上 下
17 / 52
Case02.

9.性悪留学生女現る

しおりを挟む
アレクとプリンを食べて、その日は結局図書館には行かなかった。

公爵令嬢に感想を教える約束をしていたけれど、やっぱり『マルガリータ』を読んでからじゃないと、『専属侍女ルシア』を読む気にはならないから。

そろそろ、令嬢読み終わるかな?



次の日の食堂部でのこと。

珍しく公爵令嬢が食堂に現れた。
後にグリズリーベアはいない。

(校内にはグリズリーベアは入れないのかな?護衛騎士を許可したら、校内中護衛騎士だらけになっちゃうからか?)

そう思いながら、公爵令嬢を目で追った。
手は鍋をかき混ぜているけれど。



「貴女、借金のせいで食堂で食事をしなければならないほどなのかしら?」

ん?この下品な声はなんだ?

声の方を見ると、ゲッあれは、隣国からの留学生ではないか!
第三王子を狙っているという専らの噂(食堂部で働いてると、噂はじゃんじゃん聴こえてくる)の。


同じく隣国からの留学生を引き連れて、下品な顔をして公爵令嬢に近づいた。


「あら、今日はあの熊みたいな護衛騎士は一緒じゃないのですか?」

ニヤニヤしながら、公爵令嬢に絡む留学生。
名前何だっけ???
あ!イザベラだった。留学生イザベラ。


「彼は、校内には入りませんから」
令嬢は静かに答えた。

「貴女の家は、もうじき没落するんでしょ?それなのに、まだ王子の婚約者でいるつもりなの?それは図々しいのではないかしら?」
「それは、貴女に心配していただくことではありませんわ」

ハッキリと言われて、留学生イザベラは顔を真っ赤にした。


「あんたなんて、あの熊みたいな男がお似合いなのよ!もうじき、この学校にも通えなくなるわね!本も買えないくらい困窮しているんでしょ?恥ずかしくて、学校の図書館には通えずに、町の図書館に通ってるくせに!」


令嬢が町の図書館に通っているのは、そういう理由だったの?
学校の図書館を利用しなかったのは、恥ずかしかったから?
いや、別に学校の図書館利用するのは恥ずかしくないし?
イザベラって、馬鹿なのか?


「とにかく、王子との結婚は辞退するべきよっ」
鼻息荒くまくしたてる性悪女イザベラ。


すると、食堂の入口付近から短く悲鳴があがった。
モーセの十戒のごとく、人垣が割れて、小柄な男子生徒が現れた。後に沢山の護衛を引き連れて。


「ジェシカという従業員はいるか?」
従者の大きな声。

!!!私???


主任が『また、何かやらかしたのか!』という目で私を見る。


何もやってませんけど!!!
図書館のオヤジのスープに粉唐辛子を入れているくらいです!

しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

運命の番?棄てたのは貴方です

ひよこ1号
恋愛
竜人族の侯爵令嬢エデュラには愛する番が居た。二人は幼い頃に出会い、婚約していたが、番である第一王子エリンギルは、新たに番と名乗り出たリリアーデと婚約する。邪魔になったエデュラとの婚約を解消し、番を引き裂いた大罪人として追放するが……。一方で幼い頃に出会った侯爵令嬢を忘れられない帝国の皇子は、男爵令息と身分を偽り竜人国へと留学していた。 番との運命の出会いと別離の物語。番でない人々の貫く愛。 ※自己設定満載ですので気を付けてください。 ※性描写はないですが、一線を越える個所もあります ※多少の残酷表現あります。 以上2点からセルフレイティング

【完結】美しい人。

❄️冬は つとめて
恋愛
「あなたが、ウイリアム兄様の婚約者? 」 「わたくし、カミーユと言いますの。ねえ、あなたがウイリアム兄様の婚約者で、間違いないかしら。」 「ねえ、返事は。」 「はい。私、ウイリアム様と婚約しています ナンシー。ナンシー・ヘルシンキ伯爵令嬢です。」 彼女の前に現れたのは、とても美しい人でした。

