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最後の戦い
第99話:決心
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アイレがルチルに放った攻撃が空を斬ったとき、グレースはすぐ近くでロックと対峙していた。
周囲は大型の魔物と滅びた国の兵士、ガルダスやアゲートが指揮する大国、そして様々な国の兵士が応戦しており、もはや誰がどこで何と戦っているかもわからない混戦状態。
それでも、グレースは平常心を保ちながら、じっくりと間合いを計っていた。
ロックの主な戦闘方法は剣と懐にいつも潜ませている小刀《しょうとう》による近距離戦。対してグレースは魔法の弓による遠距離戦がメインであり、有利な状況で戦う場合、距離を取る必要性がある。
しかしながら周囲の状況がそれを許さない。
グレースの魔法の矢は卓越したイメージがなせる独特な攻撃方法で、他に類を見ない。実際に具現化する矢と通常の矢の大きな違いは、その多様性にある。氷の矢、炎の矢だけに飽き足らず、様々な工夫を凝らした矢の種類は100を超える。
状況に合わせて放てる上に、さらには当人の魔力量で矢の補充を必要としないことが最大限の利点だと言える。
とどのつまり魔法の矢はただのイメージでしかなく。グレースの想像によってその性質を変化させることが出来る。それは幼いころ、絵を描くことが好きだった自分の心が生み出した唯一無二の才能。
そしてグレースは、生前のロックも知らない才能を突然に開花させた。背負っていた弓を構えることなく、その手に細く長く、高密度な魔力に覆われたレイピアを出現させた。
それは現状におけるグレースが弾き出した状況での最適解。勿論《もちろん》、剣術に関しても申し分ないほどの技術を持ち合わせている。
事実、グレースはロックに剣術を指導してもらった際に数年で同等の技量を体得した。しかしながらそれは傭兵としての仕事ではあまり活躍することはなく、チームのことを一番に考え、遠距離攻撃に重きを置いてきた。
だが今はそのことを考える必要がない。グレースは素手のまま手を突き出すと、突然に出現させたレイピアで一撃を放った。ただの剣ではなくそれは魔力を帯びたレイピア。
ロックは寸前のところで避けたが、腹部を大きく損傷した――
が、何でもないといった表情で、ふたたひ軽口を言い放った。
「おー、いてぇいてぇ、お前の剣術も久しぶりにみたな」
腹部は抉《えぐ》れ、血が滴り落ちているが、痛みで顔を歪ませるといった反応は一切ない。その様子を見てグレースが、
「痛みも感じなくなったか、まるで化け物だな。――ロック、楽しんでるのか?」
可哀そうといった感情を持ち合わせながら、少しだけ笑みを浮かべた。あのロックとふたたび対峙しているのが少し楽しくて、そんな自分が気持ち悪かった。
しかしやはり感情が揺れる。本当は戦いたくなんて――ない。
「最高だな、こんな機会をもらったことに感謝してえぐらいだ」
「自我があるのか?」
「ああ、ぼんやりとな。だが、俺はお前を殺す。それは変わらねえ」
「はっ、よく言うぜ。あの世であたしのこと待ってろよ」
ロックは大量に血を垂れ流したまま、距離を詰めた。生前と変わらない動きと軽やかな足取りで斬りつけてきたが、グレースはそれを難《なん》なく躱《かわ》す。
返しざま、横に薙ぎ払う瞬間、手にしていたレイピアのイメージを変化させて、巨大な斧を出現させた。
相対《そうたい》に重量も変化し、手にズシッと感じるが、そのまま力いっぱい――
「――変わんねえな、その癖」
ロックは斧の腹に脚をかけると、そのまま跳躍した。性質を変化させるとき、ほんの些細な癖がグレースにはあった。それは瞳に映し出される、癖とは言い難いほどの些細な目配せ。
けれどもロックはそれを見逃さなかった。無論、それは魔法の矢のときの話しである。
斧を避け着地すると、ロックは振り返り、懐から小刀《しょうとう》を取り出してグレースの肩に突き刺した。グレースは痛みを我慢しながら、構わないと斧をぐるりと一回転させて振り回すが、ロックは後方に飛び、攻撃を躱《かわ》した。
「……ちきしょう」 わかっていたはずなのに。
グレースは肩の痛みで表情を歪めながら、心の中で悔やんだ。油断は一切してない。だがほんの少しの癖が命取りとなってしまった。
武器の変化は初見であったにも関わらず、そのことに臆することなくロックは反撃してきた。
「そんなこと出来たのか? ――まぁ、でも勝負ありだな。その肩でまともな攻撃を振ることは出来ねぇ、大人しく死にな。意外にも、あの世は悪くねえぜ?」
剣を水平に構え、剣先のグレースを睨んだ。その瞬間を、大勢の人の隙間からアズライトの体を大事に守っていたインザームとフェアがグレースの姿を見つける。
「……ここまでか」
肩を抑え、小声で囁いた。ロックは無情にもそのままグレースを切り付ける。血しぶきが宙に舞い、倒れる瞬間は人混みが邪魔をした。
その一部始終を見ていたインザームとフェアが、
「グレース!」
「グレース!!!!!!!」
思わず叫ぶ。だがすぐに人と魔物が視界の邪魔をして、グレースの姿はすぐに見えなくなる。倒れているアズライトをほおっておくことは出来ない。前方ではアイレとルチルがとんでもない速度で攻防をしている。
この状況に思わず夢じゃないかとフェアは考えたが、何をバカなことをと、唇から血が出るほど噛んだ。自分が動かないとこの状況は打破出来ない。セーヴェルは命を賭《と》して最後に魔法使いとしての誇りを保った。ならば自分が、その意思を受け継がないといけない。
「……インザーム、アズライトを頼んだ」
フェアは立ち上がると、呪文を唱えた。それは古代禁忌魔法でも特に危険とされており、術者の魔力を大幅に向上させることが出来る。だがその代償は酷く脆く、大幅に寿命を縮めるうえに効果は甚だ短い。過去にフォンダトゥールの元で、勝手に見つけた古い本に絵で描かれていた。
インザームは際限なく上がり続けるフェアの魔力が危険極まりないと気付き声をかけた。
「やめろ! フェア! やめるんじゃ!」
だがフェアは止めない。それを少し遠くにいたアイが感知魔法で気づく。同様に姿は見えないが、クリアでさえも震えあがった。
それはもちろん、遠くでゲームを眺めているレムリ《シンドラ》にも。
「……ほう、ハーフエルフの娘があんな小技を使えるのか」
詠唱を終えたフェアの体にはありえないほどの魔力が立ち昇っていた。感知を得意とするクリアがその姿を直接視れば、体から天まで届くオーラに畏怖《いふ》していたに違いない。
そしてフェアは、
「インザーム、私はグレースのところへ行く。――アイレを、アズライトを頼んだ」
インザームに声をかけると、低空を浮遊するかのように地を蹴った。その速度は神速《ディビーツ》のアイレにも匹敵するほど。だが代償として今も尚、命を削っている。
あまりの速さに周囲がスローモーションに見えているフェアの視線の先に、
「……いた」
グレースにとどめを刺そうとしているロックの姿が視界に入る。心臓を突き刺そうと剣を構えている。
「やらせない!」
行く手の邪魔をしてきた大型の魔物を手で振り払うかのように排除して殺した。その様子を見ていたガルダスとアゲートが思わず声を漏らす。
「化け物か……」
「まるで鬼人だな」
そしてフェアは追いついた瞬間、その手で剣を叩き割った。それからすぐロックを蹴りつけて吹き飛ばす。
「グレース! 大丈夫!?」
肩から恥骨にかけて剣で大きく切り裂かれており、重傷だがまだ意識はある。生来治癒魔法を得意としないフェアだったが、応急処置として手を光らせると傷をなぞるように止血した。
「これで大丈夫。無理はしないで……」
すると、グレースが呻《うめ》き声をあげながら、
「すまねぇ……。ロックを……ロックは痛みを感じないみたいだ。あたし……やっぱり殺せない……」
無意識に力を制御していた自分にグレースが気付く。それはアイレ、アズライト、シェルも同じ。シンドラはそのことに気づいており、笑いながら遥か遠くで視ている。
まるで見世物小屋のように、この惑星最後の戦いを。
「わかった。私がなんとかする」
フェアは立ち上がると、ロックを睨んだ。
「へっ、出来損ないが一丁前に人助けかよ」
その言葉は生前のロックの口からはありえない。フェアは拳をぎゅっとさせて、グレースの心を弄んだシンドラを憎んだ。
生前の記憶を操作し、その人にとって苦しい言葉を投げかける。それは悪魔と言わずなんという。
「ロック、あなたはもう死んでる。安らかに眠ってほしい」
「ああ、そうだな、お前といっしょ――」
瞬間、ロックは最後まで言い切ることなくフェアの手で首を切断された。胴体から離れて地面にごろごろと落ちる様《さま》を見たくないと、グレースは思わず目を背ける。
「本当に……許せない」
ロックを倒した後、フェアは今まですべてのことが走馬灯のように蘇った。ヴェルネル、レムリ、インザームを罠にかけて追い込み、希望を全て奪った。
絶対に許されるものではない!
しかし、フェアの後ろで首を失った胴体だけのロックがまだ動き続けて、ゆっくりと、それでいて素早く後ろから心臓を突き刺そうとした――
「な!?」
それに気付いたのもつかの間、反応が少し遅れる。が、どこからともなく魔法の矢が飛んできた。
ロックの心臓《コア》に一撃を放ったのは――グレースだった。
「ロック。――今までありがとう」
その一言を囁《ささや》いた瞬間に倒れた。フェアが駆け寄るが、グレースは動けない。
『ありがとな、グレース。俺の分まで人生楽しめよ』
そして意識を失う瞬間、ロックの声がグレースの頭に響いた。
周囲は大型の魔物と滅びた国の兵士、ガルダスやアゲートが指揮する大国、そして様々な国の兵士が応戦しており、もはや誰がどこで何と戦っているかもわからない混戦状態。
それでも、グレースは平常心を保ちながら、じっくりと間合いを計っていた。
ロックの主な戦闘方法は剣と懐にいつも潜ませている小刀《しょうとう》による近距離戦。対してグレースは魔法の弓による遠距離戦がメインであり、有利な状況で戦う場合、距離を取る必要性がある。
しかしながら周囲の状況がそれを許さない。
グレースの魔法の矢は卓越したイメージがなせる独特な攻撃方法で、他に類を見ない。実際に具現化する矢と通常の矢の大きな違いは、その多様性にある。氷の矢、炎の矢だけに飽き足らず、様々な工夫を凝らした矢の種類は100を超える。
状況に合わせて放てる上に、さらには当人の魔力量で矢の補充を必要としないことが最大限の利点だと言える。
とどのつまり魔法の矢はただのイメージでしかなく。グレースの想像によってその性質を変化させることが出来る。それは幼いころ、絵を描くことが好きだった自分の心が生み出した唯一無二の才能。
そしてグレースは、生前のロックも知らない才能を突然に開花させた。背負っていた弓を構えることなく、その手に細く長く、高密度な魔力に覆われたレイピアを出現させた。
それは現状におけるグレースが弾き出した状況での最適解。勿論《もちろん》、剣術に関しても申し分ないほどの技術を持ち合わせている。
事実、グレースはロックに剣術を指導してもらった際に数年で同等の技量を体得した。しかしながらそれは傭兵としての仕事ではあまり活躍することはなく、チームのことを一番に考え、遠距離攻撃に重きを置いてきた。
だが今はそのことを考える必要がない。グレースは素手のまま手を突き出すと、突然に出現させたレイピアで一撃を放った。ただの剣ではなくそれは魔力を帯びたレイピア。
ロックは寸前のところで避けたが、腹部を大きく損傷した――
が、何でもないといった表情で、ふたたひ軽口を言い放った。
「おー、いてぇいてぇ、お前の剣術も久しぶりにみたな」
腹部は抉《えぐ》れ、血が滴り落ちているが、痛みで顔を歪ませるといった反応は一切ない。その様子を見てグレースが、
「痛みも感じなくなったか、まるで化け物だな。――ロック、楽しんでるのか?」
可哀そうといった感情を持ち合わせながら、少しだけ笑みを浮かべた。あのロックとふたたび対峙しているのが少し楽しくて、そんな自分が気持ち悪かった。
しかしやはり感情が揺れる。本当は戦いたくなんて――ない。
「最高だな、こんな機会をもらったことに感謝してえぐらいだ」
「自我があるのか?」
「ああ、ぼんやりとな。だが、俺はお前を殺す。それは変わらねえ」
「はっ、よく言うぜ。あの世であたしのこと待ってろよ」
ロックは大量に血を垂れ流したまま、距離を詰めた。生前と変わらない動きと軽やかな足取りで斬りつけてきたが、グレースはそれを難《なん》なく躱《かわ》す。
返しざま、横に薙ぎ払う瞬間、手にしていたレイピアのイメージを変化させて、巨大な斧を出現させた。
相対《そうたい》に重量も変化し、手にズシッと感じるが、そのまま力いっぱい――
「――変わんねえな、その癖」
ロックは斧の腹に脚をかけると、そのまま跳躍した。性質を変化させるとき、ほんの些細な癖がグレースにはあった。それは瞳に映し出される、癖とは言い難いほどの些細な目配せ。
けれどもロックはそれを見逃さなかった。無論、それは魔法の矢のときの話しである。
斧を避け着地すると、ロックは振り返り、懐から小刀《しょうとう》を取り出してグレースの肩に突き刺した。グレースは痛みを我慢しながら、構わないと斧をぐるりと一回転させて振り回すが、ロックは後方に飛び、攻撃を躱《かわ》した。
「……ちきしょう」 わかっていたはずなのに。
グレースは肩の痛みで表情を歪めながら、心の中で悔やんだ。油断は一切してない。だがほんの少しの癖が命取りとなってしまった。
武器の変化は初見であったにも関わらず、そのことに臆することなくロックは反撃してきた。
「そんなこと出来たのか? ――まぁ、でも勝負ありだな。その肩でまともな攻撃を振ることは出来ねぇ、大人しく死にな。意外にも、あの世は悪くねえぜ?」
剣を水平に構え、剣先のグレースを睨んだ。その瞬間を、大勢の人の隙間からアズライトの体を大事に守っていたインザームとフェアがグレースの姿を見つける。
「……ここまでか」
肩を抑え、小声で囁いた。ロックは無情にもそのままグレースを切り付ける。血しぶきが宙に舞い、倒れる瞬間は人混みが邪魔をした。
その一部始終を見ていたインザームとフェアが、
「グレース!」
「グレース!!!!!!!」
思わず叫ぶ。だがすぐに人と魔物が視界の邪魔をして、グレースの姿はすぐに見えなくなる。倒れているアズライトをほおっておくことは出来ない。前方ではアイレとルチルがとんでもない速度で攻防をしている。
この状況に思わず夢じゃないかとフェアは考えたが、何をバカなことをと、唇から血が出るほど噛んだ。自分が動かないとこの状況は打破出来ない。セーヴェルは命を賭《と》して最後に魔法使いとしての誇りを保った。ならば自分が、その意思を受け継がないといけない。
「……インザーム、アズライトを頼んだ」
フェアは立ち上がると、呪文を唱えた。それは古代禁忌魔法でも特に危険とされており、術者の魔力を大幅に向上させることが出来る。だがその代償は酷く脆く、大幅に寿命を縮めるうえに効果は甚だ短い。過去にフォンダトゥールの元で、勝手に見つけた古い本に絵で描かれていた。
インザームは際限なく上がり続けるフェアの魔力が危険極まりないと気付き声をかけた。
「やめろ! フェア! やめるんじゃ!」
だがフェアは止めない。それを少し遠くにいたアイが感知魔法で気づく。同様に姿は見えないが、クリアでさえも震えあがった。
それはもちろん、遠くでゲームを眺めているレムリ《シンドラ》にも。
「……ほう、ハーフエルフの娘があんな小技を使えるのか」
詠唱を終えたフェアの体にはありえないほどの魔力が立ち昇っていた。感知を得意とするクリアがその姿を直接視れば、体から天まで届くオーラに畏怖《いふ》していたに違いない。
そしてフェアは、
「インザーム、私はグレースのところへ行く。――アイレを、アズライトを頼んだ」
インザームに声をかけると、低空を浮遊するかのように地を蹴った。その速度は神速《ディビーツ》のアイレにも匹敵するほど。だが代償として今も尚、命を削っている。
あまりの速さに周囲がスローモーションに見えているフェアの視線の先に、
「……いた」
グレースにとどめを刺そうとしているロックの姿が視界に入る。心臓を突き刺そうと剣を構えている。
「やらせない!」
行く手の邪魔をしてきた大型の魔物を手で振り払うかのように排除して殺した。その様子を見ていたガルダスとアゲートが思わず声を漏らす。
「化け物か……」
「まるで鬼人だな」
そしてフェアは追いついた瞬間、その手で剣を叩き割った。それからすぐロックを蹴りつけて吹き飛ばす。
「グレース! 大丈夫!?」
肩から恥骨にかけて剣で大きく切り裂かれており、重傷だがまだ意識はある。生来治癒魔法を得意としないフェアだったが、応急処置として手を光らせると傷をなぞるように止血した。
「これで大丈夫。無理はしないで……」
すると、グレースが呻《うめ》き声をあげながら、
「すまねぇ……。ロックを……ロックは痛みを感じないみたいだ。あたし……やっぱり殺せない……」
無意識に力を制御していた自分にグレースが気付く。それはアイレ、アズライト、シェルも同じ。シンドラはそのことに気づいており、笑いながら遥か遠くで視ている。
まるで見世物小屋のように、この惑星最後の戦いを。
「わかった。私がなんとかする」
フェアは立ち上がると、ロックを睨んだ。
「へっ、出来損ないが一丁前に人助けかよ」
その言葉は生前のロックの口からはありえない。フェアは拳をぎゅっとさせて、グレースの心を弄んだシンドラを憎んだ。
生前の記憶を操作し、その人にとって苦しい言葉を投げかける。それは悪魔と言わずなんという。
「ロック、あなたはもう死んでる。安らかに眠ってほしい」
「ああ、そうだな、お前といっしょ――」
瞬間、ロックは最後まで言い切ることなくフェアの手で首を切断された。胴体から離れて地面にごろごろと落ちる様《さま》を見たくないと、グレースは思わず目を背ける。
「本当に……許せない」
ロックを倒した後、フェアは今まですべてのことが走馬灯のように蘇った。ヴェルネル、レムリ、インザームを罠にかけて追い込み、希望を全て奪った。
絶対に許されるものではない!
しかし、フェアの後ろで首を失った胴体だけのロックがまだ動き続けて、ゆっくりと、それでいて素早く後ろから心臓を突き刺そうとした――
「な!?」
それに気付いたのもつかの間、反応が少し遅れる。が、どこからともなく魔法の矢が飛んできた。
ロックの心臓《コア》に一撃を放ったのは――グレースだった。
「ロック。――今までありがとう」
その一言を囁《ささや》いた瞬間に倒れた。フェアが駆け寄るが、グレースは動けない。
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