【リベンジ】騙したアイツを許さない~裏切り男を社会的に抹殺します~

松原朱里

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レストラン「タヴェルナ」

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ハヤミから「宝くじ作戦」について簡単に説明され、車から降りるよう促される。

「ううっっ…しんどそう…」

と、一応しぶってはみたが、そんなことがハヤミに通用するわけがない。

ズーンと重い、冷たい視線がこちらを見つめていた。

けれど次の瞬間、「ま、嫌ならいいんだが」と意外なセリフが飛び出し、

「…え…?」

レナは無意識に聞き返す。

するとハヤミは、薄い目をしてレナを見つめ、

「あそこのオーナー、相当イケメンらしい」

サラリと言った。

そういえば、レストラン「タヴェルナ」のオーナーは取材を受けないことでも有名。

さらに、料理ばかりしていて厨房から出ないことでも評判だ。

調理中のマスク姿を見たホールスタッフが「イケメン」と騒いでいたことは、風の噂で聞いたことがある。

けれど、それは所詮、マスクをしたときの評価。

マスク下の隠れた部分がどうなのか、ということはヴェールに包まれたまま。

興味は津々だが、体力を削ってまでイケメンかどうかを確かめたいとは思わない。

思っていたほど興味を示さないレナに、

「ちなみに、これがタヴェルナのオーナーの写真」

ハヤミがスッと写真を手渡す。

次の瞬間、

「隊長っっ!私、佐藤レナ、タヴェルナの面接へ行って参ります!」

レナが敬礼した。

ノーマスク姿も、超がつくイケメンだったのだ。

レナのまわりには、ハヤミやアオイというイケメンがいる。

けれど、ハヤミはレナのことなんて対象外だろうし、アオイはイケメンだが恋愛的なドキドキは感じない。

でも、タヴェルナのオーナーなら、「もしかしたら」があるかもしれない。

イケメンと付き合えるチャーンス!

しかも、人気店のオーナーなら、絶対お金持ち。

期待が膨らむ。

さっそうと車から降りようとしたレナを、

「お前、まさか、自分の任務を忘れてないだろうな?」

ハヤミが冷静に引き留めた。

「まっさかぁ~!忘れてませんって!」

コホンと咳払いして呼吸を整える。

「…お前も懲りないヤツだな。男を顔で選んでると、ホント後悔しかない人生送るぞ」

ハヤミは呆れたが、そんなことはどうだっていい。

イケメンにドキドキしてしまうものはしょうがない。

イケメン最高、イケメン命!

佐藤建設の娘カンナと接触して任務を遂行しながら、絶対にお近づきになってやる!

気合十分のレナに、

「お前、レストラン『タヴェルナ』の名前の由来って知ってんの?」

ハヤミが聞いた。

「へ?」

「なんでも、面接では絶対に聞かれるらしい」

「タヴェルナの名前の由来…?」

「Tavernaはイタリア語で、大衆食堂や居酒屋のこと。オーナーの清川(キヨカワ)は、カラダにやさしい農薬の少ない厳選食材のみを使用しながらも、リーズナブルに楽しめるイタリアン料理中心のレストラン経営を目指している」

ハヤミはそう言うと、

「レストランのメニューは、ピザやパスタが中心。とくに、ナポリ風ピザやボロネーゼが人気で、生ハムを使ったサラダやフォカッチャ、バーニャカウダも評判」

さらに続けた。

「…ん?」

「いや、面接行くんだから、店名の由来やコンセプト、人気メニューぐらいは頭に入れとくべきだろうと思ってな」

「あ…」

確かに…。

心の中で反省していると、

「ま、とにかく行ってこい。なるようになるだろ。ただし、面接受からなかったら、報酬は減額するからな」

という厳しい言葉が頭の上から落ちて来た。

「ええええっっ~!そんなぁ~!!!」
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