上 下
140 / 175

143.王都はどんなところなの?

しおりを挟む
「あーちゃん。王都って、面白い所?」
リナはアリシアに訊いてみた。


「面白い?」
アリシアはリナに訊き返した。

「楽しい所?」

「……庶民も暮しているから、リナ……ちゃんが、庶民の生活を体験してみようと思っているのなら、楽しい所かもね」
アリシアは、遠まわしな言い方をした。


「もっと、はっきりと言ってほしい」
リナは言った。
アリシアは、イザックをチラリと見てから、

「田舎の平民が、王都に行っても、貴族の世界には関われないと思うから、過度な期待をして行くと、泣くことになると思うわ……よ」
最後はリナを気遣ってか、小さな声になってしまった。

「相手にされないってこと?立ち入りも出来ない感じ?」
「同行する人が中位以上の貴族なら、大丈夫だと思うけど……」


「大丈夫よ?マルタンさん一緒だし」
「でも、マルタン商会の会長は貴族ではないと……」 


「でも、マルタンさんは男爵家の人だし、今回会う予定の人は伯爵家の人だし、大丈夫じゃない?ライアンも来てくれるみたいだし」
ロナはあまり心配していないように言った。


「そう……ですか。伯爵家の方が同行されるなら、大丈夫かもしれませんね」
アリシアは、それでも心配そうに言った。

「あーちゃん、ありがとう。心配してくれて。王都って怖いとこなんだね。マルタンさんや、ライアンの言う事をちゃんと聞くことにするね」
リナはアリシアに礼を言った。


アリシアはイザックが描いた絵に、お店の名前と職種を書き込んでいった。


「美味しいお菓子のお店ある?」
「あるわよ。ここの焼き菓子は、女の子たちに人気があるわ」
「へ~。名前に丸付けておいて」

リナはアリシアとイザックが作る地図を楽しそうに眺めていた。


「リナちゃん。王都に何を着ていくつもり?」
「あ!そうか!ママ!どうしよう!服!」
リナは慌ててロナに言った。
普段、村で暮らす分には、どんな格好でも気にしていなかった。
けれど、王都に行くとなると話は別だ。


「辺境伯領に買い物行かなきゃかな?ママ?」
「ジュールさんに買ってきてもらえば?」

「えー!!ジュールさんが女物の服買うの?」
「だめか……」

「あーちゃんに選んで貰おうかな?あーちゃん!一緒に辺境伯領行ってくれる?」
「いいけど……どうやって辺境伯領まで行くの?」


「ジュールさんに連れて行ってもらうか、ジャン兄さんに連れて行ってもらうか、辻馬車」
リナが答えると、

「辻馬車は勧めないな。ジャンに頼めば?」
と横からイザックが言った。

「何で?辻馬車ダメなの?」
リナはイザックに訊いた。

「若い女の子がふたりだけで、辻馬車なんか乗ったら、どこに連れて行かれるか分からない。危なすぎる」
「そうか……」
「ジャンに頼めよ」
「……うん。訊いてみる」

リナがそう言うと、イザックは安心したように頷いた。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

異世界転移して5分で帰らされた帰宅部 帰宅魔法で現世と異世界を行ったり来たり

細波みずき
ファンタジー
異世界転移して5分で帰らされた男、赤羽。家に帰るとテレビから第4次世界大戦の発令のニュースが飛び込む。第3次すらまだですけど!? チートスキル「帰宅」で現世と異世界を行ったり来たり!? 「帰宅」で世界を救え!

チート幼女とSSSランク冒険者

紅 蓮也
ファンタジー
【更新休止中】 三十歳の誕生日に通り魔に刺され人生を終えた小鳥遊葵が 過去にも失敗しまくりの神様から異世界転生を頼まれる。 神様は自分が長々と語っていたからなのに、ある程度は魔法が使える体にしとく、無限収納もあげるといい、時間があまり無いからさっさと転生しちゃおっかと言いだし、転生のため光に包まれ意識が無くなる直前、神様から不安を感じさせる言葉が聞こえたが、どうする事もできない私はそのまま転生された。 目を開けると日本人の男女の顔があった。 転生から四年がたったある日、神様が現れ、異世界じゃなくて地球に転生させちゃったと・・・ 他の人を新たに異世界に転生させるのは無理だからと本来行くはずだった異世界に転移することに・・・ 転移するとそこは森の中でした。見たこともない魔獣に襲われているところを冒険者に助けられる。 そして転移により家族がいない葵は、冒険者になり助けてくれた冒険者たちと冒険したり、しなかったりする物語 ※この作品は小説家になろう様、カクヨム様、ノベルバ様、エブリスタ様でも掲載しています。

