144 / 176
147.アリシアの戸惑い
しおりを挟む
「リナ、今度の休みにジャンが辺境伯領に買い物連れて行ってくれるって」
イザックは出勤してきたリナに言った。
「えっ!本当?」
「あぁ。リナとシアと俺とジャンとジュールさんで」
「えー楽しみ~♪」
「良かったでござるな」
宗長に言われて、リナは大きく頷いた。
「楽しみだよ~辺境伯領!本屋さんとかも行ってみたい!」
リナは喜んだ。
「本屋は王都の本屋に行けばいいのに」
イザックが笑うと、
「初めての本屋が王都の本屋なんて、無理!経験を積んで行かないとなの」
リナは真剣な顔で言った。
「本だけじゃなくて、ちゃんと王都用の服もあーちゃん殿に見立ててもらうのでござるよ?」
宗長に言われて
「分かってる!あーちゃんに、ちゃんと見てもらうもん♪」
と返したリナは本当に嬉しそうだった。
ついこの間まで、王都に暮していたアリシアにとっては、辺境伯領はきっともの足りなく感じることだろう。
けれど、家から追い出され挙げ句、森に捨てられた自分は、もう王都に戻ることはできないだろう。
懐かしくも、辛く悲しい王都。
「シア?」
声をかけられ、ふと我に返ると、イザックが心配そうな顔で見ていた。
「ん?」
「いや。その、大丈夫か?」
イザックは、アリシアが何かを思い出していることに気づいたのだろう。
候爵家の令嬢として、自由に王都を満喫していた日々。
もう戻らない日々。
「リナちゃんに似合って、王都に馴染む服を選んであげるわ」
アリシアは言った。
そして、次の休日に一行は辺境伯領へと買い物にでかけた。
先日、滝と湖に視察に行った時にもジュールが出してくれた馬車で。
「ジュールさんも買い物?」
リナがジュールに訊いた。
「いや。買い物は4人で行っておいで。ジャン、お前しか分からないんだから、ちゃんと案内しろよ?」
「分かった」
ジャンはジュールに返事をして、リナに
「走り出して迷子になるなよ」
と言った。
「ならない!って言いたいけど、自信ない……ジャン兄さん。手繋いで歩いてね」
リナは心細そうに言ったので、ジャンは笑った。
「分かった、分かった。迷子を探す方が大変だからな。着いたら、手を繋いで歩こうな」
ジャンがリナに微笑む姿を見て、アリシアの胸はチクリと痛んだ。
「?」
「どうした?」
イザックがアリシアに声を掛けた。
「?何でも?」
「いや。なんか、馬車に酔ったかと思って」
イザックがアリシアに言うと、
「大丈夫。酔ったりしていないわ」
とアリシアは答えた。
馬車に酔った訳では無い。
初めて感じた胸の痛みに、戸惑っただけなのだ。
イザックは出勤してきたリナに言った。
「えっ!本当?」
「あぁ。リナとシアと俺とジャンとジュールさんで」
「えー楽しみ~♪」
「良かったでござるな」
宗長に言われて、リナは大きく頷いた。
「楽しみだよ~辺境伯領!本屋さんとかも行ってみたい!」
リナは喜んだ。
「本屋は王都の本屋に行けばいいのに」
イザックが笑うと、
「初めての本屋が王都の本屋なんて、無理!経験を積んで行かないとなの」
リナは真剣な顔で言った。
「本だけじゃなくて、ちゃんと王都用の服もあーちゃん殿に見立ててもらうのでござるよ?」
宗長に言われて
「分かってる!あーちゃんに、ちゃんと見てもらうもん♪」
と返したリナは本当に嬉しそうだった。
ついこの間まで、王都に暮していたアリシアにとっては、辺境伯領はきっともの足りなく感じることだろう。
けれど、家から追い出され挙げ句、森に捨てられた自分は、もう王都に戻ることはできないだろう。
懐かしくも、辛く悲しい王都。
「シア?」
声をかけられ、ふと我に返ると、イザックが心配そうな顔で見ていた。
「ん?」
「いや。その、大丈夫か?」
イザックは、アリシアが何かを思い出していることに気づいたのだろう。
候爵家の令嬢として、自由に王都を満喫していた日々。
もう戻らない日々。
「リナちゃんに似合って、王都に馴染む服を選んであげるわ」
アリシアは言った。
そして、次の休日に一行は辺境伯領へと買い物にでかけた。
先日、滝と湖に視察に行った時にもジュールが出してくれた馬車で。
「ジュールさんも買い物?」
リナがジュールに訊いた。
「いや。買い物は4人で行っておいで。ジャン、お前しか分からないんだから、ちゃんと案内しろよ?」
「分かった」
ジャンはジュールに返事をして、リナに
「走り出して迷子になるなよ」
と言った。
「ならない!って言いたいけど、自信ない……ジャン兄さん。手繋いで歩いてね」
リナは心細そうに言ったので、ジャンは笑った。
「分かった、分かった。迷子を探す方が大変だからな。着いたら、手を繋いで歩こうな」
ジャンがリナに微笑む姿を見て、アリシアの胸はチクリと痛んだ。
「?」
「どうした?」
イザックがアリシアに声を掛けた。
「?何でも?」
「いや。なんか、馬車に酔ったかと思って」
イザックがアリシアに言うと、
「大丈夫。酔ったりしていないわ」
とアリシアは答えた。
馬車に酔った訳では無い。
初めて感じた胸の痛みに、戸惑っただけなのだ。
28
あなたにおすすめの小説
異世界に転移したら、孤児院でごはん係になりました
雪月夜狐
ファンタジー
ある日突然、異世界に転移してしまったユウ。
気がつけば、そこは辺境にある小さな孤児院だった。
剣も魔法も使えないユウにできるのは、
子供たちのごはんを作り、洗濯をして、寝かしつけをすることだけ。
……のはずが、なぜか料理や家事といった
日常のことだけが、やたらとうまくいく。
無口な男の子、甘えん坊の女の子、元気いっぱいな年長組。
個性豊かな子供たちに囲まれて、
ユウは孤児院の「ごはん係」として、毎日を過ごしていく。
やがて、かつてこの孤児院で育った冒険者や商人たちも顔を出し、
孤児院は少しずつ、人が集まる場所になっていく。
戦わない、争わない。
ただ、ごはんを作って、今日をちゃんと暮らすだけ。
ほんわか天然な世話係と子供たちの日常を描く、
やさしい異世界孤児院ファンタジー。
少し冷めた村人少年の冒険記
mizuno sei
ファンタジー
辺境の村に生まれた少年トーマ。実は日本でシステムエンジニアとして働き、過労死した三十前の男の生まれ変わりだった。
トーマの家は貧しい農家で、神から授かった能力も、村の人たちからは「はずれギフト」とさげすまれるわけの分からないものだった。
優しい家族のために、自分の食い扶持を減らそうと家を出る決心をしたトーマは、唯一無二の相棒、「心の声」である〈ナビ〉とともに、未知の世界へと旅立つのであった。
【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜
一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m
✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。
【あらすじ】
神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!
そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!
事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます!
カクヨム(吉野 ひな)にて、先行投稿しています。
異世界転生旅日記〜生活魔法は無限大!〜
一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
農家の四男に転生したルイ。
そんなルイは、五歳の高熱を出した闘病中に、前世の記憶を思い出し、ステータスを見れることに気付き、自分の能力を自覚した。
農家の四男には未来はないと、家族に隠れて金策を開始する。
十歳の時に行われたスキル鑑定の儀で、スキル【生活魔法 Lv.∞】と【鑑定 Lv.3】を授かったが、親父に「家の役には立たない」と、家を追い出される。
家を追い出されるきっかけとなった【生活魔法】だが、転生あるある?の思わぬ展開を迎えることになる。
ルイの安寧の地を求めた旅が、今始まる!
見切り発車。不定期更新。
カクヨム(吉野 ひな)にて、先行投稿しています。
異世界でも保育士やってます~転生先に希望条件が反映されてないんですが!?~
こじまき
ファンタジー
【読んでいただいて♡いただいて、ありがとうございます。王城編準備中のため、12月12日からしばらく更新お休みします。考えてた構成が「やっぱなんか違う」ってなり、慌てております…汗】
「こんな転生先だなんて聞いてないっ!」六年間付き合った彼氏に婚約を解消され、傷心のまま交通事故で亡くなった保育士・サチ。異世界転生するにあたり創造神に「能力はチートで、広い家で優しい旦那様と子だくさんの家庭を築きたい」とリクエストする。「任せといて!」と言われたから安心して異世界で目を覚ましたものの、そこはド田舎の山小屋。周囲は過疎高齢化していて結婚適齢期の男性なんていもしないし、チートな魔法も使えそうにない。創造神を恨みつつマニュアル通り街に出ると、そこで「魔力持ち」として忌み嫌われる子どもたちとの出会いが。「子どもには安心して楽しく過ごせる場所が必要」が信条のサチは、彼らを小屋に連れ帰ることを決め、異世界で保育士兼りんご農家生活を始める。
憧れのスローライフを異世界で?
さくらもち
ファンタジー
アラフォー独身女子 雪菜は最近ではネット小説しか楽しみが無い寂しく会社と自宅を往復するだけの生活をしていたが、仕事中に突然目眩がして気がつくと転生したようで幼女だった。
日々成長しつつネット小説テンプレキターと転生先でのんびりスローライフをするための地盤堅めに邁進する。
異世界転生~チート魔法でスローライフ
玲央
ファンタジー
【あらすじ⠀】都会で産まれ育ち、学生時代を過ごし 社会人になって早20年。
43歳になった主人公。趣味はアニメや漫画、スポーツ等 多岐に渡る。
その中でも最近嵌ってるのは「ソロキャンプ」
大型連休を利用して、
穴場スポットへやってきた!
テントを建て、BBQコンロに
テーブル等用意して……。
近くの川まで散歩しに来たら、
何やら動物か?の気配が……
木の影からこっそり覗くとそこには……
キラキラと光注ぐように発光した
「え!オオカミ!」
3メートルはありそうな巨大なオオカミが!!
急いでテントまで戻ってくると
「え!ここどこだ??」
都会の生活に疲れた主人公が、
異世界へ転生して 冒険者になって
魔物を倒したり、現代知識で商売したり…… 。
恋愛は多分ありません。
基本スローライフを目指してます(笑)
※挿絵有りますが、自作です。
無断転載はしてません。
イラストは、あくまで私のイメージです
※当初恋愛無しで進めようと書いていましたが
少し趣向を変えて、
若干ですが恋愛有りになります。
※カクヨム、なろうでも公開しています
英雄召喚〜帝国貴族の異世界統一戦記〜
駄作ハル
ファンタジー
異世界の大貴族レオ=ウィルフリードとして転生した平凡サラリーマン。
しかし、待っていたのは平和な日常などではなかった。急速な領土拡大を目論む帝国の貴族としての日々は、戦いの連続であった───
そんなレオに与えられたスキル『英雄召喚』。それは現世で英雄と呼ばれる人々を呼び出す能力。『鬼の副長』土方歳三、『臥龍』所轄孔明、『空の魔王』ハンス=ウルリッヒ・ルーデル、『革命の申し子』ナポレオン・ボナパルト、『万能人』レオナルド・ダ・ヴィンチ。
前世からの知識と英雄たちの逸話にまつわる能力を使い、大切な人を守るべく争いにまみれた異世界に平和をもたらす為の戦いが幕を開ける!
完結まで毎日投稿!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる