戦したが、怪我なく乗り切れたことが奇跡だろう。
無事に、正面ゲートに辿り着いた!
君は、パスコードを入力して、施設内に入ることに成功した。
~ To Be Continued
【装備】
・サンダーランンチャー(射程は8mと短いが、電極をとばし、電撃で細胞破壊をする兵器の試作モデル)
・ハンドガン(迷彩服からもらったもの)
・ハンドガン(倉庫に保管してあったもの)
・超振動ナイフ(刃が振動することで切れ味を増すナイフ、薄い鉄板なら軽く切り裂く)
・ロープガン(フックロープを発射する道具)
・ライオットシールド(10年前のモデルより、軽量化、圧倒的な防御力の向上に成功している)
・ロングブーツの指環
・Dカード
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