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第二話、レッカの旅立ち
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14年の月日が流れ、世界の情勢は大きく変化した。
人々は魔物を恐れ、森に入ることが出来なくなり、王都以外の地域に生きる者たちは、常に死の恐怖と戦わなければいけない世界へと変わっていた。
人間たちは 魔物と対峙するため 戦力を中央に集め、各国の王都に防御壁を築き上げていた。
まるで王都に住めない人間は、無用だと言わんばかりに格差が広がっていた・・・。
そんな中、立派に成長した勇者の娘たちの元に 王都より使いの兵士がやってきた。
使いの兵士は、村長に書状を見せ命令文を読み上げた。
命令文には、勇者の娘を兵士に召し上げるという内容が書かれていた。
「長い年月にわたり、勇者育成の任、ご苦労であった。
此度は、王都にて兵士を募集するにあたって、勇者ルスイ殿の御息女を国王陛下直属の兵士として招集するためにやってきた。」
「兵士長官殿、勇者ルスイ様の娘たちは、無事に二人とも王国に住むことが出来るのでしょうか。」
村長の質問に、命令文を読み上げた兵士が首を横に振る。
「連れていくのは、次女レッカのみだ。
長女フウカの能力は、癒しの力と聞く。
癒しの力が不要というわけではないが、いま王都は 癒しの力を持つ神官たちであふれている。
これ以上、必要かと聞かれれば、必要でないとしか答えられん。」
「し、しかし、いままで二人は、一緒に暮らしてきました。
勇者としての修行も、過酷な術の訓練も、ともに乗り越えてきたのです。
なんとか、なんとか姉のフウカも王都に移住させてやって下さい。」
いつ危険が襲ってくるか分からない辺境の村から、勇者の娘たちを王都に住まわせてあげたいと願っている村長は、兵士長官にくらいつく。
しかし、兵士長は首を縦に振らない。
そんな様子を見ていた、姉のフウカが、妹のレッカに声をかける。
「レッカ、王都に行ってきなよ。
勇者になるの夢だったよね。」
姉のフウカの言葉に反応するように、妹のレッカがフウカを見つめる。
「フウカ、私が居なくなったら、この村は誰が守るの?
炎の術なしで、魔物と戦える?
弱体の術なしで、魔物から村を守れる?」
「大丈夫よ。
もし、強そうな魔物が現れたら 狼煙を上げて、みんなで地下倉庫に避難するね。
その時は、助けに来て欲しいかな。」
「・・・もう、本当に他人任せなんだから。
フウカ、本当に大丈夫?」
「うん。
村長さん、それでいいですよね。
回復の術は、当てにされたら困るけど、これからも宜しくお願いします。」
村長は ゆっくりと頷くと、兵士長の読み上げた命令文に従うことにした。
人々は魔物を恐れ、森に入ることが出来なくなり、王都以外の地域に生きる者たちは、常に死の恐怖と戦わなければいけない世界へと変わっていた。
人間たちは 魔物と対峙するため 戦力を中央に集め、各国の王都に防御壁を築き上げていた。
まるで王都に住めない人間は、無用だと言わんばかりに格差が広がっていた・・・。
そんな中、立派に成長した勇者の娘たちの元に 王都より使いの兵士がやってきた。
使いの兵士は、村長に書状を見せ命令文を読み上げた。
命令文には、勇者の娘を兵士に召し上げるという内容が書かれていた。
「長い年月にわたり、勇者育成の任、ご苦労であった。
此度は、王都にて兵士を募集するにあたって、勇者ルスイ殿の御息女を国王陛下直属の兵士として招集するためにやってきた。」
「兵士長官殿、勇者ルスイ様の娘たちは、無事に二人とも王国に住むことが出来るのでしょうか。」
村長の質問に、命令文を読み上げた兵士が首を横に振る。
「連れていくのは、次女レッカのみだ。
長女フウカの能力は、癒しの力と聞く。
癒しの力が不要というわけではないが、いま王都は 癒しの力を持つ神官たちであふれている。
これ以上、必要かと聞かれれば、必要でないとしか答えられん。」
「し、しかし、いままで二人は、一緒に暮らしてきました。
勇者としての修行も、過酷な術の訓練も、ともに乗り越えてきたのです。
なんとか、なんとか姉のフウカも王都に移住させてやって下さい。」
いつ危険が襲ってくるか分からない辺境の村から、勇者の娘たちを王都に住まわせてあげたいと願っている村長は、兵士長官にくらいつく。
しかし、兵士長は首を縦に振らない。
そんな様子を見ていた、姉のフウカが、妹のレッカに声をかける。
「レッカ、王都に行ってきなよ。
勇者になるの夢だったよね。」
姉のフウカの言葉に反応するように、妹のレッカがフウカを見つめる。
「フウカ、私が居なくなったら、この村は誰が守るの?
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もし、強そうな魔物が現れたら 狼煙を上げて、みんなで地下倉庫に避難するね。
その時は、助けに来て欲しいかな。」
「・・・もう、本当に他人任せなんだから。
フウカ、本当に大丈夫?」
「うん。
村長さん、それでいいですよね。
回復の術は、当てにされたら困るけど、これからも宜しくお願いします。」
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