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Case05

ロジャーズのルビー

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「どうかな……俺にはよく分かんないな」

「そもそも、セシル氏が製造方法を明かして無いんだから、人工ルビーが存在しない可能性の方が高いんじゃない?」

パトリックさんと主任は私のルビーのネックレスを明かりにかざしたりしながら観察した。


「人工的にそんなにキレイなルビーが作れたら、ルビー鉱山を持っている領地は大打撃なんじゃないの?よく分からないけどさ」
マリアさんがお茶を飲みながら言った。


「ルビー鉱山……か。確かにな」
「人工ルビーを作るのに、どのくらいのコストがかかるかにもよるけどね」

パトリックさんと主任もマリアさんの話に頷いた。


「こんなに素敵なルビーをどうしたの?」
主任が私にネックレスを返しながら言った。

「私が生まれた時のお祝いに、おばあちゃんがくれたそうです」

「その話が本当ならば、そのルビーも本物なんじゃない?人工ルビーの製造に取り組んだのは、ケヴィンが学園に入ってからだったでしょ?」
主任がパトリックさんに訊いた。


「多分な。最初にケヴィンが人工的に宝石を作ることは可能なのか?って言い出してな」

「そうだったわね。ケヴィンの言ってることが私たちには全く分からなくて……」

「夢を見るのは自由だよなって笑い飛ばしたんだったな」


兄はそんなことを考えていたのか……
特産物も無い我が領地に、何かを作りたかったのかな……


でも、何で人工ルビー?


「おばあちゃんって、お父さんのお母さん?」
マリアさんが訊いた。

「いえ、お母さんのお母さんだそうです」

「だそうですっていうのは?」

「お母さんは、私が生まれてすぐに、家を出ていってしまったそうなので。なので、母方の祖母とは会ったことないんです」

「そうだったの……」
マリアさんが、バツの悪そうな顔をしたので私は慌てた


「大丈夫です。私は全然全く、記憶も無いので、さみしいとかもないですし。本当に母方に繋がるのって、このルビーのネックレスしか無いので」


私は返してもらったネックレスを見つめながら言った。


「お母さんって、旧姓は何だったの?」

「ロビンソン家です」

「おばあちゃんの旧姓は?分かる?」

「ロジャーズ家だった……かな?」

私もほとんど聞いたことはない。
たまたま兄が何かの拍子で話したのを聞いたことが、あるだけだ。


「ロジャーズ家……ルビー……ロジャーズのルビー……」

主任は何かを呟いた。





    
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