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53.僕はアンドレ-2

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僕らが森でパンを食べているのを知ったジャン兄さんは、兄さんの分のパンも僕にくれるようになった。

『俺は晩飯を美味く食べたいから、オヤツは食べたくない。腹が減らないと飯が美味くないから』

って兄さんは言ってたけど、あれはテオとリナにもっと食べさせる為だったんだと、今なら分かる。
兄さんは、本当にカッコイイんだ。

森でパンを食べていると、ジュールさんに会った。
ジュールさんは僕らを見て、『森で食べるとなんで美味しいんだろうな?』と笑って、チーズをくれた。
隣の国のもので、珍しいんだって。
僕らはあまりの美味しさに、はわわってなったんだっけ。

ジュールさんはこの領地を納めてくれている男爵家の次男だ。
長男さんは王都で王宮文官をしているんだって。
長男さんがいずれ男爵を継いでこの領地を納めることになっているんだけど、王宮にいるからジュールさんが男爵様の手伝いをしている。
ジュールさんは次男だから王都の学校には行かなかった。
爵位を継ぐには、王都の学校の貴族科の学位が必要らしいんだけど、お金も高いし、長男さんが学位を取ったから、ジュールさんは王都には行かずに、辺境伯領にある学校の貴族科(領地管理補助コース)に行ったんだって。
もしジュールさんが爵位をもらうためには、王都の学校に行って、追加講習とかを受けて単位を取らないとだめなんだって。

そんな話を聞きながら、どこの家でも次男っていうのは、長男と同じようにはならないものなんだなぁと思った。
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