39 / 56
アオイくんロス
しおりを挟む
ニシジマに襲われたら困るからって…
ハヤミさんもやさしいとこ、あるんだね~♪
ハヤミの助手席に乗り、ルンルン気分で家まで送ってもらってから2週間が過ぎた。
2週間、「何かあったら困るから」と、ハヤミが毎朝迎えに来て、送ってくれた。
イケメンと過ごせる車内での時間は楽しいしドキドキするけれど…
ま、ご想像通り、ほぼほぼ無言なわけですよ。
もしくは、お説教~…
そのうえ、オアシス的な存在のアオイくんはニシジマ重機建設の潜入捜査を続けているから、リアルに会えることもない。
ジュースのオジさんが出現した日以来、オープンな通信もない。
まぁ、ハヤミさんとはコソコソ、いろいろやり取りしてるみたいだけど。
なんだか最近は、日が経つのが遅いし、ズーンと気分も沈みがち…
アオイくんロスだわ~っっ!!!
「はぁああああ…」
レナは、ついに耐え切れず思いっきり溜め息をつき、
「ハヤミさん…アオイくんって、いつまで潜入捜査するんですか…?」
そう涙目で、コーヒーを点てているハヤミに尋ねてみた。
「退屈してんの?」
冷たい声でそう聞かれたがすぐに、
「ま、俺も、お前と2人じゃ会話もないし退屈だわ」
チラリとレナのほうを見て、
「そろそろ、俺らも動くか」
ハヤミはそう言うと、点てていたコーヒーをカップに淹れ…
「あぁあっ…私、いま、コーヒーの気分じゃなくて…!」
咄嗟にそう言ったレナをスルーしたまま、水だけが入った牛乳瓶の横にそっと置く。
「お前のじゃねーよ」
ハヤミは不機嫌そうに言うと、
「アオイが来ないと、花も届かないしな」
静かに続けた。
そういえば、コーヒーカップを置いたスペースに置かれている牛乳瓶には、毎日いろんな草花が飾られていた。
スミレにアネモネ、アークトチス…いろんな種類の花。
なんとなく見ていたから気づかなかったけど、言われてみれば、アオイくんが「リベンジ」に来なくなってから水の入った牛乳瓶だけになっていた気がする。
「ハヤミさんが生ければいいのに」
自然に口から滑り出た言葉を、
「そーゆー問題じゃないんだわ。ま、バカにはわかんねーか」
ハヤミはいつもの口調で叩きのめしたけれど、一瞬だけ見せた寂しそうな顔をレナは見逃さなかった。
「ねぇ、ハヤミさん、それって、この前、カナデさんっていう人が言ってたことと何か関係あるんですか?」
そう聞きたかったけれど、
「とにかく、俺らは明日、山田太郎のとこに行って証拠を手に入れる」
そんなハヤミの言葉が覆いかぶさってきて、「ねぇ」しか言えなかった。
「え?山田太郎って、この前、私が妊婦さんの役を演じた…?」
「そう」
「でもあのとき、結局は本人に会えなかったし、山田太郎のお母さんにもニシジマのことは何ひとつ聞けなかったじゃない?」
「まぁな」
「まぁな。って、あの家、フツーに車で3時間はかかるんだよ?往復で6時間。そんな時間かけて行って、また何も聞けなかったら、どーするつもり?…なんですかっ?」
つい、キツく言い過ぎたことを自覚し、語尾は無意識に敬語になった。
…が、後悔先に立たずだった。
ものすごい威圧感のある目で睨まれ、
「は?お前、俺のこと、なめてんの?」
と、凄まれたから。
ひぃいいいいっ!怖いよ、ハヤミさん!
あんた、イケメンじゃなかったら、ただのアウトロー系だよ。
ヤンキーだよ!
半グレだよ!
チンピラだよ!
なのに…
イケメンだから…ドSっぽくてキュンっとするんだよっっっ!!!!
もうちょっと近寄ってくれると、もっとドキドキするのに!とか考えちゃう。
ふぇええええっ…イケメンって、罪だわぁ~…!
「おい、なんか、ヨダレ垂れてんぞ」
ハヤミに言われ、レナはハッとして口元のヨダレを拭った。
