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彼女の家
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近くにいるので食べ物を持って行くと絵海にメールして、近くのドラッグストアで食材やスポーツドリンクを買った。買い物している間に絵海から返信が来て、住所を聞いた。
絵海は病院の近くにマンションを借りて住んでいた。ロビーに入り、教わった部屋番号を押すと、彼女がドアのロックを開けてくれた。
「絵海さん、久しぶりです。大丈夫ですか。あの、さっき偶然聞いて。絵海さんが体調が悪くて休んでるって」
部屋に着いて、食材の入ったビニール袋を渡した。
「玲、ありがとう。ちょうど家の中の食べ物も切れてきたところで、助かったわ」絵海がかすれた声で言った。マスクをしていたので目元しかわからなかったが、憔悴している様子がうかがわれた。
「水分や食事はとれているんですか」私が聞いた。
「水分はまあまあとれてるわね。ご飯はあんまりかしら」
「じゃあ、おかゆ作っていきますよ。もしお邪魔じゃなければ」
「え? でも悪いし……。玲だって忙しいでしょう」
「いや、ご存じのとおり私は失業中でヒマなので大丈夫です。鍋だけ貸してもらえれば」
私は絵海の部屋に上がった。玄関に入ると台所があり、その奥に寝室とリビングがあるようだった。
買ってきたパックのご飯をレンジで温め、水とご飯を入れて火にかけた。ご飯が水分を吸って柔らかくなると、最後に卵を入れて弱火で煮詰めた。
「絵海さん、卵がゆができたので食べられそうなときに食べてください。味付けはしてないので、お醤油とか好きな量かけて」私がリビングの扉越しに声をかけた。
「あとバナナとミニトマトと、ヨーグルトも買ってきたので袋の中を見てみてくださいね。ゼリーもありますよ」
「ありがとう玲。助かったわ。今までは病棟で何か流行ってもほとんどかからなかったんだけどね。私ももう若くなくなってきたってことね」絵海がキッチンの方へ出てきて言った。
「そんな。それじゃ私は帰りますから、ゆっくり休んでくださいね」
「本当にありがとう、玲」
絵海の言葉を背中に、私はマンションを出た。
絵海は病院の近くにマンションを借りて住んでいた。ロビーに入り、教わった部屋番号を押すと、彼女がドアのロックを開けてくれた。
「絵海さん、久しぶりです。大丈夫ですか。あの、さっき偶然聞いて。絵海さんが体調が悪くて休んでるって」
部屋に着いて、食材の入ったビニール袋を渡した。
「玲、ありがとう。ちょうど家の中の食べ物も切れてきたところで、助かったわ」絵海がかすれた声で言った。マスクをしていたので目元しかわからなかったが、憔悴している様子がうかがわれた。
「水分や食事はとれているんですか」私が聞いた。
「水分はまあまあとれてるわね。ご飯はあんまりかしら」
「じゃあ、おかゆ作っていきますよ。もしお邪魔じゃなければ」
「え? でも悪いし……。玲だって忙しいでしょう」
「いや、ご存じのとおり私は失業中でヒマなので大丈夫です。鍋だけ貸してもらえれば」
私は絵海の部屋に上がった。玄関に入ると台所があり、その奥に寝室とリビングがあるようだった。
買ってきたパックのご飯をレンジで温め、水とご飯を入れて火にかけた。ご飯が水分を吸って柔らかくなると、最後に卵を入れて弱火で煮詰めた。
「絵海さん、卵がゆができたので食べられそうなときに食べてください。味付けはしてないので、お醤油とか好きな量かけて」私がリビングの扉越しに声をかけた。
「あとバナナとミニトマトと、ヨーグルトも買ってきたので袋の中を見てみてくださいね。ゼリーもありますよ」
「ありがとう玲。助かったわ。今までは病棟で何か流行ってもほとんどかからなかったんだけどね。私ももう若くなくなってきたってことね」絵海がキッチンの方へ出てきて言った。
「そんな。それじゃ私は帰りますから、ゆっくり休んでくださいね」
「本当にありがとう、玲」
絵海の言葉を背中に、私はマンションを出た。
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