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聞き込みへGO

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「いつまで寝てんだよっ!」

超不機嫌な声の発信元は、さっき寝ぼけながら手に取ったスマホからだった。

「…ハヤミ…さん…?」

そう反応してから部屋の時計を見ると、

「まだ…朝の7時なんですけど…」

レナは不機嫌そうにあくびをしてハヤミに言う。

「アオイは、もうニシジマ重機建設に出勤してるぞ」

そう言われ、「はぁい…」しぶしぶ、布団から抜け出す。

「外で待ってるから、準備して早く出て来い。聞き込みいくぞ」

「え?聞き込み?」

レナは、ハヤミと電話をつないだまま、とにかく準備する。

「うわあああっ、この寝ぐせ何?」

と騒ぎながら寝ぐせスプレーをし、歯磨きをして、顔を洗って、服に着替えて…

おっと、いけない。スマホと、イヤーカフ!

スマホをカバンに突っ込み、イヤーカフを装着して、バタバタとアパートの階段を飛ぶように下りる。

見慣れた黒塗りのレクサスがエンジンを切って待機していた。

「おはようございます…」

と、助手席側から挨拶をすると、

「朝からバタバタとうるさいヤツだな…」

ブスっとした無愛想な顔でハヤミが言う。

…もう、こういうやり取りにもだいぶ慣れ、イラつきも少なくなってきた。

何も反応せず助手席へ座ると、「食え」ハヤミがサンドイッチを手渡した。

「あ…ありがと…」

受取ってラップを剥がしていると、

「これも飲め」

と、野菜ジュースを手渡される。

「お前といると、デキの悪い子供を持ったみたいでウゼぇ」

ハヤミは言ったが、レナはフフっと笑って野菜ジュースにストローを刺した。

「ところで、聞き込みって?」

「いろいろと話を聞けそうなヤツをピックアップした。けど、ニシジマが力を奮ってるこの地元に住んでるヤツらじゃ口を割らないだろうし、口を割らせてニシジマに目をつけられても可哀そうだろ?」

「うん」

「だから、けっこう遠くに住んでる、この山田太郎(ヤマダタロウ)ってヤツに話を聞いてみようと思う」

ハヤミのリストには、名前や住所などが印刷されていて、ハヤミの文字でいろいろなカキコミがしてあった。

そっか。

昨日、私を追い出したあと、こういう作業をしてたのか…

レナは少しだけ感心の眼差しでハヤミを見つめたあと、

「1人でコソコソ調べないで、私にも指示してくださいよねっ!私だって、同じ仕事をしてる、パートナーなんですからっ」

と言ってはみたが、

「はぁっ?お前がパートナー?足を引っ張るデキの悪いスタッフの間違いだろ?」

鼻で笑われた。

…撃沈…

そんな力強く言わなくても…凹み…

ハヤミは、そんなことにはおかまいなしで、

「とにかく、いまから高速で2時間ぶっぱなすから、酔うなよ、吐くなよ、わかってんだろーな!」

勝手なことを言って、思いっきりアクセルをふかした。
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