ハヤミさんもやさしいとこ、あるんだね~♪
ハヤミの助手席に乗り、ルンルン気分で家まで送ってもらってから2週間が過ぎた。
2週間、「何かあったら困るから」と、ハヤミが毎朝迎えに来て、送ってくれた。
イケメンと過ごせる車内での時間は楽しいしドキドキするけれど…
ま、ご想像通り、ほぼほぼ無言なわけですよ。
もしくは、お説教~…
そのうえ、オアシス的な存在のアオイくんはニシジマ重機建設の潜入捜査を続けているから、リアルに会えることもない。
ジュースのオジさんが出現した日以来、オープンな通信もない。
まぁ、ハヤミさんとはコソコソ、いろいろやり取りしてるみたいだけど。
なんだか最近は、日が経つのが遅いし、ズーンと気分も沈みがち…
アオイくんロスだわ~っっ!!!
「はぁああああ…」
レナは、ついに耐え切れず思いっきり溜め息をつき、
「ハヤミさん…アオイくんって、いつまで潜入捜査するんですか…?」
そう涙目で、コーヒーを点てているハヤミに尋ねてみた。
「退屈してんの?」
冷たい声でそう聞かれたがすぐに、
「ま、俺も、お前と2人じゃ会話もないし退屈だわ」
チラリとレナのほうを見て、
「そろそろ、俺らも動くか」
ハヤミはそう言うと、点てていたコーヒーをカップに淹れ…
「あぁあっ…私、いま、コーヒーの気分じゃなくて…!」
咄嗟にそう言ったレナをスルーしたまま、水だけが入った牛乳瓶の横にそっと置く。
「お前のじゃねーよ」
ハヤミは不機嫌そうに言うと、
「アオイが来ないと、花も届かないしな」
静かに続けた。
そういえば、コーヒーカップを置いたスペースに置かれている牛乳瓶には、毎日いろんな草花が飾られていた。
スミレにアネモネ、アークトチス…いろんな種類の花。
なんとなく見ていたから気づかなかったけど、言われてみれば、アオイくんが「リベンジ」に来なくなってから水の入った牛乳瓶だけになっていた気がする。
「ハヤミさんが生ければいいのに」
自然に口から滑り出た言葉を、
「そーゆー問題じゃないんだわ。ま、バカにはわかんねーか」
ハヤミはいつもの口調で叩きのめしたけれど、一瞬だけ見せた寂しそうな顔をレナは見逃さなかった。
「ねぇ、ハヤミさん、それって、この前、カナデさんっていう人が言ってたことと何か関係あるんですか?」
そう聞きたかったけれど、
「とにかく、俺らは明日、山田太郎のとこに行って証拠を手に入れる」
そんなハヤミの言葉が覆いかぶさってきて、「ねぇ」しか言えなかった。
「え?山田太郎って、この前、私が妊婦さんの役を演じた…?」
「そう」
「でもあのとき、結局は本人に会えなかったし、山田太郎のお母さんにもニシジマのことは何ひとつ聞けなかったじゃない?」
「まぁな」
「まぁな。って、あの家、フツーに車で3時間はかかるんだよ?往復で6時間。そんな時間かけて行って、また何も聞けなかったら、どーするつもり?…なんですかっ?」
つい、キツく言い過ぎたことを自覚し、語尾は無意識に敬語になった。
…が、後悔先に立たずだった。
ものすごい威圧感のある目で睨まれ、
「は?お前、俺のこと、なめてんの?」
と、凄まれたから。
ひぃいいいいっ!怖いよ、ハヤミさん!
あんた、イケメンじゃなかったら、ただのアウトロー系だよ。
ヤンキーだよ!
半グレだよ!
チンピラだよ!
なのに…
イケメンだから…ドSっぽくてキュンっとするんだよっっっ!!!!
もうちょっと近寄ってくれると、もっとドキドキするのに!とか考えちゃう。
ふぇええええっ…イケメンって、罪だわぁ~…!
「おい、なんか、ヨダレ垂れてんぞ」
ハヤミに言われ、レナはハッとして口元のヨダレを拭った。
0
お気に入りに追加
11
あなたにおすすめの小説

