21 / 52
Case03.
1.殿下がともだち
しおりを挟む
食堂には最近、婚約者と一緒に第三王子殿下がやって来る。
そして、本日のランチを頼み、本日のプリンも頼む。
本来、メニューには『本日のプリン』なんてものは無い。
では何なのか?というと、私が作ったプリンを食べるのだ。
そして、「硬い」の「柔らかい」の「甘い」の「カラメルが下手」だの言って帰って行く。
殿下と婚約者様のために!毎日プリンを作らされているのだ……
宮廷料理人がいらっしゃるのに、こんなところで、こんなプリンをお召し上がりになられなくても、宜しいのではないですか?
とやんわりと、迷惑である!と伝えたつもりであったのだが、全く伝わっていないようです!!
「本日のデザートは、グレープゼリーですよ?庶民的ですよ?」
と勧めてみるのだが、プリン一択なのだ……迷惑です!!
あんなに仔犬みたいな目で、婚約者にたどたどしく愛を伝えたくせに、毎日毎日食堂でイチャイチャしちゃって!!
風紀を乱しているわ!風紀委員!!注意しなさいよっ!!
第三王子に物申せる生徒なんていないわよね……分かってますとも……
「ジェシカ!今日のプリンは、少し軟らかかったけど、カラメルがとても美味しかったぞ!」
と満面の笑みのアレク=殿下
「それは、良かったです」
頭を下げると、
「ジェシカ~」
と情けない声。
アレクは仔犬の顔でこっちを見ている。
「アレク」
「他人行儀嫌だって言った!友だちだって言った!」
幼児化してるじゃないの!!
慌てて、隣の婚約者=マーガレット様を見ると、
「アレックスにもせっかくお友だちができたのに、他人行儀は悲しいですわよね」
と、謎の理解を示している。
「はぁ……カラメルが上手くできて良かったよ。明日はもっと硬いプリンになるように、加熱時間に気をつけてみるね」
「うん。早くマリアさんみたいなプリンにたどり着けるといいね!」
べ、別に目指してないし……
「あ~ぁ。また町に行きたいな」
とアレクが言った。
「行けばいいじゃない?駄目なの?」
「マーガレットにハンカチを贈ったでしょ?あれがね……」
「喜んでもらえたんでしょ?」
私はマーガレット様を見た。
「はい!マルガリータのドレスを連想させる、素敵なハンカチでしたわ」
嬉しそうなマーガレット様。
「喜んでもらえて、良かったね」
「良いことばかりじゃなくて……」
顔を曇らせるアレク。
「『殿下が買い物をなさった店である』って、広まっちゃったの。そうすると、特別扱いだ!って他の店から苦情がきちゃって……」
同情する様子でアレクの顔を見つめるマーガレット様。
「あらら、そんなことが……色々と難しいのね~王族ともなるとさ」
「そうなんだよ……」
「早く、王太子さまにお子様がお産まれになれば、公爵になれるのにね」
「ん!!!!それだっ!!!」
アレク=殿下は立ち上がった。
「さすが!ジェシカ!心の友よ!」
ん!?何か私、言いました???
「兄上に、言ってくる~」
アレク=殿下は、早歩きで出て行った。
急いでも、走らないあたりが王族っぽいな。
残されたマーガレット様に会釈すると、マーガレット様は笑って
「あなたといると、アレックスは子どもに戻るみたいだわ」
と言った。
そして、本日のランチを頼み、本日のプリンも頼む。
本来、メニューには『本日のプリン』なんてものは無い。
では何なのか?というと、私が作ったプリンを食べるのだ。
そして、「硬い」の「柔らかい」の「甘い」の「カラメルが下手」だの言って帰って行く。
殿下と婚約者様のために!毎日プリンを作らされているのだ……
宮廷料理人がいらっしゃるのに、こんなところで、こんなプリンをお召し上がりになられなくても、宜しいのではないですか?
