勇者の娘 ～姉妹の物語～

第三話、レッカの活躍

妹のレッカが王都に旅立ってから、２年の月日が流れた。

辺境の村では 何度か魔物たちに襲撃されるが、大した被害もなく、平穏な毎日を過ごしていた。
そんな平穏な毎日を過ごしている辺境の村に、月に一度の一大イベントが訪れる。


村の入り口に、成長し美しい女性となりつつあるフウカの姿があった。


フウカは王都へと続くあぜ道の先を見つめていた。
すると、小高い丘のさきから、一台の馬車が、ゆっくりとやってくるのが見える。

フウカは、馬車を見つけると、馬車に向かって大きく手を振り始めた。
馬車に乗る人物も、フウカに気付くと、気持ち速度を上げ、辺境の村へと急ぐ。
そんなフウカの様子をみていた村人たちも、村の入り口に集まってきた。


馬車が村の入り口に着くころには、村人たちも全員集まっている様子だった。
馬車を操作してきた男が馬車を降り、村長に声をかける。


「すみません、遅くなりました。
　王都からの配給品になります。」

「配達員さん、遠い所 ご苦労様です。」

村長と配達員は、何か書面のようなものをやり取りしている。
そのやり取りが終わったタイミングで、フウカが配達員に声をかけた。


「配達員さん、例の物は？」

「はいはい、もちろん持ってきたよ。
　先月の勇者レッカの記事の切り抜き。」

「ありがとうございます！」

「いやいや、お礼はいいよ。
　王都では無料で配っている号外なんだからさ。
　それにしても、勇者レッカは凄いよね。
　もうすでに、魔王城に一番近い国まで開放してるらしいよ。」


姉のフウカは、レッカの活躍に満面の笑みを見せる。

「ええ、レッカは自慢の妹ですから！」