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商会戦の幕開け

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「実は、今朝 仕入れたばかりの情報なんだが、今後の我々のあり方が大きく変わっていくという話なんだ。
 君も商店連盟の税率を引き上げの話は知っているよね。」

ハロルドは、ベローチの言葉に無言で頷く。
その様子を確認したベローチは、そのまま話を続ける。

「そこでいま、話が水面下で進行しているのが商会制度と呼ばれる制度で、いままでの商店連盟の税率を維持するだけでなく、更に複数の特典をつけさせ、利益を独占しようと話が進んでいるそうなんだよ。」

「商会制度ですか・・・。
 しかし、なぜそんな話を私に?」

ベローチは笑顔で頷き、話を進める。


「私は君の能力を買っている。君の作り出す薬は、どれも素晴らしい質を持っていて他の商店には絶対マネできないことだ。
 そんな君の作り出す薬を・・・。
 友が苦労して作った薬を安く買いたたき、利益を独占し君には還元されない・・・。
 それが、私には耐えられない苦痛なんだよ。
 利益は平等に分配されるべきだ!ってね。」

「ベローチさん、私なんかの為に・・・。」

ハロルドは、ベローチの言葉に目を潤ませている。
ベローチは、そんなハロルドの手をとり、さらに話を続ける。

「そこで、私のコネをフルに活用して君を商会制度に押し込めるように行動する。
 私たちが協力し合って商会制度を牛耳ろうじゃないか。」

「ええ、私も力及ばずながら協力させてもらいます。」

ハロルドとベローチは固い握手を交わした。
ハロルドは、明日の支度があるといい、その後、ベローチのアジトを後にした。





一人部屋の中に残ったベローチの元に、人相の悪い男が酒を持ってくる。

「ハロルドのやつ、親分を信用しきってましたね。」

「そうだろうね。
 ハロルドとは、10年近く付き合っているが、夫婦そろってお人よしなんだよ。」


人相の悪い男は、ベローチにお酌をしながら言う。

「しかし、本当にハロルドの奴を推薦するんですかい?
 それには、こちらも多少なりにリスクをおわなけりゃなんねーですぜ。」

「そこはすでに手を打っているよ。
 だけど、彼には、今以上に頑張ってもらわくちゃいけないね。」

「えへへ。
 さすが親分だ。」

「ふふふっ、」

ベローチは、注がれた酒を飲みながら窓の外を眺めている。
その瞳には、大通りの遥か先、ダンテ国王の住む城が映っていた。

(ミラルノ、ルルジア、ハロルド、全ての駒が揃ったな。
 これで、あとは・・・。)


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