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第45話 すべてをぶっ潰す②
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「ブラック、大丈夫?」
「ありがとうレッド。確かにつらいけど、頑張るよ」
「ほとんど寝てないんじゃ……」
それからも毎日、皆で頑張った。
たまにカメラを使用不可能にしたりして、みんなで集まったりもした。
「ブラック殿、おやつを作ったので食べてくれませんか」
「え、どうやって作ったの?」
「ふふふ、秘密です」
「ローザ、それは抜け駆けですよ。ジョーヌから食べてください!」
「それは違う意味でしょ……。ついでに私も食べてください。ヴァイス君」
「ブルーもじゃん。で、私の分のおやつは?」
「レッド、あなたは食いしん坊すぎ」
そして数年後、準備が整った俺たちはついに作戦を結構した。
「行くぞ。何があるかわからない。まずは当初の予定通り正攻法で外に出る」
「「「「了解」」」」
俺たちはもはや友達でも、親友でもない。
家族だった。
クロエの力で外に出た後は、追いかけてくる相手に戦った。
「早く捕まえろ! こいつらが外に出たらマズイ!」
「おい、いけ!」
「クソ!」
「俺が――やる。みんな下がってて」
大人たちは能力を持っていた。
当たり前だ。異能力の子供たちを捕まえているのだから。
だが――。
「使えないぞ……どういうことだ?」
「な、なんでだ」
「クソ、出ろ、出ろ!」
そんなの、とっくに俺が奪ってる。
俺の本当能力は『強奪』。
奪うにはいくつかの工程が必要だ。
ある意味ではこの施設にきて良かった。
大人たちから奪えたからだ。
けど、それだけじゃない。
『僕のも使ってほしい』
『私のも』
『こんな能力、いらない』
『お願い、この施設を壊して』
『私はもう身体能力なんていらない』
『忍術なんて、必要ない……』
『私の眼を、あなたにあげる』
大勢の子供たちの想いが、つまってる。
「――じゃあな」
――――
――
―
「これで全て終わりましたね。ここからどうするんですか? ブラック殿」
「何その殿って、ローザ」
「この喋り方、良くないですか?」
「そうかな……クロエは?」
「私はひとまず母国に戻ります。この力があれば、入国も問題ないと思いますので」
レッド、ブルー、ホワイト、も同じだった。
血よりも固い絆で結ばれた僕たちは離れ離れになる。
「俺も日本に帰るよ。みんなありがとうね」
名残惜しいが、仕方がない。
そして俺たちは別れた。
◇
「ということなんだブラック……」
お昼休み。
俺は学校の屋上で、美琴と風華さんに全てを話した。
重たい話な上に過去のことなので言いづらかったが――。
「……黒斗ぉ!」
「……黒羽くん」
二人は、思い切り抱き着いてきた。
それも、涙を流しながら。
「ごめんね、ごめんね何も知らなくて」
「私も……ごめんなさい」
俺が配信を始めたきっかけ。
それは、託された能力をみんなに知ってほしかったからだ。
今は呪術を主に使っているが、忍術だったり、託してくれた仲間たちにいつか届いてほしいという願いもある。
もちろん今はSランクや楽しいって気持ちもあるけれど、初心は忘れていない。
「ありがとう、二人とも……」
「ブラック殿、ズルいぞ!」
「私も輪に入りたいです!」
そこにローザとジョーヌが入ってきて、全員で号泣するよくわからない状態に。
……でも、ありがたいな。
こうやってまたみんなと入れるなんて。
「ありがとね」
みんな、何してるんだろうなあ。
◆ ◇ ◆ ◇
施設を破壊し、ブラックが去った後。
ローザが、みんなに話しかける。
「……クロエ、いえジョーヌは本当はどうするの?」
「一旦帰国して、落ち着いたら日本へ行くよ。黒斗様、ブラック様、の元へ」
「やっぱりね。私も行く。施設は破壊したけど、ブラック殿になにかあるかもしれないし……ブルーは?」
「私も同じ。ブラック君には、命の借りがある。レッドは?」
「当たり前でしょ。ブラックには、一生尽くと決めた。――ねえ、ふたたび日本で会おうよ。内緒にしてさ。いいでしょ? ホワイト」
「……考えとく」
「そういうと思った。それじゃあみんなまた元気でね」
「ありがとうレッド。確かにつらいけど、頑張るよ」
「ほとんど寝てないんじゃ……」
それからも毎日、皆で頑張った。
たまにカメラを使用不可能にしたりして、みんなで集まったりもした。
「ブラック殿、おやつを作ったので食べてくれませんか」
「え、どうやって作ったの?」
「ふふふ、秘密です」
「ローザ、それは抜け駆けですよ。ジョーヌから食べてください!」
「それは違う意味でしょ……。ついでに私も食べてください。ヴァイス君」
「ブルーもじゃん。で、私の分のおやつは?」
「レッド、あなたは食いしん坊すぎ」
そして数年後、準備が整った俺たちはついに作戦を結構した。
「行くぞ。何があるかわからない。まずは当初の予定通り正攻法で外に出る」
「「「「了解」」」」
俺たちはもはや友達でも、親友でもない。
家族だった。
クロエの力で外に出た後は、追いかけてくる相手に戦った。
「早く捕まえろ! こいつらが外に出たらマズイ!」
「おい、いけ!」
「クソ!」
「俺が――やる。みんな下がってて」
大人たちは能力を持っていた。
当たり前だ。異能力の子供たちを捕まえているのだから。
だが――。
「使えないぞ……どういうことだ?」
「な、なんでだ」
「クソ、出ろ、出ろ!」
そんなの、とっくに俺が奪ってる。
俺の本当能力は『強奪』。
奪うにはいくつかの工程が必要だ。
ある意味ではこの施設にきて良かった。
大人たちから奪えたからだ。
けど、それだけじゃない。
『僕のも使ってほしい』
『私のも』
『こんな能力、いらない』
『お願い、この施設を壊して』
『私はもう身体能力なんていらない』
『忍術なんて、必要ない……』
『私の眼を、あなたにあげる』
大勢の子供たちの想いが、つまってる。
「――じゃあな」
――――
――
―
「これで全て終わりましたね。ここからどうするんですか? ブラック殿」
「何その殿って、ローザ」
「この喋り方、良くないですか?」
「そうかな……クロエは?」
「私はひとまず母国に戻ります。この力があれば、入国も問題ないと思いますので」
レッド、ブルー、ホワイト、も同じだった。
血よりも固い絆で結ばれた僕たちは離れ離れになる。
「俺も日本に帰るよ。みんなありがとうね」
名残惜しいが、仕方がない。
そして俺たちは別れた。
◇
「ということなんだブラック……」
お昼休み。
俺は学校の屋上で、美琴と風華さんに全てを話した。
重たい話な上に過去のことなので言いづらかったが――。
「……黒斗ぉ!」
「……黒羽くん」
二人は、思い切り抱き着いてきた。
それも、涙を流しながら。
「ごめんね、ごめんね何も知らなくて」
「私も……ごめんなさい」
俺が配信を始めたきっかけ。
それは、託された能力をみんなに知ってほしかったからだ。
今は呪術を主に使っているが、忍術だったり、託してくれた仲間たちにいつか届いてほしいという願いもある。
もちろん今はSランクや楽しいって気持ちもあるけれど、初心は忘れていない。
「ありがとう、二人とも……」
「ブラック殿、ズルいぞ!」
「私も輪に入りたいです!」
そこにローザとジョーヌが入ってきて、全員で号泣するよくわからない状態に。
……でも、ありがたいな。
こうやってまたみんなと入れるなんて。
「ありがとね」
みんな、何してるんだろうなあ。
◆ ◇ ◆ ◇
施設を破壊し、ブラックが去った後。
ローザが、みんなに話しかける。
「……クロエ、いえジョーヌは本当はどうするの?」
「一旦帰国して、落ち着いたら日本へ行くよ。黒斗様、ブラック様、の元へ」
「やっぱりね。私も行く。施設は破壊したけど、ブラック殿になにかあるかもしれないし……ブルーは?」
「私も同じ。ブラック君には、命の借りがある。レッドは?」
「当たり前でしょ。ブラックには、一生尽くと決めた。――ねえ、ふたたび日本で会おうよ。内緒にしてさ。いいでしょ? ホワイト」
「……考えとく」
「そういうと思った。それじゃあみんなまた元気でね」
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