オタクな母娘が異世界転生しちゃいました

yanako

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120.フォレールの森の奥-2

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イザックも乗せて、馬車は走り出す。

「今日は凄い楽しみで、あまり眠れませんでした」
イザックは笑った。

「拙者もでござる。おにぎり屋の絵を見て、一度行ってみたいと思っていた故に、ジュール殿には感謝でござる」
宗長も嬉しそうに笑った。

「ふたりとも子どもみたいだね、ママ。遠足の前の子ども」
「あんたもそうだったわねぇ」
「そうだった?」
「……そうだった……」

日本で梨奈と夫と暮らしていた日々。
遠足の前の夜は、楽しみ過ぎて眠れないとよく言っていた。
夫はそんな梨奈を見て笑っていた。
そんなんじゃ、バスの中で居眠りしちゃうぞって……
梨奈を本当に可愛がっていた夫。

私たちが死んだあと、夫はどうしているんだろう。
元気で生きていてくれればいい。

ロナは馬車から外の景色を静かに眺めていた。


「遠足って、何?」
イザックは訊ねた。

「遠足っていうのはね、学校の行事の1つでね。先生と生徒が、日帰りで近くの名所に旅行に行くの」
「旅行でござるか?」

「旅行っていうのは大げさだけど、歩いて目的地まで移動して、移動した先でお弁当食べて、レクリエーションをして、で、帰ってくるの」
「レクリエーションとは、何でござるか?」

「なんでもいいんだけど、散歩したり、体を動かすゲームをしたり、軽い運動をしたり、歌ったり、踊ったりするの」
「それは、楽しそうでござるな」

「楽しいよ。東の国では、桜の下で花見しなかった?」
「したでござる。お重を持って、酒を飲んで食べて、踊ったりしたでござる」
「それもレクリエーションよ」
「それは、楽しいでござるな」

宗長は懐かしそうな顔をした。

「寺子屋でもやろうよ!花見!ねぇ!ママ」
リナはロナに提案した。
「親睦を深めるためにさ、お花見だよ!ママ!」


「さぁ、着いたぞ!こっからは歩いて滝まで行くぞ!」
ジュールの後をみんなでついて行く。

ジュールは絶対にはぐれないようにと注意した。
勝手な行動は命に関わる。

「遅れそうな時は、遠慮せずに声を掛けてくれよ。特にリナとロナさん。遠慮はしないこと。分かった?」
ジュールは再度注意すると森へと入っていった。

「ジュールさん、どれくらい歩くのかしら?」
「俺の足で30分くらいですかね?ゆっくり歩くと40分はかかります」
「分かったわ。楽しみね」

一行はジュールの案内で森の中を進んで行く。
途中途中で、ジュールが木に布を巻いていく。

「もし、はぐれた場合は布が巻いてある木の下で待つこと。闇雲に歩き回らないで。木を見つけられなかったら……祈って下さい」
「わ、分かった。けど、怖いこと言わないで!」
リナはジュールの上着の裾を掴んだ。



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