家出したとある辺境夫人の話
あゆみノワ@書籍『完全別居の契約婚〜』
恋愛
『突然ではございますが、私はあなたと離縁し、このお屋敷を去ることにいたしました』
これは、一通の置き手紙からはじまった一組の心通わぬ夫婦のお語。
※ちゃんとハッピーエンドです。ただし、主人公にとっては。
※他サイトでも掲載します。


記憶がないなら私は……
しがと
恋愛
ずっと好きでようやく付き合えた彼が記憶を無くしてしまった。しかも私のことだけ。そして彼は以前好きだった女性に私の目の前で抱きついてしまう。もう諦めなければいけない、と彼のことを忘れる決意をしたが……。 *全4話

アルバートの屈辱
プラネットプラント
恋愛
妻の姉に恋をして妻を蔑ろにするアルバートとそんな夫を愛するのを諦めてしまった妻の話。
『詰んでる不憫系悪役令嬢はチャラ男騎士として生活しています』の10年ほど前の話ですが、ほぼ無関係なので単体で読めます。
私のドレスを奪った異母妹に、もう大事なものは奪わせない
文野多咲
恋愛
優月(ゆづき)が自宅屋敷に帰ると、異母妹が優月のウェディングドレスを試着していた。その日縫い上がったばかりで、優月もまだ袖を通していなかった。
使用人たちが「まるで、異母妹のためにあつらえたドレスのよう」と褒め称えており、優月の婚約者まで「異母妹の方が似合う」と褒めている。
優月が異母妹に「どうして勝手に着たの?」と訊けば「ちょっと着てみただけよ」と言う。
婚約者は「異母妹なんだから、ちょっとくらいいじゃないか」と言う。
「ちょっとじゃないわ。私はドレスを盗られたも同じよ!」と言えば、父の後妻は「悪気があったわけじゃないのに、心が狭い」と優月の頬をぶった。
優月は父親に婚約解消を願い出た。婚約者は父親が決めた相手で、優月にはもう彼を信頼できない。
父親に事情を説明すると、「大げさだなあ」と取り合わず、「優月は異母妹に嫉妬しているだけだ、婚約者には異母妹を褒めないように言っておく」と言われる。
嫉妬じゃないのに、どうしてわかってくれないの?
優月は父親をも信頼できなくなる。
婚約者は優月を手に入れるために、優月を襲おうとした。絶体絶命の優月の前に現れたのは、叔父だった。

断る――――前にもそう言ったはずだ
鈴宮(すずみや)
恋愛
「寝室を分けませんか?」
結婚して三年。王太子エルネストと妃モニカの間にはまだ子供が居ない。
周囲からは『そろそろ側妃を』という声が上がっているものの、彼はモニカと寝室を分けることを拒んでいる。
けれど、エルネストはいつだって、モニカにだけ冷たかった。
他の人々に向けられる優しい言葉、笑顔が彼女に向けられることない。
(わたくし以外の女性が妃ならば、エルネスト様はもっと幸せだろうに……)
そんな時、侍女のコゼットが『エルネストから想いを寄せられている』ことをモニカに打ち明ける。
ようやく側妃を娶る気になったのか――――エルネストがコゼットと過ごせるよう、私室で休むことにしたモニカ。
そんな彼女の元に、護衛騎士であるヴィクトルがやってきて――――?

淫らな蜜に狂わされ
歌龍吟伶
恋愛
普段と変わらない日々は思わぬ形で終わりを迎える…突然の出会い、そして体も心も開かれた少女の人生録。
全体的に性的表現・性行為あり。
他所で知人限定公開していましたが、こちらに移しました。
全3話完結済みです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる