【リベンジ】騙したアイツを許さない~裏切り男を社会的に抹殺します~

松原朱里

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アオイくんロス

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ニシジマに襲われたら困るからって…

ハヤミさんもやさしいとこ、あるんだね~♪

ハヤミの助手席に乗り、ルンルン気分で家まで送ってもらってから2週間が過ぎた。

2週間、「何かあったら困るから」と、ハヤミが毎朝迎えに来て、送ってくれた。

イケメンと過ごせる車内での時間は楽しいしドキドキするけれど…

ま、ご想像通り、ほぼほぼ無言なわけですよ。

もしくは、お説教~…

そのうえ、オアシス的な存在のアオイくんはニシジマ重機建設の潜入捜査を続けているから、リアルに会えることもない。

ジュースのオジさんが出現した日以来、オープンな通信もない。

まぁ、ハヤミさんとはコソコソ、いろいろやり取りしてるみたいだけど。

なんだか最近は、日が経つのが遅いし、ズーンと気分も沈みがち…

アオイくんロスだわ~っっ!!!

「はぁああああ…」

レナは、ついに耐え切れず思いっきり溜め息をつき、

「ハヤミさん…アオイくんって、いつまで潜入捜査するんですか…?」

そう涙目で、コーヒーを点てているハヤミに尋ねてみた。

「退屈してんの?」

冷たい声でそう聞かれたがすぐに、

「ま、俺も、お前と2人じゃ会話もないし退屈だわ」

チラリとレナのほうを見て、

「そろそろ、俺らも動くか」

ハヤミはそう言うと、点てていたコーヒーをカップに淹れ…

「あぁあっ…私、いま、コーヒーの気分じゃなくて…!」

咄嗟にそう言ったレナをスルーしたまま、水だけが入った牛乳瓶の横にそっと置く。

「お前のじゃねーよ」

ハヤミは不機嫌そうに言うと、

「アオイが来ないと、花も届かないしな」

静かに続けた。

そういえば、コーヒーカップを置いたスペースに置かれている牛乳瓶には、毎日いろんな草花が飾られていた。

スミレにアネモネ、アークトチス…いろんな種類の花。

なんとなく見ていたから気づかなかったけど、言われてみれば、アオイくんが「リベンジ」に来なくなってから水の入った牛乳瓶だけになっていた気がする。

「ハヤミさんが生ければいいのに」

自然に口から滑り出た言葉を、

「そーゆー問題じゃないんだわ。ま、バカにはわかんねーか」

ハヤミはいつもの口調で叩きのめしたけれど、一瞬だけ見せた寂しそうな顔をレナは見逃さなかった。

「ねぇ、ハヤミさん、それって、この前、カナデさんっていう人が言ってたことと何か関係あるんですか?」

そう聞きたかったけれど、

「とにかく、俺らは明日、山田太郎のとこに行って証拠を手に入れる」

そんなハヤミの言葉が覆いかぶさってきて、「ねぇ」しか言えなかった。

「え?山田太郎って、この前、私が妊婦さんの役を演じた…?」

「そう」

「でもあのとき、結局は本人に会えなかったし、山田太郎のお母さんにもニシジマのことは何ひとつ聞けなかったじゃない?」

「まぁな」

「まぁな。って、あの家、フツーに車で3時間はかかるんだよ?往復で6時間。そんな時間かけて行って、また何も聞けなかったら、どーするつもり?…なんですかっ?」

つい、キツく言い過ぎたことを自覚し、語尾は無意識に敬語になった。

…が、後悔先に立たずだった。

ものすごい威圧感のある目で睨まれ、

「は?お前、俺のこと、なめてんの?」

と、凄まれたから。

ひぃいいいいっ!怖いよ、ハヤミさん!

あんた、イケメンじゃなかったら、ただのアウトロー系だよ。

ヤンキーだよ!

半グレだよ!

チンピラだよ!

なのに…

イケメンだから…ドSっぽくてキュンっとするんだよっっっ!!!!

もうちょっと近寄ってくれると、もっとドキドキするのに!とか考えちゃう。

ふぇええええっ…イケメンって、罪だわぁ~…!

「おい、なんか、ヨダレ垂れてんぞ」

ハヤミに言われ、レナはハッとして口元のヨダレを拭った。
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