とやんわりと、迷惑である!と伝えたつもりであったのだが、全く伝わっていないようです!!
「本日のデザートは、グレープゼリーですよ?庶民的ですよ?」
と勧めてみるのだが、プリン一択なのだ……迷惑です!!
あんなに仔犬みたいな目で、婚約者にたどたどしく愛を伝えたくせに、毎日毎日食堂でイチャイチャしちゃって!!
風紀を乱しているわ!風紀委員!!注意しなさいよっ!!
第三王子に物申せる生徒なんていないわよね……分かってますとも……
「ジェシカ!今日のプリンは、少し軟らかかったけど、カラメルがとても美味しかったぞ!」
と満面の笑みのアレク=殿下
「それは、良かったです」
頭を下げると、
「ジェシカ~」
と情けない声。
アレクは仔犬の顔でこっちを見ている。
「アレク」
「他人行儀嫌だって言った!友だちだって言った!」
幼児化してるじゃないの!!
慌てて、隣の婚約者=マーガレット様を見ると、
「アレックスにもせっかくお友だちができたのに、他人行儀は悲しいですわよね」
と、謎の理解を示している。
「はぁ……カラメルが上手くできて良かったよ。明日はもっと硬いプリンになるように、加熱時間に気をつけてみるね」
「うん。早くマリアさんみたいなプリンにたどり着けるといいね!」
べ、別に目指してないし……
「あ~ぁ。また町に行きたいな」
とアレクが言った。
「行けばいいじゃない?駄目なの?」
「マーガレットにハンカチを贈ったでしょ?あれがね……」
「喜んでもらえたんでしょ?」
私はマーガレット様を見た。
「はい!マルガリータのドレスを連想させる、素敵なハンカチでしたわ」
嬉しそうなマーガレット様。
「喜んでもらえて、良かったね」
「良いことばかりじゃなくて……」
顔を曇らせるアレク。
「『殿下が買い物をなさった店である』って、広まっちゃったの。そうすると、特別扱いだ!って他の店から苦情がきちゃって……」
同情する様子でアレクの顔を見つめるマーガレット様。
「あらら、そんなことが……色々と難しいのね~王族ともなるとさ」
「そうなんだよ……」
「早く、王太子さまにお子様がお産まれになれば、公爵になれるのにね」
「ん!!!!それだっ!!!」
アレク=殿下は立ち上がった。
「さすが!ジェシカ!心の友よ!」
ん!?何か私、言いました???
「兄上に、言ってくる~」
アレク=殿下は、早歩きで出て行った。
急いでも、走らないあたりが王族っぽいな。
残されたマーガレット様に会釈すると、マーガレット様は笑って
「あなたといると、アレックスは子どもに戻るみたいだわ」
と言った。
0
お気に入りに追加
96
あなたにおすすめの小説
断罪シーンを自分の夢だと思った悪役令嬢はヒロインに成り代わるべく画策する。
メカ喜楽直人
恋愛
さっきまでやってた18禁乙女ゲームの断罪シーンを夢に見てるっぽい?
「アルテシア・シンクレア公爵令嬢、私はお前との婚約を破棄する。このまま修道院に向かい、これまで自分がやってきた行いを深く考え、その罪を贖う一生を終えるがいい!」
冷たい床に顔を押し付けられた屈辱と、両肩を押さえつけられた痛み。
そして、ちらりと顔を上げれば金髪碧眼のザ王子様なキンキラ衣装を身に着けたイケメンが、聞き覚えのある名前を呼んで、婚約破棄を告げているところだった。
自分が夢の中で悪役令嬢になっていることに気が付いた私は、逆ハーに成功したらしい愛され系ヒロインに対抗して自分がヒロインポジを奪い取るべく行動を開始した。
運命の番?棄てたのは貴方です
ひよこ1号
恋愛
竜人族の侯爵令嬢エデュラには愛する番が居た。二人は幼い頃に出会い、婚約していたが、番である第一王子エリンギルは、新たに番と名乗り出たリリアーデと婚約する。邪魔になったエデュラとの婚約を解消し、番を引き裂いた大罪人として追放するが……。一方で幼い頃に出会った侯爵令嬢を忘れられない帝国の皇子は、男爵令息と身分を偽り竜人国へと留学していた。
番との運命の出会いと別離の物語。番でない人々の貫く愛。
※自己設定満載ですので気を付けてください。
※性描写はないですが、一線を越える個所もあります
※多少の残酷表現あります。
以上2点からセルフレイティング
幼馴染がそんなに良いなら、婚約解消いたしましょうか?
