【R18】転生?した先は、リアルよりもHな世界でした。

N.M.V

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ゴーレムは電気ウナギの夢は見ない?

アウトオブH?

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 村民と、非戦闘ゴーレムを村の中心部にある遺跡地下に退避させ、ワタシ達はその場所を拠点として、迎撃態勢に入った。

 既に襲撃は始まっており、森のあちらこちらから剣戟の金属音、魔法によ爆発音、怒号が聞こえてくる。

 かなりの人数が襲って来てるのがわかる。

 村長からもたらされた事前情報では、衛士隊は、上級長ふくめ、全員が村の外でゴーレムと共に戦闘中。

 故に、村内を守るのが、ワタシ達のお仕事。

「ルナ、どう思う?」

「そうね、状況的に衛士隊とゴーレムだけでは厳しいんじゃないかしら?」

 ルナリアも、冷静にワタシと同意見。

 警備ゴーレムは戦闘力があるとは言え、多勢に無勢。数で押し切られたらどうしようもない。

 さっき、村庁舎の鐘楼から俯瞰してみて見たけど、複数の戦闘塵が確認できた。数や規模から、村の衛士隊とゴーレムだけでは捌ききれない。

 村長曰く……、

「これほどの規模で襲撃してくるとは思ってもいなかった」

想定外らしいわ。

普段から侵入してこようとする者はいたと言う。でもそれらは全て、外からの『不可視結界』とゴーレムにより駆逐されて来た。

ところが、今回の賊は有象無象じゃない。その統率された動きから、ただの賊ではないとわかったわ。奴らは『不可視結界』の抜け方を知り、ゴーレムを打ち破り、ジワジワと侵攻してきてる。

 恐らく傭兵とか、軍事的組織集団……

 奴らがどこの所属かはさておき、村長は、いざという場合に使用する、この村に備わる『大規模戦術級結界』の存在を教えてくれた。

それは何か?

この村を『不可視隠蔽』させている結界を内向きに反転させ、この場に全てを封じ込める『牢獄』と呼ばれる結界魔法。閉じ込められたが最後、内側からの脱出は不可能になるそうな。

村長曰く

「『不可視結界』は、我々が用意したモノではなく、恐らく遺跡を造ったであろう先史文明人によって、この地に施さた『古代魔法』と考えられている。現代の者達では再現が出来ない」

との事。

古代魔法ときましたか。

ルナリアが驚いていたけど、古代魔法は精霊の力を介さない神聖魔法に近く、原理不明のモノだとか……

説明では『不可視結界』は、光の屈折とか、音の消去とか、そんな単純なモノではなく、事象の異なる障壁を外向きに生み出しているのだとかなんとか……と、なると、それを反転させるという事は……『亜空間』に閉じ込めるという事?

それって凄くない?

「でも、操作はできるのね?」

「結界の作動のさせ方は、最初から術式に組み込まれているからね、使用者はコマを入れ替えるだけで結界の『出入り』『反転』をさせる事が出来るようになってる。発動原理までは解明されていないが……」

「出入り?」

「結界の外にも、隠されたコマがあって、それを起動する事で村に入る事ができる、外に出る時も同様で、どうやら賊はその情報を得てしまったらしい」

ああ、そういう事

「しかし、『反転』は一度起動すると内側からも外側からも解除できない、2度と出られなくなる、私達は『無限の牢獄』と呼んでいる」

それってなんかこうヤバイ奴を永続的に封印する類じゃないの?、対鋼のゴーレム用なのかしら?

「そんな正体不明な結界、使って大丈夫なの?」

「地下に結界操作のコマがあり、使い方が書かれている、それを信じるしかない」

使用マニュアルがあるんかい。古代人、親切だわー。

「ちなみに、使用した事は一度もない」

でしょうね。

ゴーレムなんかより、そっちの研究した方がいいんじゃね?、とツッコミたくなった。

この結界が最初からここに存在していたからこそ、ゴーレムの研究施設をこの地に造ったと言うことか。

……まぁどうでもいいわ。

とにかく、賊共の殲滅が第一優先。

とは言え、結界を発動させるにも退路がいる。一緒に閉じ込められては意味がない。賊は四方八方から迫って来てる。

その退路は?

