【リベンジ】騙したアイツを許さない~裏切り男を社会的に抹殺します~

松原朱里

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発信機

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「じゃ、レナちゃんの気持ちも固まったことだし、いったんカフェに戻ろう」

そう言ってレナの手を引こうとしたアオイは、サッと手を離すと、

「おっと、その前に…」

スタンガンのような黒いものをポケットから取り出した。

「ええっ…何?それ?」

「あ、これ?発信機をみつける機械だよ」

そして、レナの方向に黒いものを向ける。

グルグルとレナの周囲を周りならがら、足先から、だんだん頭のほうへ向けいていく。

頭のあたりで「ここかぁ…ヘアピンのカメラに気づかれなくてよかった…!」と言い、レナの髪の分け目あたりをギュっとつまむと、

「ちょっと痛いかも?だけど、我慢してね」

つまむ力を強めて引っ張った。

「痛ッ…」

注射をしたときのような痛みを瞬間的に感じて、思わず声が出た。

「ちょっと、アオイくん、何すんのよーっ」

騒ぐレナの目の前で、アオイは手のひらに乗せた、小さな虫ほどの黒いものを見せる。

「…何?これ?」

ゴミかと思ってしまうほど小さくて、それが何なのかさえわからない。

「発信機だよ。あれ…?この発信機…」

手のひらの上にある発信機を、反対の人差し指で転がしながらアオイは眉をひそめたが、

「発信…?えっ…ニシジマ…?」

騒ぐレナにハッとしたように、

「だね。だからレナちゃんは、簡単にニシジマに見つけられたんだよ」

いつものアオイに戻って言った。

「怖い…何それ…」

また、恐怖が蘇ってきた。

「1回ヤレればいいなんて言ってたけど、こういうので女の子たちを監視してたんじゃないかな?最初にやらしい写真撮っておいて、近くにいる女の子を自分の都合で呼び出してたんだと思う。最低なヤツだよね」

苛立ちを隠せない声で、アオイ。

「最低ッ!」

レナも力任せに言う。

「飼い殺しってヤツだよ…。あぁいうヤツにかかわったら最後。気の済むまでオモチャにされて…そして…壊される…」

そう言ったアオイからは、悔しさや憎しみのようなオーラが滲み出ていて、

「…アオイくん…?」

レナは思わず、声をかけた。

声をかけないと、アオイがどこかに行ってしまうような気がして不安になった。

「ねぇ、アオイくん…」

この仕事をしようと思ったキッカケは何?

そう聞こうとして、やっぱりやめた。

いまは、それを聞くべきときではないと、なぜかそう思ったから。

「ん…?」

レナの声に反応したアオイは、いつもの能天気なアオイだった。

「ううん、なんでもない。カフェに帰ろう」

レナは、いつもアオイがしてくれるように、サッとアオイの手を握って軽く引っ張った。
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