一年で死ぬなら

朝山みどり
恋愛
一族のお食事会の主な話題はクレアをばかにする事と同じ年のいとこを褒めることだった。 理不尽と思いながらもクレアはじっと下を向いていた。 そんなある日、体の不調が続いたクレアは医者に行った。 そこでクレアは心臓が弱っていて、余命一年とわかった。 一年、我慢しても一年。好きにしても一年。吹っ切れたクレアは・・・・・

側妃、で御座いますか?承知いたしました、ただし条件があります。

とうや
恋愛
「私はシャーロットを妻にしようと思う。君は側妃になってくれ」 成婚の儀を迎える半年前。王太子セオドアは、15年も婚約者だったエマにそう言った。微笑んだままのエマ・シーグローブ公爵令嬢と、驚きの余り硬直する近衛騎士ケイレブ・シェパード。幼馴染だった3人の関係は、シャーロットという少女によって崩れた。 「側妃、で御座いますか?承知いたしました、ただし条件があります」 ********************************************        ATTENTION ******************************************** *世界軸は『側近候補を外されて覚醒したら〜』あたりの、なんちゃってヨーロッパ風。魔法はあるけれど魔王もいないし神様も遠い存在。そんなご都合主義で設定うすうすの世界です。 *いつものような残酷な表現はありませんが、倫理観に難ありで軽い胸糞です。タグを良くご覧ください。 *R-15は保険です。

〖完結〗では、婚約解消いたしましょう。

藍川みいな
恋愛
三年婚約しているオリバー殿下は、最近別の女性とばかり一緒にいる。 学園で行われる年に一度のダンスパーティーにも、私ではなくセシリー様を誘っていた。まるで二人が婚約者同士のように思える。 そのダンスパーティーで、オリバー殿下は私を責め、婚約を考え直すと言い出した。 それなら、婚約を解消いたしましょう。 そしてすぐに、婚約者に立候補したいという人が現れて……!? 設定ゆるゆるの、架空の世界のお話しです。

「わかれよう」そうおっしゃったのはあなたの方だったのに。

友坂 悠
恋愛
侯爵夫人のマリエルは、夫のジュリウスから一年後の離縁を提案される。 あと一年白い結婚を続ければ、世間体を気にせず離婚できるから、と。 ジュリウスにとっては亡き父が進めた政略結婚、侯爵位を継いだ今、それを解消したいと思っていたのだった。 「君にだってきっと本当に好きな人が現れるさ。私は元々こうした政略婚は嫌いだったんだ。父に逆らうことができず君を娶ってしまったことは本当に後悔している。だからさ、一年後には離婚をして、第二の人生をちゃんと歩んでいくべきだと思うんだよ。お互いにね」 「わかりました……」 「私は君を解放してあげたいんだ。君が幸せになるために」 そうおっしゃるジュリウスに、逆らうこともできず受け入れるマリエルだったけれど……。 勘違い、すれ違いな夫婦の恋。 前半はヒロイン、中盤はヒーロー視点でお贈りします。 四万字ほどの中編。お楽しみいただけたらうれしいです。

【完結】愛に裏切られた私と、愛を諦めなかった元夫

紫崎 藍華
恋愛
政略結婚だったにも関わらず、スティーヴンはイルマに浮気し、妻のミシェルを捨てた。 スティーヴンは政略結婚の重要性を理解できていなかった。 そのような男の愛が許されるはずないのだが、彼は愛を貫いた。 捨てられたミシェルも貴族という立場に翻弄されつつも、一つの答えを見出した。

愛されていないのですね、ではさようなら。

杉本凪咲
恋愛
夫から告げられた冷徹な言葉。 「お前へ愛は存在しない。さっさと消えろ」 私はその言葉を受け入れると夫の元を去り……

処理中です...