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キュン!とするハグ第一位?

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「私もマイロを見てたよ。凄かったよ。マイロが一番」
私もマイロに言った。

「いつものドライヤーの応用だけどね。前の人が作った物にぶつけたら、液状の物がブロック状になって驚いたけど」

「どうなると思ったの?」

「実はあまり考えてなくて……でも冷静に考えたら、固まらないで四方八方に飛び散る可能性もあったね!!良かった……そんなことにならなくて」

マイロは自分のしたことを思い出して、慌てた。

「良かったね。大惨事にならなくて」

私は笑った。

「うん。それより、アイラだよ!出来たね!発現したじゃない!!おめでとう!」

マイラは嬉しそうに私にそう言った。


「水、1滴だけね」
「いや、発現できたことが大事だから」
マイロは私を励ますように言ってくれた。

「あれ、発現したって言える?」
「言える!しかも増幅器無しでだもん。凄いよ」

「マイロと練習した時に、マイロが『エネルギーを集めて!』っておヘソの辺りを触って教えてくれたでしょ?あの時、エネルギーって集めるものだってことも初めて知ったし、集める場所も分かったから」

そうだ、あの練習のおかげなのだ。
本当にマイロのおかげだ。
ありがとう。そう言おうと思ってマイロを見ると、マイロは真っ赤な顔をして、手で顔を押さえている。


「ど、どうしたの?マイロ?」
「僕、僕、アイラのお腹に触った……ね。夢中だったから、気が付かなかった……」

マイロはあの練習を思い出して、真っ赤になっていたのだ。
お腹に手を当てられたのもそうだけど、見ようによっては、背面からのハグに近かった。
前世でいうバックハグよね。
キュン!とするハグ、第一位の。



「れ、れ、練習!練習だから。エネルギー集める場所を教えてくれてただけだから」
「そ、そうだよね。練習だったからね」

2人で言い訳みたいな事を言いあっていると、後ろからマリーに声をかけられた。


「アイラ!マイロ!」
振り返ると、マリーは驚いた顔をしてから、爆笑し始めた。

「なぁに~2人で真っ赤になってんの?真っ赤だよ!?」


「マイロが褒めてくれたから、お礼を言ったらお互いに恥ずかしくなっただけ」

私がマリーに言うと

「まぁ、1滴でも良かったじゃない?ねぇ?マイロ。マイロがアドバイスしてあげたんでしょ?」
と、マリーはマイロに訊いた。


「あ、アドバイスってほどじゃないよ。唱える前に、集中してって言っただけ」

「へーそうなんだ?そしたら私のロウソクの火を消せるだけの魔法も、もっと強くなるかな?」

「なると思うし、あとは練習だね」

「練習か~、やる気になんないな~。その気になったら、練習付き合ってくれる?」

マイロは困ったように私を見た。

「マリーがやる気になったらね?いいよ」
と私が言うと、マリーは

「やる気になったら、お願いするわ」
と言って、手を振って去って行った。



「失礼だけど、悪いひとじゃないの?」
マイロはマリーのことを私に訊いた。

「あのまんまの人。思ったことが、そのまま出てる人なの」

「へ~。ラクだね。裏読みしなくてよくて」
マイロはマリーの後ろ姿を見て言った。
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