超人気美少女ダンジョン配信者を救ってバズった呪詛師、うっかり呪術を披露しすぎたところ、どうやら最凶すぎると話題に

菊池 快晴

文字の大きさ
上 下
46 / 52

第46話 ジョーヌの『凄い』ところ。

しおりを挟む
 過去を話した後、俺たちはジョーヌを連れて近くのダンジョンに来ていた。
 その理由は――。

「エリアドイ――右翼のバランスが悪いみたいです。ローザは左から展開。――ベアウルフ、角からの攻撃を溜めています。三秒後、突進してきます」

 ”うおおおおお、ジョーヌヤバすぎないか?”
 ”有能オブ有能”
 ”これはヤバイだろ”
 ”ついに参謀がきてしまった”

 彼女の言葉通りに俺たちは敵に対処していた。
 するといとも簡単に魔物を倒すことができた。

 死の宣告すら不必要なほどに。

「ジョーヌ、凄いな。腕を上げたか?」
「そんなことありませんブラック様。誉めても何もでませんよぉ!?」

 身体をくねらせながら喜ぶジョーヌ。
 たゆんたゆんが揺れる揺れる。

 ”ジョーヌ、君は最高だ”
 ”毎日配信に映ってくれ”
 ”ちょっと上下に飛んでみないか?”

「でも本当、ブラックさんの言う通りですね」
「凄いです。私の聖剣がおもしろいように当たります」
「ジョーヌは我よりちいとばかし賢いからのう」

 ジョーヌの能力は瞬間記憶能力。

 彼女は全てのほぼすべての魔物について網羅している。
 さらには現存するダンジョン内部も全て覚えているとのことだ。

 だがそれだけじゃない。
 持って生まれの頭脳と合わせた観察力で編み出した観察眼視えていますは、対象の魔力から行動を予測できる。

 実際、施設を破壊する時の要はジョーヌだった。

 ダンジョンに来たのは、彼女の能力をみんなに説明するにはもってこいと思ったのだ。
 後は交流と配信の為でもある。
 
 2本の分かれ道。
 あみだくじでは魔物はわかっても、罠は見破れない。

 だが――。

「この右道は罠の可能性が高いと思いますわ」
「どうしてそう思うんだ?」
 
 ブラックとして訊ねるも、気を抜いたら黒斗になってしまいそうだ。

「今までの過去のダンジョンの構造で考えると、左は10% 右は90%と高いです」

 ”すげー”
 ”マジか?”
 ”そういうの関係してるのかな”
 ”気になる”

 コメントは賛否というか、やはり信じられないようだった。
 だが俺は彼女を信じている。

 ――ああ、そうか。

「よし」

 俺が歩き出すと、美琴と風華さんが焦り始める。

「え、ブラックさんどうしてそっちの道に!?」
「そうですよ。右は罠って!?」
「ジョーヌの有能さを見せたいからだ。大丈夫。彼女がいる限り、俺たちは安泰だ」

 そのまま歩き出す。
 以前かかったのは水の罠だった。

 それを思い出しながら歩いていると、カチっと音がした。
 誰かが何かを踏んだ音だ。

 それは、ローザの足元だった。

「およよよ!?」

 すると前から鉄球のようなものが落ちてくる。

 ごろごろと転がって、まるでテーマパークだ。

 ”うわああああああやべえええ”
 ”逃げてええええええええ”
 ”マジで罠じゃん”

 しかし――。

「ブラック様、これなら問題ありません。このままで」

 俺たちを安心させるかのように、ジョーヌが言い切った。

「まずいよ逃げましょう!?」
「ブラック様!?」
「美琴、風華。ジョーヌを信じろ」

 迫りくる鉄球。
 だが――直前で止まった。

 次の瞬間、後ろに穴が開く。

 これも罠だったのだ。

 後ろに逃げていたら下に落ちていただろう。

 そしてそこには針。

 鉄球は糸で繋がれているかのように元に戻っていく。

「どうしてわかったんだ、ジョーヌ」
「鉄球の体積と速度を考えると、逃げる事は容易です。つまりこれは見せかけ。この道も、イタリアダンジョンの構造とほとんど同じです」

 ”天才きました”
 ”これはダンジョンの申し子です”
 ”マジでヤバイな”

 ジョーヌの凄さはこれだ。
 自信の能力に絶対的な自信を持っている。施設を脱出する際のセキュリティも全て看破したのも彼女である。
 当然だが、警備兵の動きも。

「ハッ、行くぞお前たち。B級・・ダンジョンのクリアはもうすぐだ」
しおりを挟む
感想 7

あなたにおすすめの小説

無能扱いされ会社を辞めさせられ、モフモフがさみしさで命の危機に陥るが懸命なナデナデ配信によりバズる~色々あって心と音速の壁を突破するまで~

ぐうのすけ
ファンタジー
大岩翔(オオイワ カケル・20才)は部長の悪知恵により会社を辞めて家に帰った。 玄関を開けるとモフモフ用座布団の上にペットが座って待っているのだが様子がおかしい。 「きゅう、痩せたか?それに元気もない」 ペットをさみしくさせていたと反省したカケルはペットを頭に乗せて大穴(ダンジョン)へと走った。 だが、大穴に向かう途中で小麦粉の大袋を担いだJKとぶつかりそうになる。 「パンを咥えて遅刻遅刻~ではなく原材料を担ぐJKだと!」 この奇妙な出会いによりカケルはヒロイン達と心を通わせ、心に抱えた闇を超え、心と音速の壁を突破する。

キモオタ レベル0★世界最弱のオタク高校生の僕だけレベルアップ!美女に囲まれハーレム青春物語

さかいおさむ
ファンタジー
街中にダンジョンが現れた現代日本。 人々には戦士としてのレベルが与えられる。 主人公は世界最弱のレベル0。 レベルの低さに絶望していたある日、戦士のレベルの10倍の強さになるというボスが現れる。 世界で倒せるのレベル0の主人公だけ。 ダンジョンで戦うことは諦めていた主人公だが、その日から自分だけがレベルアップできることに。 最強戦士になって、美女の仲間たちとダンジョンの秘密を解き明かす。

削除予定です

伊藤ほほほ
ファンタジー
削除します

勇者一行から追放された二刀流使い~仲間から捜索願いを出されるが、もう遅い!~新たな仲間と共に魔王を討伐ス

R666
ファンタジー
アマチュアニートの【二龍隆史】こと36歳のおっさんは、ある日を境に実の両親達の手によって包丁で腹部を何度も刺されて地獄のような痛みを味わい死亡。 そして彼の魂はそのまま天界へ向かう筈であったが女神を自称する危ない女に呼び止められると、ギフトと呼ばれる最強の特典を一つだけ選んで、異世界で勇者達が魔王を討伐できるように手助けをして欲しいと頼み込まれた。 最初こそ余り乗り気ではない隆史ではあったが第二の人生を始めるのも悪くないとして、ギフトを一つ選び女神に言われた通りに勇者一行の手助けをするべく異世界へと乗り込む。 そして異世界にて真面目に勇者達の手助けをしていたらチキン野郎の役立たずという烙印を押されてしまい隆史は勇者一行から追放されてしまう。 ※これは勇者一行から追放された最凶の二刀流使いの隆史が新たな仲間を自ら探して、自分達が新たな勇者一行となり魔王を討伐するまでの物語である※

うっかり『野良犬』を手懐けてしまった底辺男の逆転人生

野良 乃人
ファンタジー
辺境の田舎街に住むエリオは落ちこぼれの底辺冒険者。 普段から無能だの底辺だのと馬鹿にされ、薬草拾いと揶揄されている。 そんなエリオだが、ふとした事がきっかけで『野良犬』を手懐けてしまう。 そこから始まる底辺落ちこぼれエリオの成り上がりストーリー。 そしてこの世界に存在する宝玉がエリオに力を与えてくれる。 うっかり野良犬を手懐けた底辺男。冒険者という枠を超え乱世での逆転人生が始まります。 いずれは王となるのも夢ではないかも!? ◇世界観的に命の価値は軽いです◇ カクヨムでも同タイトルで掲載しています。

記憶喪失の逃亡貴族、ゴールド級パーティを追放されたんだが、ジョブの魔獣使いが進化したので新たな仲間と成り上がる

グリゴリ
ファンタジー
7歳の時に行われた洗礼の儀で魔物使いと言う不遇のジョブを授かった主人公は、実家の辺境伯家を追い出され頼る当ても無くさまよい歩いた。そして、辺境の村に辿り着いた主人公は、その村で15歳まで生活し村で一緒に育った4人の幼馴染と共に冒険者になる。だが、何時まで経っても従魔を得ることが出来ない主人公は、荷物持ち兼雑用係として幼馴染とパーティーを組んでいたが、ある日、パーティーのリーダーから、「俺達ゴールド級パーティーにお前はもう必要ない」と言われて、パーティーから追放されてしまう。自暴自棄に成った主人公は、やけを起こし、非常に危険なアダマンタイト級ダンジョンへと足を踏み入れる。そこで、主人公は、自分の人生を大きく変える出会いをする。そして、新たな仲間たちと成り上がっていく。 *カクヨムでも連載しています。*2022年8月25日ホットランキング2位になりました。お読みいただきありがとうございます。

異世界帰りの元勇者、日本に突然ダンジョンが出現したので「俺、バイト辞めますっ!」

シオヤマ琴@『最強最速』発売中
ファンタジー
俺、結城ミサオは異世界帰りの元勇者。 異世界では強大な力を持った魔王を倒しもてはやされていたのに、こっちの世界に戻ったら平凡なコンビニバイト。 せっかく強くなったっていうのにこれじゃ宝の持ち腐れだ。 そう思っていたら突然目の前にダンジョンが現れた。 これは天啓か。 俺は一も二もなくダンジョンへと向かっていくのだった。

【書籍化】パーティー追放から始まる収納無双!~姪っ子パーティといく最強ハーレム成り上がり~

くーねるでぶる(戒め)
ファンタジー
【24年11月5日発売】 その攻撃、収納する――――ッ!  【収納】のギフトを賜り、冒険者として活躍していたアベルは、ある日、一方的にパーティから追放されてしまう。  理由は、マジックバッグを手に入れたから。  マジックバッグの性能は、全てにおいてアベルの【収納】のギフトを上回っていたのだ。  これは、3度にも及ぶパーティ追放で、すっかり自信を見失った男の再生譚である。

処理中です...