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99.選ばれなかった理由-2

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「贈り物もしたこと無いんじゃないの?」
「僕が贈ったものは、ありません。家から贈ったものなので……」
「家から贈ったものならば、あなたでも弟さんでも、同じってことよね。なのに、弟さんを選んだのには、何か理由があるんでしょ?」


「どんな理由なんでしょうか……」
イザックはロナに訊ねた。
「知らないわよ。弟さんが、彼女のに個人的にプレゼントを贈っていたのかもしれないし、手紙を書いていたのかもしれないし、話をしたことがあるのかもしれないじゃない?」

イザックは黙り込んでしまった。


「彼女はあなたにプレゼントはくれなかったの?」
「誕生日プレゼントをくれていました」
「弟さんにも?」
「はい」

「お礼の手紙は書いたの?」
「まぁ、ありがとうございましたくらいは……」
「それだけ?」
「まぁ……」


「ないわ~」
ロナは呆れた声を出して、米焼酒をアンドレに注ぐように求めた。
「ないね。はい、ロナさん」
アンドレも同意しながら、ロナに酒を注ぐ。

「まぁ、それはな……彼女も寂しい思いをしたんじゃないか?」
ライアンも同情的な顔をしている。


「イザック殿は、女心が全く分かってなかったのでござろうな」
宗長は遠慮なく言い放つ。


「ライアンだったら?どうするんだよ」
ジャンはライアンに訊ねた。
「ん?俺だったら?『プレゼントありがとう、とても嬉しかったよ。お礼に食事に行かない?』とかかな?あとは演劇を観に行くか」


「いいわね~ライアンさんはモテるでしょ?」
「僕は婚約者いますんで」
ライアンは照れ臭そうに鼻の頭をかいた。

「あら、そうなの?」
「はい。伯爵家の三女と」
「あら、伯爵家!すごいじゃない!そうか、ライアンさんも曾祖父が侯爵様なのよね」
「まぁ、そうです」

「爵位以上の品位を感じるもんね。ジャンとアンドレも、爵位はなくても、立派な紳士よ!」
「はいはい、ロナさん。ありがとう」
ジャンは、ロナのコップに酒を注ぎ足す。


「まぁとにかく、イザックさんは、女心の全く分からぬ朴念仁ってことよ!」
「ぼくねんじん?」
アンドレの問いに
「そっ、ぼくねんじん!」
と答えるロナを見て、ジャンは

「さっ!ロナさんが酔っ払って宇宙人語を話し始めたから、今日は解散にしよう!ムネナガ、ロナさんを任せていいか?」
「大丈夫でござる」

「じゃあ、僕、皿洗っておくよ」
アンドレがテーブルの上を片付け始める。
「残ったものは、籠に纏めて持ってかえろうか?明日の朝ご飯で食べよう」

アンドレはテキパキと籠にまとめ始める。
残っていた料理を籠にまとめ、使った食器を厨房に下げ、アンドレはあっと言う間に綺麗にしてしまった。






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