実はある。

それが遺跡。

「本当に、君たちだけで大丈夫なのか?」

「大丈夫、とは言えません。だけど依頼を受けた以上、やることはやります」

作戦はこう。

1、まず、賊を潰す、殲滅出来れば御の字。
2、作戦終了

以上

……殲滅出来なかった場合。

1、非戦闘員は、ゴーレムを残し地下遺跡へ移動してもらう
2、ワタシ達が囮になって敵を全て村に引き込む
3、ワタシとスノウで広範囲に土壁を形成し.賊の退路を断つ
4、タイミングを見計らって、総員、地下遺跡へ退避、通路を通って外へ脱出
5、結界転位を起動
6、賊共を結界内に閉じ込める
7、作戦終了

『地下遺跡』の通路は一方通行らしいので、たぶん脱出路として用意されたんでしょうね。脱出路が何故必要だったのかは知らんけど、通れるのは予め登録された。そして、無生物のゴーレムは通れない。

結界は明らかにゴーレム用だとわかる。

故に、結界を発動させると、村を捨てる=ゴーレムを捨てると言うことに……

当然ながら工房長は猛反発したけど、そこは村長が説得した。

そうならないよう、賊共を殲滅してしまえばいい

非道?

いいえ、降りかかる火の粉は全力で振り払う。この世界の鉄則、そうしなければ自分らが酷い目に遭う。

問題は衛士隊、村長の下した決定よりも先に出陣してしまっていたので、作戦の伝令がまだ伝わりきっていない。ワタシ達が二次的に引きつけ、彼らの後退を補助しなければならないのよね。

「本当に君達だけで大丈夫なのかね?」

「戦闘員が他に居ませんから」

「依頼しといてなんだが、逃げてくれても構わないんだよ?、君らがもし賊に捕まればタダでは済まない」

思いもよらないことを言われた。

確かに、奴らに捕まりでもしたら、ワタシ達女衆は全員慰み者よね、男達に死ぬほどハメハメされ、性奴隷にされるのが目に見えてる。

 ……ん?、いやいや、とっ捕まえてワタシ達に酷いHなお仕置きしたのはどこのどいつだ、と問いたいわ。

まぁ、やったのは村長ではないけどね

「ワタシ、ちょっとこの村を気に入ったんですよね」

その言葉を聞いたルナリアが、ワタシの隣で目を見開き口を開いた

「ゴーレムとの性交がそんなに気持ちよかったの?」

ブチっ

ワタシはルナリアの頭をヘッドロックして締め上げた。

「いたいいたいたぁい!、エム!!、いたああああいっ!!!、割れる!、割れるぅ」

「誰のせいでこうなったと思っとるんじゃ、このビッチ!、何が性交か!!」

「冗談!、冗談だってば!!」

ワタシはルナリアの頭を離すと、背中を蹴り飛ばした。

「やんっ」

ヨヨヨと倒れ込むルナリア。

「冗談が過ぎるんじゃ、ボケ!、今度くだらんこと言ったら、アンタのその無駄にデカイパイ乙、マジで千切るからね!」

ワタシのマジ切れ剣幕に、ルナリアがゾッとした顔を見せた。

そんなワタシ達のやり取りに、村長が笑う。

「ははっ、この状況でその余裕、冒険者として、よほど肝が据わっているようだね」

「……そりゃまあ、散々酷い目に遭って来ましたから、今更なんですよね。まぁ、やるだけやりますよ……ダメならダメで、結界を作動させてください。そうだ、ゴーレムを何体か貸してくれません?」

村長が訝しむ。

「ゴーレムを?、ここには農作業用しか残ってないが……」

「うん、それで結構です」

 ……

 賊共の勢いが止まらない、ゴーレムの自爆技『金剛石爆散自爆ダイヤモンドダスト(仮)』で賊は死者を出すも、怯まず村の四方から進行してくる。

 奴らはハイアゲ状態。『魔薬』を使った死の行軍、ほーんとアレって厄介な薬だわ。

 そうまでしてゴーレム技術が欲しいのかしら?、理解できん。

 そして賊達は遂に村へと雪崩れ込んで来た。

いるわいるわゾロゾロと。格好から冒険者とか盗賊とかではなく、やはり軍隊。揃えられた装備に同じ武器、全員が顔がわからないようマスクまでしてる。

まるで、

 ワタシ達は、戦力を分散させた。

 西はワタシとゴーレム、南はルナリア、東はマティ、マティは大剣を失っているので、サンが援護、北はスノウ、そしてケティは中央の遺跡で状況把握と最終防衛ライン。ニクは地下遺跡へ。

一騎当千の強者衆なのでなんとかなるっしょ。

「んだらっ!!、おめだづヒゲぁっ!!」

 返り血なのか、怪我を負っているのか、後退して来た衛士隊上級長が、血濡れの剣を掲げて、生き残った部下達に遺跡まで後退の指示を出した。

伝令は伝ってるみたい。

 そこへ、追いすがる数人の賊が斬りかかって来た。

「!?」

 ゾンっ!

 その瞬間、賊達の上半身が宙を舞う

 ワタシの禁断の大剣が、賊達数人を一度に屠った。

「んなっ!?」

そんなワタシと大剣を見た隊長さんが目を丸くさせてる。

「ここはワタシ達が食い止めますので、衛士隊は遺跡へ」

「んばがこぐなぁっ!、やヅラは、んまだまだ、いっぞ!?、おめダツはどするだ!?」

 なに言ってるかわからないけど、敵は大勢いると、言ってるんだと思う。

「問題ないわ」

「もだねって、おめさ……」

 上級長がワタシの背後を見て、そこで目を散眼させた。

「んだら、そんゴレム!??」

 真っ黒い漆黒の闇を纏ったゴーレムが4体、ワタシの背後に控えていた。

 怪しさ大爆発、見た目は凶悪な魔物そのもの。

 それはエムシャドウを憑依させた、ワタシオリジナルの遠隔操作型ゴーレム、とりあえず『ダースゴーレム』とでも呼んどきますか。

「とにかく衛士隊を下がらせて、巻き込まれるわよ」

 ボッという旋塵を残し、一瞬の内にシャドウゴーレムは、賊達と会敵する。

「んな!?」

衛士隊上級長が絶句。

 賊達の前に現れたゴーレムが、瞬く間に彼らをその拳で肉塊ヘと変えていく。

「な、なんだ!?、ま、まも……グぇアっ!!」

「げひっ!」

「ぎゃあっ」

たちまち阿鼻叫喚の地獄絵図

 ゴーレムには、膂力増加の魔法を付与し、更に風魔法を纏わせ素早さを底上げさせた、ウェイトもある。質量に物を言わせた拳の破壊力は半端なく、通常の戦闘ゴーレムより遥かに強く仕上げてあるわ。

賊達は、ダンプカーに体当たりを喰らっている様なもの。

ダンプカー?

 故に人など、あっという間にミンチよろしく、スプラッター

 代償として、ワタシの並列思考はフル回転、4体分のシャドウ操作と複数の魔法操作に注力しなければならない。

だけど、賊共もすぐさま対応し始めた。やっぱり動きが統率されてるわね。

ゴーレムの動きを見極め、近接を避けつつ、複数による、魔法と飛び道具による波状攻撃をし始めた。

それでも、遠隔では打撃力が足りない。ダースゴーレムには気ほどにも効いてない。

「1体でも十分そうね」

ワタシは4体を振り分け、ルナリア達の方へそれぞれ向かわせた。

「女ぁっ!!、貴様か!!」

「!?」

しまった!!

賊がいつのまにか数人、ワタシの近くまで接敵してきてた。

ゴーレム操作に集中しすぎて、索敵にかからなかった連中が、一斉にワタシに飛び掛かって来ていた。

操っているのがバレた!?

「んだらっ!!!」

「上級長!?」

突然ワタシの目の前に立ちはだかったのは衛士隊上級長、人瞬きでそいつらを全員斬り伏せた。

凄い剣技、ステキよオジ様、って…

「なんで戻ってきたのよ!?」

「おなごだけに、まがせらねっが!!」

任せられないって、そんなこっちゃねーわ

「遺跡まで退避してよ!」

「気さぬぐなぁ!!」

上級長が剣を賊へと向けると、衛士数名が突入して行った。

「あーもうっ!!、上級長!!、部下を前に出さないでよ!!」

「おなご共だけには、まがせられっんど、おめさ、えんごすっだ!!」

「援護って……」

上級長と、2人の衛士がワタシの周りを固める。

「アンタらも退がりなさいよ!」

「他の隊員も、冒険者殿のお仲間の援護に向かいました」

聞けよ、人の話!

「この作戦は、賊の封じ込めよ、村長の意向は伝わってないわけ?」

「わりっが、そんぢょのいうごとは、ぎけね」

「我々は村長の意向は聞き入れられません」

翻訳ありがとう、って

「なんでよ!?」

「命を落とそうとも、我々はこの村の存続を望んでます。冒険者殿もそう言われたと聞きました」

そんな事言ってねーわ!

ここの命令系統はどうなってんのよ!

そうは言いつつも、ダースゴーレムと衛士隊の活躍で、徐々に押し返し始めた。

追い立てられる賊共は統率が乱れ始め混乱している。賊共は次々と絶命し倒れていく。

慈悲はないわ、降伏の意を示した賊さえも容赦なく命を奪ってやった。

ワタシ達の目的は『殲滅』、1人として生かしては返さない。

それは村長からの正式な依頼、それはここに手を出せば誰一人帰さないと言う、背後の組織への威力表明。

……でも、何か腑に落ちない、何か見落としてる気がする。『鋼のゴーレム』の時のような、モヤモヤっとした言い知れぬ不快感がある。

「ツっ!」

ビリっとつむじに鈍痛が走った。

ダースゴーレムの反応が途切れたのを感じ、ワタシは振り返った。

「ハッハー、雑魚い衛士の他にも、歯応えのあるゴーレムがいたんだな」

そこには縦に真っ二つにされたダースゴーレムを踏みつける、大剣を肩に担いだ奴がいた。

装備も格好も他の賊と同じだけど、明らかに格が違う。

目を引くのは持っている大剣、妙なオーラを纏ってる

「それに、おれの剣よりスゲーの振り回してるスケがいるじゃねーか」

マブいスケって…

「……その剣、魔剣ね」

「ハッハー、ご明察だ、アンタも魔剣使いか?」

「これはデカイだけの普通の剣よ」

「ふーん、まあいいや、よくみりゃ俺好みのいい女だし、手足落として俺の性具にしてやるよ」

何を言い出すんじゃ、このヤロー

「悪趣味だわ」

「そうかー?、手足ない方が犯す時に邪魔しなくていいだろう?」

「外道ね」

「褒め言葉だなぁ」

男は肩に担いでいた剣を下ろした。

「つうことで、やり合おうっか?」

やなこった。

ワタシは右足をダンっ!と踏む、その瞬間、土の壁が男の左右から高速で起き上がり、挟み込むように男に襲い掛かる。

「うおわっ!?」

男は驚いて咄嗟に飛びずさろうとしたが、巻き込まれ、思いっきり挟まれた。

バガーンっ!

土壁は衝撃で砕けるも、男は土塊の下敷きになる。

「く、クッソ!、がーー!!!!」

男は土塊の中で動けなくて足掻いてる。

「テンメェ!、卑怯……うごあ!!」

卑怯結構。

更に土を盛る。

どんどん盛る。

「グアア……」

声が小さくなって行く。

「……おめさ、ひっでぇわ」

衛士隊上級長が呆れてる。

酷い?、こんな奴まともに相手をしたら、酷い目に遭うのはこっちだわ。

「下衆ヤロウは問答無用に死ねって話しね……ん?」

どばーんっ!!!

