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第21話 漆黒のカラオケルーム
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「我が右手、左手、邪悪な心がァ、飛び出すドラゴンストリィム♪」
カラオケに到着後、水面川ローザは、マイクを片手に陽気に歌っていた。
その曲の歌詞は俺も聞いたことがないほど中二病で、漆黒や暗黒で溢れている。
「深淵は、またのぞいてお る の じ ゃ ぁ ~♪」
最後の締めが終わり満足そうにふふんと席に座る。
そして美琴と風華さんは――。
「ローザさん、歌上手いんだね!」
「凄い、驚いた……」
べた褒めだった。
「ほほう、そうじゃろうそうじゃろう」
何かよくわからんが、仲良くなっている。
ついさっきまで剣幕なムードだった。
さっき俺がトイレで戻って来てから変わったのだ。
「黒斗、ローザさんのアカウントみた?」
「アカウント?」
ローザが見せてくれたのは、探索者アプリだった。
それには、水面川ローザ、探索者個人ランクBと書かれている。
「それで、私たちのギルドに誘ってみようかなって。ブラックさんも、人探してたから」
「Bランクなら、私たちも助かるしね」
なるほど、それで仲良くなったのか。
二人はSランク到達を目指している。
美琴は誰かに尊敬されたい。
風華さんは、とにかくお金がいるとのことだ。
確かにブラックこと俺も良い人材がいれば確保してほしいと頼んでいた。
しかしよりにもよってローザか。
「そ、そうなんだね。いい返事が来るといいね」
「我が能力はブラックも喜ぶであろう」
……う、うーん。まあ、戦闘能力は申し分ないが、俺を知っているだけあって動きづらい。
「それで、ローザさんはどんな能力なの?」
「確かに、なんか竜を飛ばしてたよね?」
「我か? 我はこれじゃ」
するとローザは、手のひらに小さな竜を出現させた。
「竜を出す能力?」
「のんのん、”想像”が我の能力だ。イメージを魔力に応じて出現させることができる。制限は色々あるがのう」
「ええー凄いね。初めて聞いた」
「だろうだろう?」
そう、彼女の能力はとても稀有なものだ。
ま、とりあえずいいか。
「じゃあ次は私が歌う! ほら、黒斗も!」
「え、えええ!?」
「私も一緒に歌う! 黒羽くん!」
「は、はい」
それから俺たちは、めいいっぱいカラオケを楽しんだ。
よく考えたらダンジョン終わりなのに、元気だな二人とも、いや俺も含めると四人か。
「それじゃあまたね黒斗、一人でかえれる?」
「大丈夫だよ美琴お母さん」
「じゃあおやすみなさい黒羽くん」
「あれ、ローザはそっちなのか?」
「我はどこからでも帰れるのじゃ」
情報量が多すぎた。
今日は帰ってゆっくり寝よう。
◇
「ローザさん、ちょっと来てくれる?」
「む、どうした?」
美琴と風華が、ローザを路地裏に誘う。
「黒羽くんとは、どういう知り合いなの?」
続いて尋ねたのは風華だった。
今際の際だぞ、とどこからか聞こえてきそうな雰囲気である。
「我は昔……いじめられておったのだ。その時、助けてくれたのが黒羽でのう」
少しだけしょんぼりした後、美琴が訪ねる。
「そうだったんだ」
「ああそうじゃ。彼はいい人だ。我は人としても好きだ。とはいえ、人としてだが」
「好意を抱いているとかじゃなくて?」
更に問い詰めたのは風華だった。
ローザは、驚きながらも頬を赤らめる。
「わ、わからぬ。だ、だが、本当にその時嬉しかったのじゃ。二人が好きというなら、邪魔はせぬぞ!?」
「……でも確かに優しいよね」
「うん。そうだね。――ローザさん、一緒にかえろっか」
何かに合格したのか、二人は微笑んだ。
ローザは嬉しそうに笑う。
そのとき、美琴と風華の探索者アプリに通知が来る。
加入を認めると。
「やった! よろしくね、ローザさん!」
「うん! あ、アプリでギルド承認されたよ! ブラック様、認めてくれたんだ!」
「うむ、よろしくなのだ!」
水面川ローザが、ブラックシュヴァルツに加入した(中二病ver)
ギルドランクが、C+に上がった。
カラオケに到着後、水面川ローザは、マイクを片手に陽気に歌っていた。
その曲の歌詞は俺も聞いたことがないほど中二病で、漆黒や暗黒で溢れている。
「深淵は、またのぞいてお る の じ ゃ ぁ ~♪」
最後の締めが終わり満足そうにふふんと席に座る。
そして美琴と風華さんは――。
「ローザさん、歌上手いんだね!」
「凄い、驚いた……」
べた褒めだった。
「ほほう、そうじゃろうそうじゃろう」
何かよくわからんが、仲良くなっている。
ついさっきまで剣幕なムードだった。
さっき俺がトイレで戻って来てから変わったのだ。
「黒斗、ローザさんのアカウントみた?」
「アカウント?」
ローザが見せてくれたのは、探索者アプリだった。
それには、水面川ローザ、探索者個人ランクBと書かれている。
「それで、私たちのギルドに誘ってみようかなって。ブラックさんも、人探してたから」
「Bランクなら、私たちも助かるしね」
なるほど、それで仲良くなったのか。
二人はSランク到達を目指している。
美琴は誰かに尊敬されたい。
風華さんは、とにかくお金がいるとのことだ。
確かにブラックこと俺も良い人材がいれば確保してほしいと頼んでいた。
しかしよりにもよってローザか。
「そ、そうなんだね。いい返事が来るといいね」
「我が能力はブラックも喜ぶであろう」
……う、うーん。まあ、戦闘能力は申し分ないが、俺を知っているだけあって動きづらい。
「それで、ローザさんはどんな能力なの?」
「確かに、なんか竜を飛ばしてたよね?」
「我か? 我はこれじゃ」
するとローザは、手のひらに小さな竜を出現させた。
「竜を出す能力?」
「のんのん、”想像”が我の能力だ。イメージを魔力に応じて出現させることができる。制限は色々あるがのう」
「ええー凄いね。初めて聞いた」
「だろうだろう?」
そう、彼女の能力はとても稀有なものだ。
ま、とりあえずいいか。
「じゃあ次は私が歌う! ほら、黒斗も!」
「え、えええ!?」
「私も一緒に歌う! 黒羽くん!」
「は、はい」
それから俺たちは、めいいっぱいカラオケを楽しんだ。
よく考えたらダンジョン終わりなのに、元気だな二人とも、いや俺も含めると四人か。
「それじゃあまたね黒斗、一人でかえれる?」
「大丈夫だよ美琴お母さん」
「じゃあおやすみなさい黒羽くん」
「あれ、ローザはそっちなのか?」
「我はどこからでも帰れるのじゃ」
情報量が多すぎた。
今日は帰ってゆっくり寝よう。
◇
「ローザさん、ちょっと来てくれる?」
「む、どうした?」
美琴と風華が、ローザを路地裏に誘う。
「黒羽くんとは、どういう知り合いなの?」
続いて尋ねたのは風華だった。
今際の際だぞ、とどこからか聞こえてきそうな雰囲気である。
「我は昔……いじめられておったのだ。その時、助けてくれたのが黒羽でのう」
少しだけしょんぼりした後、美琴が訪ねる。
「そうだったんだ」
「ああそうじゃ。彼はいい人だ。我は人としても好きだ。とはいえ、人としてだが」
「好意を抱いているとかじゃなくて?」
更に問い詰めたのは風華だった。
ローザは、驚きながらも頬を赤らめる。
「わ、わからぬ。だ、だが、本当にその時嬉しかったのじゃ。二人が好きというなら、邪魔はせぬぞ!?」
「……でも確かに優しいよね」
「うん。そうだね。――ローザさん、一緒にかえろっか」
何かに合格したのか、二人は微笑んだ。
ローザは嬉しそうに笑う。
そのとき、美琴と風華の探索者アプリに通知が来る。
加入を認めると。
「やった! よろしくね、ローザさん!」
「うん! あ、アプリでギルド承認されたよ! ブラック様、認めてくれたんだ!」
「うむ、よろしくなのだ!」
水面川ローザが、ブラックシュヴァルツに加入した(中二病ver)
ギルドランクが、C+に上がった。
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