超人気美少女ダンジョン配信者を救ってバズった呪詛師、うっかり呪術を披露しすぎたところ、どうやら最凶すぎると話題に

菊池 快晴

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第44話 すべてをぶっ潰す

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 まずやるべきことは破壊とは真逆――施設の人間からの信頼を得ることだった。
 俺たちの部屋は全て独立していて、各扉にも暗証番号やカードロックがある。

 地下室だということを考えると、入口、出口が複数あるとは考えづらい。

 持ち物検査は厳しく、カメラもあるのでメモなんて残せない。
 その為、小さな情報をかき集め、全体像を頭で描いていくしかない。

 そこで、クロエが全てを記憶してくれることになった。

 更に、全員で強く・・なることも意見が一致した。

 信用もそうだが、この施設を破壊する為にも必要不可欠な肯定だった。

「でも、私とクロエは黒斗くんみたいに強くないよ……ただ、頭で描いた事がちょっとだけ具現化するだけだし……」
「そんなことないよ、ローザ。君の能力は素晴らしい。自信を持って。クロエは一番大変だろうけど」
「問題ないです。私はずっと1人だった。この施設を壊せるなら、いいえ、あなたの為なら」

 二人は本当に心優しい子だった。
 どうしてここへ来たのかと訊ねると、ローザは家が貧乏で親に半ば売られたそうだ。
 クロエは家庭の事情で元々親戚の家を転々としていたが、最終的に気づけばここにいたという。

 許せなかった。

 父親への怒りよりも、この施設も、大人も。

 今まで俺は、能力・・を使うことに抵抗があった。

 最低な行為だとわかっていたし、子供ながらに卑怯だと思っていた。

 だけど、もう遠慮はしない。

「黒羽黒斗はまた満点か」
「一体何の力だ?」
「わからないな。本人もよくわからないといっているし、父親の証言では斬撃だったが、説明がつかない」

 俺は個人的に何度も研究されていた。
 変な薬や装置、たまに気づいたら2、3日眠っている時もあった。

 いつしか目が覚めないんじゃないかという恐怖もあったが、それを支えてくれたのは、やはり仲間の存在だった。

「黒斗君、大丈夫!?」
「ありがとうローザ」
「良かった……。私たち、あなたがいなければもう……生きていけません」
「大げさだよ」

 一言二言しか話せない。
 最初はそれが大変だった。

 だがグリーンの加入で、情報交換が一気に向上した。

『聞こえますか、みなさん』
『凄い……これが、君の能力なんだ』
あなた・・・には到底及びませんが』

 彼女・・は、テレパシーを持っていた。
 これによって、俺たちは一切顔を合わせなくてもおしゃべりが可能になった。

 表面上では一切何も痕跡を残さず、裏ではチームとして動く。

 全ての情報をクロエに繋げていく。

 そしてやはり俺の予想通り、ローザもクロエも、グリーンも途中で能力が格段に進化した。

 だがそれもバレないように過ごした。

 レッドが加わりブルーが加わり、そして――ホワイトが加入した。

 彼女・・たちもまた凄い能力を持っていた。
 特にホワイトは、この施設を破壊する為に必要不可欠な能力だった。

 そして俺は、作戦を実行する為、自身の能力を酷使しはじめた。
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