ゲス男の上に盛った土の山が、盛大に吹き飛んだ。

ああ、ウォークライね。

「テンメェ!!!!」

まぁ、穴掘ったわけじゃないからそんな簡単には行かないわよねー。

殺気を漲らせてるけど、土盛りでだいぶダメージは与えたみたい。

「殺す!!、犯してから殺す!!」

「はいはい」

ゲス男が、魔剣をワタシに向けた。

「俺を舐めた事を後悔させてやる」

「下がって隊長さん」

「あんヤツ、てだれっど?」

でしょうね、普通に相手したら多分勝てない。

ゲス男がニヤリと笑うと、彼の姿が揺らぎ、複数に分裂した。

光の屈折を利用した幻影とみた、魔剣の力、光属性?。ワタシは彼の足元を見た。

「その四肢掻っ切ったらああああっ!!!」

大剣を横凪に振り回した複数のゲス男が刹那の踏み込みでワタシに迫った。

ゴオォオオアオオン!!

「へぶぅっ!!!」

でも、ワタシの大剣は、それよりも早くゲス男本体の脳天に炸裂した。
それも平らな面で、ゲス男の首が一瞬肩に埋まり、足元をから腰まで地面にめり込んだ。

いやもう漫画だわ。

マンガ?

男はピクピクと痙攣してる。

シュールな絵面。

「んだで、そんが、本体だどわがった?」

「え、だって……くだらない大道芸だわ、足元の影を見たらどれが本体かわかるもの」

「そんでもや、その大剣をあんそぐどで、ぶんまわっすどが、ふづーじゃねえど」

「そお?」

ゲス男の仮面がバリンと割れた。その顔からは血の気が引き、白目を剥き、耳や鼻から血と得体の知れない液体がドクドクと垂れ流れ、ゲス男の脳天は陥没していた。

やり過ぎた。

「こ、コイツ!、生きてたのか!?」

衛士隊員が驚いてる。

「知ってる人?」

衛士隊員はワタシの質問に

「……ここの元衛士隊員です。10日程前、森でゴーレムと警邏中に何者かに襲われ死んだはずでした」

「はず?」

「獣か魔獣に喰われたようで、身体の一部を発見したので…」

「ゴーレムは?」

で精霊が抜け落ちた状態で、近くでバラバラになってました」

あー、そう言うこと。

ゴーレムには行動範囲が設定されていて、村からある程度離れると、宿した精霊がゴーレムから離れてしまう仕組み。遠くには持ち出せないようになってる。

でも……恐らく発見された壊れたゴーレムは偽物、なんらかの方法で、賊共はゴーレムを境界の外に持ち出したんだわ。

「……そうなると、もう既に賊はゴーレムを手に入れているって事よね?」

「んだな……」

衛士隊上級長も考え込んでいる。

ワタシは、地面に埋るゲス男にヒールを掛けた。

「ぎゃああああっ!!」

意識を取り戻し悲鳴を上げるゲス男。これだけの重症に、ただのヒールは中途半端な回復で苦痛にしかならない。更には神聖術の回復と違い、回復には生命力を奪う。このまま処置しなければコイツは結局の所死に至る。

「いだい、いだいいいっ!!!」

「アンタ達の本当の目的は何?」

「いひ、ひ」

「喋ったら、もう少し楽にしてあげるわ」

「ご、ゴーレム」

え?

「お、お前たちは、アレの価値が…ま、全く…わかってない」

「アレって何よ?」

「い、痛い……痛い……」

「奪い取ろうとしたのは、ゴーレム技術じゃないの?」

「……」

ゲス男の顔から再び血の気が失せ、ガクガクと震え出した、ワタシはヒールをかけてやろうと思ったけど、これ以上は無理だと思い、彼の大剣を拾うと、その剣で首を刎ねてやった。

