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154.ディエゴは辺境伯の次男

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「あーちゃん!」
リナはアリシアに抱きついた。

「怖かったよ!けど、あーちゃんがかっこよかった!」
抱きついたまま、アリシアに伝えるリナ。


「そうだな。かっこよかったよ。あーちゃん」

ジャンにも褒められて、アリシアは照れくさそうに笑った。


「私も、自分があんな風に振る舞えるとは思わなかったの。なのに、勝手に言葉がポロポロ出てきたわ」

「ロナ校長降臨みたいな迫力があったな」
イザックが言うと、ジャンは笑った。

「確かに!ロナさんのテイストが盛り込まれていたな」
「ママは、マルタン神にも勝つからね」

リナも同意する。



「にしても、なんでディエゴに牛の世話をしろって言ったんだよ?」
イザックはアリシアに言った。

「だって、『バター醤油芋もち』が名物になるでしょ?バターを作るために牛を飼いたいって言ってたじゃない」

アリシアは微笑んだ。


「あー確かに。ジュールさんが近隣に頼むかどうするかって言ってた気もしなくもないな」
イザックは頷いた。


「今後、ボーヴォの大型開発にはルフェーブル候爵家が関わってくるわ。ベルトラン家だって、一枚かみたいはずよ?そのために、ヒントをあげたのよ。活かせるかどうかは、ディエゴ次第ね」


「あーちゃん。さっきの男の人は?」
リナは訊いた。


「ディエゴ・ベルトラン。ここ、辺境伯の次男ね。ずっと王都の学園に通っていたけれど、こっちに戻って来ていたのね」

「辺境伯の次男だったのね!?」


「最近は、ウチとの取引についても関わるようになってきたけれど、本人があの調子だから、結局はよく分かってないんだろ?」
ジャンは苦々しい様子で言った。


「結構、嫌な思いをさせられているの?」
アリシアが訊くと


「まぁ、平民の商会くらいに思ってるからな……ディエゴさんは」

「ルフェーブル候爵家の曾孫なのは、隠してたのか?」
イザックはジャンに訊いた。


「まぁ、祖父は男爵だし、親父は準男爵だし、俺は平民なんだから、特に言うこともないだろ?」

「そんなもんか」
納得のいかない顔のイザックに

「そんなもんだ」
と、ジャンは肩を叩いた。


「なんか、力抜けたら、お腹すいた!なんか食べたい!」
リナが言うと、みんな同意した。


「ジャン兄さん。ここはどんな料理が有名が?」
「どんな料理か……特に有名なものはないけど、東の国と交流があるから、うどんみたいな料理があるぞ。うどんを野菜や肉と焼いてある」


「食べたい!」
「私も食べてみたいわ」
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