超人気美少女ダンジョン配信者を救ってバズった呪詛師、うっかり呪術を披露しすぎたところ、どうやら最凶すぎると話題に

菊池 快晴

文字の大きさ
上 下
36 / 52

第36話 B級ダンジョン池袋編

しおりを挟む
「この画角だと後ろの人が入り込むから、美琴さんはこっちがいいんじゃないかな? ローザさんは、そこが一番中二っぽく見えると思う」
「ありがとう風華ちゃん」
「助かる。ならばこの位置でポーズを決めておくとするか」

 池袋、B級ダンジョン前。
 ドローンカメラはある程度追尾してくれるが、細かい設定は全て風華さんがやってくれている。

 元々個人勢で多くの視聴者がいる彼女は、俺たちがどんな風に見えるのかをいつも考えてくれていた。
 さらに俺以外の衣装の提供、視聴者のコメントの拾い上げ、配信が終わってからの返信も怠らない。

 正直、風華さんがいなければギルドは成り立ってないだろう。

「黒ブラくんは、真ん中でいいよね?」
「そうだね。それより、ありがとう」
「え? 何が?」
「いや、本当に色々と助かってるよ。俺は今まで大人数で撮影もしてなかったから、経験もなかったし」
「気にしないで。視聴者さんも私たちの中に推しがいるだろうし、その人をちゃんと見せてあげたいしね」

 俺は元々、頑張っていれば誰かに見てもらえるだろうと安易な考えで配信をしていた。
 もちろん自分なりに努力はしていた。けどそうじゃない。
 風華さんは、常に考えている。

「これからもっとリーダーとしてがんばるよ。でも、黒ブラはやめてね」
「ふふふ、ブラくんはいつもおもしろいね」
「俺の言葉って通じてるかな?」

 ちょっと変なところもあるけれど、ギリ許容範囲ブラック!

   ◇

「こんばんブラックだ」
「美琴でーす」
「風華でーす」
「我、ローザなり」

 ”久しぶりのフルパブラック”
 ”こんブラー”
 ”ぷち炎上明け乙です”
 ”説得ブラーック!”
 ”ブラック様ちわす”
 ”みんないつも通り元気そう”

 コメントがいつものように流れていくと、ホッと胸をなでおろす。
 チラチラと俺の炎上のことも書かれているが、おおむね大丈夫そうだ。

 この分なら、サラリと流せるだろう。

「ブラックさん、今日は魔物を説得しちゃダメですからね。後、山を切るのもダメですからね」
「わ、わかったブラック」
 
 と思いきや、即風華さんに突っ込まれる。

 ”草w”
 ”タイムリーブラック”
 ”さっそくいじられてる”
 ”これも優しさだよね”

 だが一つのコメントで気づく。

 そうか、これは彼女なりの優しさ、愛情表現なのだ。
 炎上しやすい昨今、何でもないような雰囲気を作るのは何も世間からじゃない。

 仲間からできる。

 これも風華さんの類まれな技術、見習わなブラック!

「ご、ごほん。気を付けるブラック。――で、本題に入ろう」

 ”ごまかしブラック”
 ”せき込み割り込み”
 ”ワロタ”

「今日は、最下層のダンジョンボスを調伏する。だがそれは、俺じゃなくパーティーメンバーの誰かにする予定だ」

 ”え、どういうこと?”
 ”メンバ―の誰か?”
 ”ダンモンが増えるよ”
 ”やったねたえちゃん!?”

「ブラックさんの能力、調伏はパーティーメンバーの指定をできるらしいんです。ダメージを多く与えた人になるから、私か、風華ちゃんかローザちゃんかはまだわからないけれど」
「美琴の言う通りだ。つまり今回はチームメンバーの補強ということだな」

 ”わかりやすい”
 ”すげえな、ダンモンが増えていくってことか”
 ”おもしろい”
 ”ダンジョン崩壊しないの?”

「崩壊については、最下層のボスを倒さない限りは大丈夫じゃ。それは、我が海外の情報から得ておる」

 ”ローザ有能”
 ”有力な情報すぎる”
 ”ブラックシュヴァルツって何気こういうとこも凄いよね”
 ”能力もおもしろいね”

 ブラックシュヴァルツのランクは現在C級+。
 ここから上にあげるには、ギルドとしても強くならなきゃいけない。

 今回は、それぞれが個人でも活躍しやすいように戦力の補強も兼ねている。


「では行くぞお前たち。グループでブラックテレポートをする。――振り落とされるなよ」

 そして俺たちは、仲良く手を繋いで階段をくだった。

 ”わかっててもわろてまうww”
 ”これだけはズルいww”
 ”言い方なんよwww”
 ”鉄板ネタやめw”
しおりを挟む
感想 7

あなたにおすすめの小説

無能扱いされ会社を辞めさせられ、モフモフがさみしさで命の危機に陥るが懸命なナデナデ配信によりバズる~色々あって心と音速の壁を突破するまで~

ぐうのすけ
ファンタジー
大岩翔(オオイワ カケル・20才)は部長の悪知恵により会社を辞めて家に帰った。 玄関を開けるとモフモフ用座布団の上にペットが座って待っているのだが様子がおかしい。 「きゅう、痩せたか?それに元気もない」 ペットをさみしくさせていたと反省したカケルはペットを頭に乗せて大穴(ダンジョン)へと走った。 だが、大穴に向かう途中で小麦粉の大袋を担いだJKとぶつかりそうになる。 「パンを咥えて遅刻遅刻~ではなく原材料を担ぐJKだと!」 この奇妙な出会いによりカケルはヒロイン達と心を通わせ、心に抱えた闇を超え、心と音速の壁を突破する。

キモオタ レベル0★世界最弱のオタク高校生の僕だけレベルアップ!美女に囲まれハーレム青春物語

さかいおさむ
ファンタジー
街中にダンジョンが現れた現代日本。 人々には戦士としてのレベルが与えられる。 主人公は世界最弱のレベル0。 レベルの低さに絶望していたある日、戦士のレベルの10倍の強さになるというボスが現れる。 世界で倒せるのレベル0の主人公だけ。 ダンジョンで戦うことは諦めていた主人公だが、その日から自分だけがレベルアップできることに。 最強戦士になって、美女の仲間たちとダンジョンの秘密を解き明かす。

削除予定です

伊藤ほほほ
ファンタジー
削除します

勇者一行から追放された二刀流使い~仲間から捜索願いを出されるが、もう遅い!~新たな仲間と共に魔王を討伐ス

R666
ファンタジー
アマチュアニートの【二龍隆史】こと36歳のおっさんは、ある日を境に実の両親達の手によって包丁で腹部を何度も刺されて地獄のような痛みを味わい死亡。 そして彼の魂はそのまま天界へ向かう筈であったが女神を自称する危ない女に呼び止められると、ギフトと呼ばれる最強の特典を一つだけ選んで、異世界で勇者達が魔王を討伐できるように手助けをして欲しいと頼み込まれた。 最初こそ余り乗り気ではない隆史ではあったが第二の人生を始めるのも悪くないとして、ギフトを一つ選び女神に言われた通りに勇者一行の手助けをするべく異世界へと乗り込む。 そして異世界にて真面目に勇者達の手助けをしていたらチキン野郎の役立たずという烙印を押されてしまい隆史は勇者一行から追放されてしまう。 ※これは勇者一行から追放された最凶の二刀流使いの隆史が新たな仲間を自ら探して、自分達が新たな勇者一行となり魔王を討伐するまでの物語である※

うっかり『野良犬』を手懐けてしまった底辺男の逆転人生

野良 乃人
ファンタジー
辺境の田舎街に住むエリオは落ちこぼれの底辺冒険者。 普段から無能だの底辺だのと馬鹿にされ、薬草拾いと揶揄されている。 そんなエリオだが、ふとした事がきっかけで『野良犬』を手懐けてしまう。 そこから始まる底辺落ちこぼれエリオの成り上がりストーリー。 そしてこの世界に存在する宝玉がエリオに力を与えてくれる。 うっかり野良犬を手懐けた底辺男。冒険者という枠を超え乱世での逆転人生が始まります。 いずれは王となるのも夢ではないかも!? ◇世界観的に命の価値は軽いです◇ カクヨムでも同タイトルで掲載しています。

記憶喪失の逃亡貴族、ゴールド級パーティを追放されたんだが、ジョブの魔獣使いが進化したので新たな仲間と成り上がる

グリゴリ
ファンタジー
7歳の時に行われた洗礼の儀で魔物使いと言う不遇のジョブを授かった主人公は、実家の辺境伯家を追い出され頼る当ても無くさまよい歩いた。そして、辺境の村に辿り着いた主人公は、その村で15歳まで生活し村で一緒に育った4人の幼馴染と共に冒険者になる。だが、何時まで経っても従魔を得ることが出来ない主人公は、荷物持ち兼雑用係として幼馴染とパーティーを組んでいたが、ある日、パーティーのリーダーから、「俺達ゴールド級パーティーにお前はもう必要ない」と言われて、パーティーから追放されてしまう。自暴自棄に成った主人公は、やけを起こし、非常に危険なアダマンタイト級ダンジョンへと足を踏み入れる。そこで、主人公は、自分の人生を大きく変える出会いをする。そして、新たな仲間たちと成り上がっていく。 *カクヨムでも連載しています。*2022年8月25日ホットランキング2位になりました。お読みいただきありがとうございます。

異世界帰りの元勇者、日本に突然ダンジョンが出現したので「俺、バイト辞めますっ!」

シオヤマ琴@『最強最速』発売中
ファンタジー
俺、結城ミサオは異世界帰りの元勇者。 異世界では強大な力を持った魔王を倒しもてはやされていたのに、こっちの世界に戻ったら平凡なコンビニバイト。 せっかく強くなったっていうのにこれじゃ宝の持ち腐れだ。 そう思っていたら突然目の前にダンジョンが現れた。 これは天啓か。 俺は一も二もなくダンジョンへと向かっていくのだった。

借金背負ったので死ぬ気でダンジョン行ったら人生変わった件 やけくそで潜った最凶の迷宮で瀕死の国民的美少女を救ってみた

羽黒 楓
ファンタジー
旧題:借金背負ったので兄妹で死のうと生還不可能の最難関ダンジョンに二人で潜ったら瀕死の人気美少女配信者を助けちゃったので連れて帰るしかない件 借金一億二千万円! もう駄目だ! 二人で心中しようと配信しながらSSS級ダンジョンに潜った俺たち兄妹。そしたらその下層階で国民的人気配信者の女の子が遭難していた! 助けてあげたらどんどんとスパチャが入ってくるじゃん! ってかもはや社会現象じゃん! 俺のスキルは【マネーインジェクション】! 預金残高を消費してパワーにし、それを自分や他人に注射してパワーアップさせる能力。ほらお前ら、この子を助けたければどんどんスパチャしまくれ! その金でパワーを女の子たちに注入注入! これだけ金あれば借金返せそう、もうこうなりゃ絶対に生還するぞ! 最難関ダンジョンだけど、絶対に生きて脱出するぞ! どんな手を使ってでも!

処理中です...