「けんめいだなや」

「奴らはゴーレムを狙ってるんじゃないのかしら?」

「……俺も鋼のゴーレムかと、思っとったんだがの?」

上級長がジトーとワタシを見る

「……えーえー、私達が壊しましたよ、文句ある?」

と、その時だった。

ドドシャーン!!!、と落雷が落ちた。

方角は……

「遺跡!?、ケティだわ!、上級長ここをお願い」

「わがっだ」

「状況は悪い方に転がってる可能性があるわ、次の合図があったらすぐに遺跡へ退避して」

「んだーな、わがっだ」

ワタシは遺跡へ向かって走った。

………



「ケティ!!」

「エム姉!」

「状況は?」

「マティとルナっちは大丈夫だけど、スノウの北側がヤバイよ、北が賊の本隊みたい、スノウも本調子じゃ無いから苦戦してる」

ワタシは目を凝らし、北門の方へ目をやった。

送り込んだダースゴーレムは健在、スノウと共に暴れてる。でも衛士隊の姿が見えない。

スノウがダースゴーレムと共に暴れてる。

ワタシのダースゴーレムは、戦闘用ゴーレムと違って、農作業用を限界以上に振り回して使用しているため、瞬間的耐久性に弱い、稼働限界が近づいてる。いつ自壊してもおかしくない。

「ワタシがスノウの所に行くわ、ルナとマティ達、それから残った衛士隊を下がらせて、村長に伝えて。殲滅は失敗したって」

「りょうかーい」

護りきれると思ったんだけどなー

……

「あっ!」

スノウを護り続けた、エムのゴーレムが、賊達の連携攻撃で崩壊した。

「ゴーレムごときが、手こずらせやがって……」

ダースゴーレムを倒した賊達は、残りはスノウとばかりに剣を向けた。

「え?」

そこへ、スノウの覇気を込めた怒りの掌打が、衝撃波を伴いその賊共に炸裂した。木の葉のように吹き飛ぶ賊集団。

「よくもエムさんのゴーレムを!!」

「いやいや、アレは稼働限界よ、自壊だから」

「エムさん!?」

「…もう何よ、全然大丈夫じゃない」

ワタシは、ゲス男の大剣を構え、スノウに並んだ。

「……そうでもありません、北門からここまでだいぶ押し込まれてしまいました。ゴーレムは全滅、衛士隊も皆やられてしまいましたし……」

「そう見たいね」

チラッと見ると、神妙な顔してスノウはジッと北門を睨んでる。

「……」

よほど悔しいのね。スノウの殺気がジリジリと肌で感じられる。

賊達は、北門から続々と湧くように入ってくる。全身黒装束も相まって、まるでゴキブリよね。

北が賊の本隊とわかった。他の方角は囮だったわけね。それにしても賊共は一体どんだけいるのよ?

「スノウ、奴らを引き入れて、ここにわよ」

「…わかりました」

……

ワタシ達は、賊達を牽制しつつ遺跡まで下がると、そこにケティだけが待っていた。

「ケティ、ルナ達は?」

「エム姉の言伝を持って、衛士隊と先に下へ降りました」

「了解」

「北が本隊だったわ」

「北に戦力集中させればよかったのかしら……」

「結果論よ、東には撃退したけどヤバイ奴がいたもの。こちらがどう分散させても、集中させても、どっちみち攻め込まれてたわね」

数の勢いはどうしようもない。

「『成すもならぬも女神の采配』って事ね」

「なにそれ?、ルナ」

「戦の運は、女神様の気持ち次第で左右される、博打に出る時によく使う言葉よ」

なにそれ、嫌な女神だわ。

衛士隊も合流、先に地下遺跡に退避してもらう。ワタシとスノウが殿。そして押し寄せる賊達。

その賊達に向かって、ケティが最大級の『雷霆』を放ち足止めする。

マティよりもケティの方が雷の威力が高い。
何故なら、ケティの持つ大槍が『神槍ア・ヴァーゲイン』とか言う、竜人族製作の古代法具なのだとか。マティの盾やワタシの大剣と同じ破壊不能属性を持ってる。

