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151.ビジネスの種はどこに落ちているのか

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リナは服屋で洋服を選んでいる。

アリシアは貴族の令嬢の街歩きのドレスや、裕福な庶民が着る服をリナにあててみた。

「どう?」
アリシアはイザックに訊いた。

「ん~。全く分からん」
イザックは困り顔でジャンを見た。

ジャンは苦笑いをして

「貴族ではないのだから、ドレスも街歩きのもので失礼には当たらないだろう?親父やアンドレにリナも合わせてくれればいいさ。逆に貴族でもないのに!って不快に思われるよりずっといい。あーちゃんの見立てで間違いないだろ」

と言った。

「あーちゃんは、どれが似合うと思う?王都の人に笑われないのにして?」
リナが頼むので、アリシアは何着かドレスを選んでやった。


「もっと、気軽に着れる服も欲しいな」
「気軽?どんな?」

「セットアップみたいな」
「セットアップ?」

「上下で分かれている服なの。素材が一緒だから、デザインによってはドレスやスーツみたいに見えたりするの」
「そんな服があるのね?」


リナは店内を見回すと、ブラウスとスカートを持ってきた。

「これ、素材はちょっと違うけど、色味が似てるでしょ」

リナは店員に試着していいか確認をして、着替えた。


「じゃじゃん♪上下で着たらこんな感じでしょ?これが、上のブラウスをこうやって絞りながらスカートの中に入れるでしょ?そして、このスカーフでこうやってウエストに巻き付けると……」

リナは説明しながら、スカーフを結んでリボンを腰の上に作った。


「どう?あーちゃん。これならひとりでも着れるでしょ?」

アリシアは興味深げに、リナが着ている服を見た。

「デザインを少し考えたら、素敵になりそうね」

しげしげと見る。

「スカートじゃなくて、スカートに見えるズボンにすれば、もっと動きやすいよ?」

「スカートにみえるズボン?」

アリシアにはリナが言ってることがよく分からなかった。

「イザックさん、ちょっとこっちきて!」

リナはイザックを呼ぶと、イザックのズボンを指しながら、ウエスト部分にタックを入れて、ズボンのすそをスカートのように広げるのだと説明した。


「ドレスと同じ生地で作ると、華やかさもでるかもしれないわ」

アリシアはリナをクルクルと回して、色々な角度からチェックしている。


ジャンはそんなふたりを見ていたが、服屋の責任者を呼ぶと、何かを話しかけた。
責任者は、リナのところにやってくると、アリシアと一緒にリナをクルクルと回した。


「な、な、なに?」

「リナ、お前が言ってたセットアップとやらをオーダーしろよ」
ジャンは言った。

「オーダーって……」
リナは慌てた。
前世の記憶で好き勝手に言っていただけなのだ。


「あーちゃん、王都でうけそうなデザインと素材を考えて欲しい」
ジャンはアリシアに言った。

「わ、分かったわ」
アリシアは頷いた。

「俺もリナを見習おうと思ってな。ビジネスの種はどこに落ちてるか分からないな」

ジャンはイザックにウインクをした。
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