知らない異世界を生き抜く方法

明日葉
ファンタジー
異世界転生、とか、異世界召喚、とか。そんなジャンルの小説や漫画は好きで読んでいたけれど。よく元ネタになるようなゲームはやったことがない。 なんの情報もない異世界で、当然自分の立ち位置もわからなければ立ち回りもわからない。 そんな状況で生き抜く方法は?

憧れのスローライフを異世界で?

さくらもち
ファンタジー
アラフォー独身女子 雪菜は最近ではネット小説しか楽しみが無い寂しく会社と自宅を往復するだけの生活をしていたが、仕事中に突然目眩がして気がつくと転生したようで幼女だった。 日々成長しつつネット小説テンプレキターと転生先でのんびりスローライフをするための地盤堅めに邁進する。

料理スキルで完璧な料理が作れるようになったから、異世界を満喫します

黒木 楓
恋愛
 隣の部屋の住人というだけで、女子高生2人が行った異世界転移の儀式に私、アカネは巻き込まれてしまう。  どうやら儀式は成功したみたいで、女子高生2人は聖女や賢者といったスキルを手に入れたらしい。  巻き込まれた私のスキルは「料理」スキルだけど、それは手順を省略して完璧な料理が作れる凄いスキルだった。  転生者で1人だけ立場が悪かった私は、こき使われることを恐れてスキルの力を隠しながら過ごしていた。  そうしていたら「お前は不要だ」と言われて城から追い出されたけど――こうなったらもう、異世界を満喫するしかないでしょう。

神獣に転生!?人を助けて死んだら異世界に転生する事になりました

Miki
ファンタジー
学校が終わりバイトに行く途中、子供を助けて代わりに死んでしまった。 実は、助けた子供は別の世界の神様でお詫びに自分の世界に転生させてくれると言う。 何か欲しい能力があるか聞かれたので希望をいい、いよいよ異世界に転生すると・・・・・・ 何故か神獣に転生していた! 始めて書いた小説なので、文章がおかしかったり誤字などあるかもしてませんがよろしくお願いいたします。 更新は、話が思いついたらするので早く更新できる時としばらく更新てきない時があります。ご了承ください。 人との接し方などコミュニケーションが苦手なので感想等は返信できる時とできない時があります。返信できなかった時はごめんなさいm(_ _)m なるべく返信できるように努力します。

異世界に来ちゃったよ!?

いがむり
ファンタジー
235番……それが彼女の名前。記憶喪失の17歳で沢山の子どもたちと共にファクトリーと呼ばれるところで楽しく暮らしていた。 しかし、現在森の中。 「とにきゃく、こころこぉ?」 から始まる異世界ストーリー 。 主人公は可愛いです! もふもふだってあります!! 語彙力は………………無いかもしれない…。 とにかく、異世界ファンタジー開幕です! ※不定期投稿です…本当に。 ※誤字・脱字があればお知らせ下さい (※印は鬱表現ありです)

異世界でのんびり暮らしてみることにしました

松石 愛弓
ファンタジー
アラサーの社畜OL 湊 瑠香(みなと るか)は、過労で倒れている時に、露店で買った怪しげな花に導かれ異世界に。忙しく辛かった過去を忘れ、異世界でのんびり楽しく暮らしてみることに。優しい人々や可愛い生物との出会い、不思議な植物、コメディ風に突っ込んだり突っ込まれたり。徐々にコメディ路線になっていく予定です。お話の展開など納得のいかないところがあるかもしれませんが、書くことが未熟者の作者ゆえ見逃していただけると助かります。他サイトにも投稿しています。

処理中です...