ワタシとスノウは、その隙を狙い、周囲に土壁を出現させた。

何枚も、内側に覆いかぶさるように背高く。

そして遺跡を中心に賊達をグルリと取り囲んだ。

モレなし。

賊達は何事かと、統率が乱れた。

ワタシ達は、さっさと遺跡の中に入り、入り口を塞ぐ。

魔法を何発もぶっ放されたら壊されるので、時間稼ぎ程度にしかならないけどね。

ここからは時間との勝負、賊共が侵入してくるのが早いか、ワタシ達の脱出が早いか。

ドキドキですねー

ワタシは風魔法でスノウとケティを包み、一気に真っ暗で深い竪穴を飛び降りた。

風で竪穴底に軟着陸、そして一気に出口へー……

「村長!」

「話は聞いてる、上は?」

「賊は足止めしたわ」

「わかった、結界を反転させよう、この先に脱出路がある、先に行きなさい」

「村長は?」

「誰かがここで術式を起動しなけれぼならない、今ここでその権限があるのは私だけだ」

「え?」

ワタシは思わず眉根を寄せてしまった。

「大丈夫、時限式だ」

「…そう、わかったわ、じゃあスノウ達は先に行って、ワタシと村長で殿を務めるわ」

「ダメだ先に行きたまえ」

「議論してる場合じゃないわ、スノウ、ケティ、お願い」

二人は何かいいたそうにしたけど、頷くと走り去った。

「……全く、年長者の忠告を聞かないといつか酷い目に遭うぞ?」

「散々酷い目に遭って来たって、言ったでしょ?」

「……然りだな」

遠くで、何かがくずれる音、そして足音が響いて来た。

「侵入されたわね」

「急ごう」

村長はそう言って、石で組まれたパズルのようなものを動かし始めた。

「この石組で結界をどう動かすか鍵となっている、あらかじめ君からもらった髪の毛で通行許可はできている」

なんともアナログというか、まじない見たいなシステムよねぇ。

「……よし、これでいい、脱出路へ急ごう」

竪穴を降りてくる賊共の気配はまだ上にある、脱出には十分間に合う……

……ワタシはそう思っていた。

「そこへ飛び込むんだ」

「ここ?」

どよんとした緑色に光る壁がある

「その先は登録者しか通れない、向こうからも来れない、さっきの鍵で君の事は登録した、さあ早く」

スノウ達もこの先に行った、迷う必要はない

ワタシは意を決して飛び込んだ。

……ところが

バチんっ!!

「きゃっ!!」

おもいっきり緑の壁に弾かれ、ワタシは転倒した。

「う、くっ……」

なによコレ身体が痺れて……

誰かの深いため息が聞こえた

「……全く、だから目上の者の忠告は聞いておきなさいと、何度も言った筈だよ?」

「お、オスター村長…」

村長は、痺れて動かないワタシの前にしゃがむと、顔を近づけて来た。

その顔には、さっきまでの優しげな表情がない

「私個人としては逃してやりたかったんだよ?、だが立場としては、逃がすわけにはいかないんだ」

な、なにを……んぶっ!

オスターはワタシの口に唇を重ねて来た、舌が入ってくる。

ん、ぶっ、いや、あぶっ!

トロりとした液体が、ワタシの喉の奥へと流れ込んでくる。

途端にワタシの身体が反応する。

『魔薬』

強烈なほどに身体の芯から、ほてり出し、疼きへと変わりだした。

「な、んああ、いやぁ、いやぁん!」

麻痺と催淫効果に、ワタシはどうしようもなくなる。秘穴が疼き、濡れ始めるのを感じる。

「んな、ああ、ひっ」

欲しい、…誰か助けて、入れて、硬いの……

ワタシは自らの指で股間を弄り、自らの手で乳房を弄る。

「安心しなさい、に手荒な真似はさせないからね」

彼らって…なにを言ってんのよコイツ…

すると賊達がその場にたどり着き、ゾロゾロと、現れた。

ワタシの悶える姿を見て、一様に目の色が変わる。

ああ、終わった。

迂闊だった、賊に情報を与えた者がいる、賊を引き入れた者がいる。

なんでそこに気づかなかったんだろう。この村にはがいるということに。

それがオスター村長だったなんて、なんでワタシはこの人を大丈夫だと思ってしまったんだろう……ワタシの人を見る目の無さにつくづく嫌になる。

オスターは、再びワタシにキスをして来た、今度は濃厚なディープキス、ワタシは我慢できず、抵抗なく舌を絡ませてしまった。

……
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