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第3話 魔剣の進化
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「いつでも大丈夫です」
剣を構えながら、リミット先生は俺の言葉で頷いた。
地面から出現したのは、黒い人型の塊だ。
これは召喚魔法で、実際は生物ではない。
このレベルの魔法を出すのはこの世界ではありえない。
だが、それを簡単にやってのける。
それも魔物は一体じゃない。二体、三体、四体が、俺を囲む。
「それではいきますよ――」
リミットさんがそう言った瞬間、魔物たちは俺をめがけて一斉にとびかかってくる。
まず最初の攻撃をヒラリと避けて、返し際に一撃――。
「……え?」
あれ、なんかリミット先生が驚いている。
ちなみに一撃で消し飛んだので、残りは三体だ。
「二体目――っ」
着地と同時に足を切り落とす、偽魔物の首を落とす。
三体目は心臓を一突き、
そして四体目は――。
「これで、終わりだ」
真正面から一撃。
数か月でこれはなかなかのものじゃないだろうか。
そう思いリミット先生に視線を向けると口も目も開いていた。
「え、どうしました?」
「……デルクス様、やはり私をからかってますか?」
「え、ええ何がですか!?」
「今私が召喚した召喚魔法は、あなたが思っているよりとても強いです。勝てないからこその戦い方を教えるつもりだったんですが……」
「え、あそ、そうなんですか?」
そういわれても倒せてしまった。
身体から力が溢れている。
もちろん努力して使いこなせているのは事実だが、それでもだ。
やはりデルクスは、想像以上に素質があったのだろう。
「……しまだ改善の余地はあります。しかしデルクス様、世界制覇できますよ」
「いや、そこまでは目指してないんだが……」
といってもまあ強いに越したことはないだろう。
学園では色々な試験がある。それまでに強くなっているのはいいことだ。
「さて、次は基礎訓練にしましょうか」
「はい!」
いつもの日課の訓練を終えて、俺は一人、近くの森へ来ていた。
手には小さな魔剣を持っている。
そろそろ扱えると確信したからだ。
この魔剣は、従者の強さと吸い取った魔力に応じて形を変える。
初めて召喚したときはバターナイフのような大きさだったが、小刀ぐらいにはなっていた。
「……少しドキドキするな」
今いるのは、王都近くの森だ。
エマには黙ってきている。危険ですよと言われるとわかっていたからだ。
森へ入ると、ゴブリンのような魔物がさっそく俺を迎えてくれた。
不思議と恐怖はない。
なぜなら、リミットさんが召喚した魔法魔物のほうが明らかに強いとわかったからだ。
「ギャギャギャッ!?」
魔物は人間を襲ってくる。理由なんてない、それが、魔物だ。
俺は遠慮なく切り伏せる。すると倒した魔物の魔力が、魔剣に吸い取られていく。
「……やっぱりだ」
ゲーム通りだ。この魔剣で倒すと、その魔力の一部が吸収される。
つまり剣の持ち手である俺が強くなるのと合わせると、とんでもない剣が出来上がるってことだ。
更に冒険者としての依頼もこなせば、一石三鳥。いや、戦闘訓練にもなると思えば、四鳥か?
「ギャギャッ!?」
「はっははっ」
そして僕は、俺は楽しみながら魔物を倒していった。
気づけば夜だった。森の奥深くまで来ていたらしい。
ステータスを確認してみると、魔剣のレベルが3になっていた。
大きさは少し伸びただろうか。さすがに大剣まではいかないだろうが、強くなったのがわかる。
「そろそろ戻るか……」
だがそのとき、叫び声が聞こえた。魔物の、それも低い声だ。
逃げるなんて選択肢はなかった。むしろ喜びながら進むと、そこにいたのはデカい魔犬だった。
いつの間にかそんなところまで来ていたらしい。
だが今の俺に勝てるのかはわからない。しかし俺は魔剣を構えた。
「どのくらい強いか――試してやる」
「ガウガアアッ!」
魔犬はかなりの速度で向かってきた。どでかい図体だが、速度は速い。
巨大な爪を回避するが、服に少し当たったらしく、思い切り破ける。
まずい、そんなに服は持っていないのに。
「高いんだぞ、これ……」
「ガウゥッガゥ!」
だが動きは見切った。次は――やれる。
「ガッウアアアウ!」
「――やっぱりね」
魔犬は首を狙う。原作でそれを知っていた俺は、あえて隙を作っていた。
そしてカウンターで倒すと、そのまま魔犬は絶命した。
魔力の一部が、剣に吸収されていく。
すると、質が変化した。
魔犬は硬質化する能力を持っている。牙や刃がそれだ。
その力が、魔力に付与されて鋭利で、硬くなったがわかる。
「はっ、凄いな」
だがこれは原作通りだ。これなら、俺はもっと強くなれる。
俺は、最強の悪役モブになってやる。
……いや、悪役は抜くんだった。
剣を構えながら、リミット先生は俺の言葉で頷いた。
地面から出現したのは、黒い人型の塊だ。
これは召喚魔法で、実際は生物ではない。
このレベルの魔法を出すのはこの世界ではありえない。
だが、それを簡単にやってのける。
それも魔物は一体じゃない。二体、三体、四体が、俺を囲む。
「それではいきますよ――」
リミットさんがそう言った瞬間、魔物たちは俺をめがけて一斉にとびかかってくる。
まず最初の攻撃をヒラリと避けて、返し際に一撃――。
「……え?」
あれ、なんかリミット先生が驚いている。
ちなみに一撃で消し飛んだので、残りは三体だ。
「二体目――っ」
着地と同時に足を切り落とす、偽魔物の首を落とす。
三体目は心臓を一突き、
そして四体目は――。
「これで、終わりだ」
真正面から一撃。
数か月でこれはなかなかのものじゃないだろうか。
そう思いリミット先生に視線を向けると口も目も開いていた。
「え、どうしました?」
「……デルクス様、やはり私をからかってますか?」
「え、ええ何がですか!?」
「今私が召喚した召喚魔法は、あなたが思っているよりとても強いです。勝てないからこその戦い方を教えるつもりだったんですが……」
「え、あそ、そうなんですか?」
そういわれても倒せてしまった。
身体から力が溢れている。
もちろん努力して使いこなせているのは事実だが、それでもだ。
やはりデルクスは、想像以上に素質があったのだろう。
「……しまだ改善の余地はあります。しかしデルクス様、世界制覇できますよ」
「いや、そこまでは目指してないんだが……」
といってもまあ強いに越したことはないだろう。
学園では色々な試験がある。それまでに強くなっているのはいいことだ。
「さて、次は基礎訓練にしましょうか」
「はい!」
いつもの日課の訓練を終えて、俺は一人、近くの森へ来ていた。
手には小さな魔剣を持っている。
そろそろ扱えると確信したからだ。
この魔剣は、従者の強さと吸い取った魔力に応じて形を変える。
初めて召喚したときはバターナイフのような大きさだったが、小刀ぐらいにはなっていた。
「……少しドキドキするな」
今いるのは、王都近くの森だ。
エマには黙ってきている。危険ですよと言われるとわかっていたからだ。
森へ入ると、ゴブリンのような魔物がさっそく俺を迎えてくれた。
不思議と恐怖はない。
なぜなら、リミットさんが召喚した魔法魔物のほうが明らかに強いとわかったからだ。
「ギャギャギャッ!?」
魔物は人間を襲ってくる。理由なんてない、それが、魔物だ。
俺は遠慮なく切り伏せる。すると倒した魔物の魔力が、魔剣に吸い取られていく。
「……やっぱりだ」
ゲーム通りだ。この魔剣で倒すと、その魔力の一部が吸収される。
つまり剣の持ち手である俺が強くなるのと合わせると、とんでもない剣が出来上がるってことだ。
更に冒険者としての依頼もこなせば、一石三鳥。いや、戦闘訓練にもなると思えば、四鳥か?
「ギャギャッ!?」
「はっははっ」
そして僕は、俺は楽しみながら魔物を倒していった。
気づけば夜だった。森の奥深くまで来ていたらしい。
ステータスを確認してみると、魔剣のレベルが3になっていた。
大きさは少し伸びただろうか。さすがに大剣まではいかないだろうが、強くなったのがわかる。
「そろそろ戻るか……」
だがそのとき、叫び声が聞こえた。魔物の、それも低い声だ。
逃げるなんて選択肢はなかった。むしろ喜びながら進むと、そこにいたのはデカい魔犬だった。
いつの間にかそんなところまで来ていたらしい。
だが今の俺に勝てるのかはわからない。しかし俺は魔剣を構えた。
「どのくらい強いか――試してやる」
「ガウガアアッ!」
魔犬はかなりの速度で向かってきた。どでかい図体だが、速度は速い。
巨大な爪を回避するが、服に少し当たったらしく、思い切り破ける。
まずい、そんなに服は持っていないのに。
「高いんだぞ、これ……」
「ガウゥッガゥ!」
だが動きは見切った。次は――やれる。
「ガッウアアアウ!」
「――やっぱりね」
魔犬は首を狙う。原作でそれを知っていた俺は、あえて隙を作っていた。
そしてカウンターで倒すと、そのまま魔犬は絶命した。
魔力の一部が、剣に吸収されていく。
すると、質が変化した。
魔犬は硬質化する能力を持っている。牙や刃がそれだ。
その力が、魔力に付与されて鋭利で、硬くなったがわかる。
「はっ、凄いな」
だがこれは原作通りだ。これなら、俺はもっと強くなれる。
俺は、最強の悪役モブになってやる。
……いや、悪役は抜くんだった。
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