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16.彼はただの護衛騎士でございます

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今日もジャレス殿下との定例会お茶会。
大して話もしないのに、回数多すぎじゃない?
でも今日は、ジャレス殿下に頼まれたクッキーを焼いて持って行かなくてはなの。
もうついでだから、殿下の護衛騎士や従者や侍女たちの分まで大量生産したわ。
アマリアにも手伝ってもらっちゃった。

あまりに多くなったから、ダニエルとアマリアに持ってもらった。

「では、お嬢様、こちらを」
ダニエルが手渡してくれた籠を受け取ろうとして、ダニエルの手に触れてしまったわっ!

「失礼しました」
「私の方こそ……」
耳が熱いわ。


「ん、んん」
ジャレス殿下の咳払いが聞こえて、振り返ると、ジャレス殿下がダニエルを睨んでいる。

「受け取ろう」
と言い、殿下の従者が籠を受け取り殿下の前に運んだ。

「ありがとう。重かったでしょ?」
「いえ、大丈夫です」
ダニエルの控えめな微笑みは、本当に素敵なのよね。


「大義であったな。騎士殿。下がって良いぞ」
「殿下?彼は私の護衛なので」
「沢山菓子を用意してくれたのだ、侍女たちや従者たちと一緒にお茶にしてくれ」
「かしこまりました」
ダニエルはジャレス殿下に頭を下げた後に、私にも黙礼をした。


ダニエルがアマリアと用意された席に移動していく。
残された殿下と私。
まぁ、影に殿下の護衛騎士がいるはずだけれど。


「今日は、沢山焼いてきてくれたんだな。嬉しく思うぞ」
「沢山、召し上がって下さい」


この胸がムズムズするのは、一体何かしら……何?
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