ルイス
恋愛
「アーチェ、君は明るいのは良いんだけれど、お淑やかさが足りないと思うんだ。貴族令嬢であれば、もっと気品を持ってだね。例えば、ニーナのような……」
「はあ……なるほどね」
伯爵令嬢のアーチェと伯爵令息のウォーレスは幼馴染であり婚約関係でもあった。
彼らにはもう一人、ニーナという幼馴染が居た。
アーチェはウォーレスが性格面でニーナと比べ過ぎることに辟易し、婚約解消を申し出る。
ウォーレスも納得し、婚約解消は無事に成立したはずだったが……。
ウォーレスはニーナのことを大切にしながらも、アーチェのことも忘れられないと言って来る始末だった……。
【取り下げ予定】愛されない妃ですので。
ごろごろみかん。
恋愛
王妃になんて、望んでなったわけではない。
国王夫妻のリュシアンとミレーゼの関係は冷えきっていた。
「僕はきみを愛していない」
はっきりそう告げた彼は、ミレーゼ以外の女性を抱き、愛を囁いた。
『お飾り王妃』の名を戴くミレーゼだが、ある日彼女は側妃たちの諍いに巻き込まれ、命を落としてしまう。
(ああ、私の人生ってなんだったんだろう──?)
そう思って人生に終止符を打ったミレーゼだったが、気がつくと結婚前に戻っていた。
しかも、別の人間になっている?
なぜか見知らぬ伯爵令嬢になってしまったミレーゼだが、彼女は決意する。新たな人生、今度はリュシアンに関わることなく、平凡で優しい幸せを掴もう、と。
*年齢制限を18→15に変更しました。
転生おばさんは有能な侍女
吉田ルネ
恋愛
五十四才の人生あきらめモードのおばさんが転生した先は、可憐なお嬢さまの侍女でした
え? 婚約者が浮気? え? 国家転覆の陰謀?
転生おばさんは忙しい
そして、新しい恋の予感……
てへ
豊富な(?)人生経験をもとに、お嬢さまをおたすけするぞ!
王女殿下の秘密の恋人である騎士と結婚することになりました
鳴哉
恋愛
王女殿下の侍女と
王女殿下の騎士 の話
短いので、サクッと読んでもらえると思います。
読みやすいように、3話に分けました。
毎日1回、予約投稿します。
花婿が差し替えられました
凛江
恋愛
伯爵令嬢アリスの結婚式当日、突然花婿が相手の弟クロードに差し替えられた。
元々結婚相手など誰でもよかったアリスにはどうでもいいが、クロードは相当不満らしい。
その不満が花嫁に向かい、初夜の晩に爆発!二人はそのまま白い結婚に突入するのだった。
ラブコメ風(?)西洋ファンタジーの予定です。
※『お転婆令嬢』と『さげわたし』読んでくださっている方、話がなかなか完結せず申し訳ありません。
ゆっくりでも完結させるつもりなので長い目で見ていただけると嬉しいです。
こちらの話は、早めに(80000字くらい?)完結させる予定です。
出来るだけ休まず突っ走りたいと思いますので、読んでいただけたら嬉しいです!
※すみません、100000字くらいになりそうです…。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる