37 / 41
5
しおりを挟む
「アイツら!!マジでふざけんなよ!!」
怒気が充満していた。息苦しいほどの圧の中で瞳孔をかっ開いた戯藍は吐き捨てる。
「まさかあんな行動に出てくるなんて思わなかったよね」
「罠だってのは理解してたけどな。ああいう方向性とは。予想外だ」
「むざむざ罠にハマりに行ったただの馬鹿だったのが一番腹立つ!!」
戯藍が怒っているのは罠にはまった自分だ。彼はいつでも余裕を持って行動している。ありとあらゆる状況を想定し、予想外のことであっても予想内のことにするのだ。だからこそ今回のように捕まって固有魔法まで食らったことが許せない。
『回答。当システムとしても非常に遺憾の一言につきます。(;ω;)』
「結局、アイツらなんなのさ」
『回答。〝阿修羅〟のリーダー夜叉、表参道家の力を総動員しての今回の騒ぎを起こしたようです。つまるところ、家の力を使った巨大な罠、ということですね』
「あの男は?」
『回答。表参道悟、次期当主直属の従者です。名前は吹雪寒月(ふぶき かんげつ)。護衛としても非常に優秀な人間として登録されてあります。わかりやすく言い換えますと無駄に強いです。(>_<)』
チッ、と舌打ちを零した戯藍はようやっと怒りを収めてソファに座った。錆びた瞳がぎらぎらと煌めいているので怒り自体はまだあるらしい。
「これからどうするのさ、ぎーくん」
「観念して話し合いに応じるさ。こっちに関わらないようにさせる」
「出来ない場合は?」
「向こうの要求による。話し合いが無理なら潰す」
にぃと笑った姿は笑ってるくせにすごいキレてた。
「(ねぇ、これさぁ、とってもとっても怒ってる?)」
「(すごい怒ってる。それで確実に戯藍さんの怒りに巻き込まれる予感がするんだが)」
「(やめてよ、マジで巻き込まれるじゃんか!やだよ、僕は肉体的にはか弱いんだから!)」
ひそひそ、ひそひそ。顔を寄せ合って会話しているのを横目に戯藍は予備の端末を取り出していた。
『回答。今すぐバッテリーを爆発させて物理的に端末を消去できますが実行なさいますか?』
「しなくていい、しなくていい。そんな遠距離から爆弾なんて送りつけたら大惨事だよ」
『了解。タスクを変更します。座標と時間を送信致しますが宜しいですか?』
「うん。それで。場所の確認はもう済ませてるんだろ、綴」
明日の話し合いの場所の下見は既に済ませておいた。戯藍が捕まっている間にシュレディンガーが指示を出していたからだ。
「当然!すんごい待ち伏せしにくい場所だし、僕とよっしーで見張ってるから今度は囚われのお姫様にならないと思うよ」
苦い顔を晒した戯藍は指先で端末を弄りつつ、
「あの電撃のやつは誰かわかったのか」
『回答。不明です。恐らくはどちらかのチームの幹部だと思われるのですが、表には出ていない相手です。情報が見つかりません』
「それは、ちょっと警戒しないといけねーっスね」
『同意。くれぐれも注意を怠ることのないようにお願いします。当システムも厳戒態勢で臨みますので』
「了解。2度目はないさ。そんな間抜けはしないとも」
そう言って、彼は送信ボタンを押した。
怒気が充満していた。息苦しいほどの圧の中で瞳孔をかっ開いた戯藍は吐き捨てる。
「まさかあんな行動に出てくるなんて思わなかったよね」
「罠だってのは理解してたけどな。ああいう方向性とは。予想外だ」
「むざむざ罠にハマりに行ったただの馬鹿だったのが一番腹立つ!!」
戯藍が怒っているのは罠にはまった自分だ。彼はいつでも余裕を持って行動している。ありとあらゆる状況を想定し、予想外のことであっても予想内のことにするのだ。だからこそ今回のように捕まって固有魔法まで食らったことが許せない。
『回答。当システムとしても非常に遺憾の一言につきます。(;ω;)』
「結局、アイツらなんなのさ」
『回答。〝阿修羅〟のリーダー夜叉、表参道家の力を総動員しての今回の騒ぎを起こしたようです。つまるところ、家の力を使った巨大な罠、ということですね』
「あの男は?」
『回答。表参道悟、次期当主直属の従者です。名前は吹雪寒月(ふぶき かんげつ)。護衛としても非常に優秀な人間として登録されてあります。わかりやすく言い換えますと無駄に強いです。(>_<)』
チッ、と舌打ちを零した戯藍はようやっと怒りを収めてソファに座った。錆びた瞳がぎらぎらと煌めいているので怒り自体はまだあるらしい。
「これからどうするのさ、ぎーくん」
「観念して話し合いに応じるさ。こっちに関わらないようにさせる」
「出来ない場合は?」
「向こうの要求による。話し合いが無理なら潰す」
にぃと笑った姿は笑ってるくせにすごいキレてた。
「(ねぇ、これさぁ、とってもとっても怒ってる?)」
「(すごい怒ってる。それで確実に戯藍さんの怒りに巻き込まれる予感がするんだが)」
「(やめてよ、マジで巻き込まれるじゃんか!やだよ、僕は肉体的にはか弱いんだから!)」
ひそひそ、ひそひそ。顔を寄せ合って会話しているのを横目に戯藍は予備の端末を取り出していた。
『回答。今すぐバッテリーを爆発させて物理的に端末を消去できますが実行なさいますか?』
「しなくていい、しなくていい。そんな遠距離から爆弾なんて送りつけたら大惨事だよ」
『了解。タスクを変更します。座標と時間を送信致しますが宜しいですか?』
「うん。それで。場所の確認はもう済ませてるんだろ、綴」
明日の話し合いの場所の下見は既に済ませておいた。戯藍が捕まっている間にシュレディンガーが指示を出していたからだ。
「当然!すんごい待ち伏せしにくい場所だし、僕とよっしーで見張ってるから今度は囚われのお姫様にならないと思うよ」
苦い顔を晒した戯藍は指先で端末を弄りつつ、
「あの電撃のやつは誰かわかったのか」
『回答。不明です。恐らくはどちらかのチームの幹部だと思われるのですが、表には出ていない相手です。情報が見つかりません』
「それは、ちょっと警戒しないといけねーっスね」
『同意。くれぐれも注意を怠ることのないようにお願いします。当システムも厳戒態勢で臨みますので』
「了解。2度目はないさ。そんな間抜けはしないとも」
そう言って、彼は送信ボタンを押した。
0
お気に入りに追加
85
あなたにおすすめの小説
どうやら生まれる世界を間違えた~異世界で人生やり直し?~
黒飴細工
BL
京 凛太郎は突然異世界に飛ばされたと思ったら、そこで出会った超絶イケメンに「この世界は本来、君が生まれるべき世界だ」と言われ……?どうやら生まれる世界を間違えたらしい。幼い頃よりあまりいい人生を歩んでこれなかった凛太郎は心機一転。人生やり直し、自分探しの旅に出てみることに。しかし、次から次に出会う人々は一癖も二癖もある人物ばかり、それが見た目が良いほど変わった人物が多いのだから困りもの。「でたよ!ファンタジー!」が口癖になってしまう凛太郎がこれまでと違った濃ゆい人生を送っていくことに。
※こちらの作品第10回BL小説大賞にエントリーしてます。応援していただけましたら幸いです。
※こちらの作品は小説家になろう、カクヨム、ノベルアップ+にも投稿しております。
王道学園なのに、王道じゃない!!
主食は、blです。
BL
今作品の主人公、レイは6歳の時に自身の前世が、陰キャの腐男子だったことを思い出す。
レイは、自身のいる世界が前世、ハマりにハマっていた『転校生は愛され優等生.ᐟ.ᐟ』の世界だと気付き、腐男子として、美形×転校生のBのLを見て楽しもうと思っていたが…
主人公は俺狙い?!
suzu
BL
生まれた時から前世の記憶が朧げにある公爵令息、アイオライト=オブシディアン。
容姿は美麗、頭脳も完璧、気遣いもできる、ただ人への態度が冷たい冷血なイメージだったため彼は「細雪な貴公子」そう呼ばれた。氷のように硬いイメージはないが水のように優しいイメージもない。
だが、アイオライトはそんなイメージとは反対に単純で鈍かったり焦ってきつい言葉を言ってしまう。
朧げであるがために時間が経つと記憶はほとんど無くなっていた。
15歳になると学園に通うのがこの世界の義務。
学園で「インカローズ」を見た時、主人公(?!)と直感で感じた。
彼は、白銀の髪に淡いピンク色の瞳を持つ愛らしい容姿をしており、BLゲームとかの主人公みたいだと、そう考える他なかった。
そして自分も攻略対象や悪役なのではないかと考えた。地位も高いし、色々凄いところがあるし、見た目も黒髪と青紫の瞳を持っていて整っているし、
面倒事、それもBL(多分)とか無理!!
そう考え近づかないようにしていた。
そんなアイオライトだったがインカローズや絶対攻略対象だろっ、という人と嫌でも鉢合わせしてしまう。
ハプニングだらけの学園生活!
BL作品中の可愛い主人公×ハチャメチャ悪役令息
※文章うるさいです
※背後注意
バッドエンドの異世界に悪役転生した僕は、全力でハッピーエンドを目指します!
あ
BL
16才の初川終(はつかわ しゅう)は先天性の心臓の病気だった。一縷の望みで、成功率が低い手術に挑む終だったが……。
僕は気付くと両親の泣いている風景を空から眺めていた。それから、遠くで光り輝くなにかにすごい力で引き寄せられて。
目覚めれば、そこは子どもの頃に毎日読んでいた大好きなファンタジー小説の世界だったんだ。でも、僕は呪いの悪役の10才の公爵三男エディに転生しちゃったみたい!
しかも、この世界ってバッドエンドじゃなかったっけ?
バッドエンドをハッピーエンドにする為に、僕は頑張る!
でも、本の世界と少しずつ変わってきた異世界は……ひみつが多くて?
嫌われ悪役の子どもが、愛されに変わる物語。ほのぼの日常が多いです。
◎体格差、年の差カップル
※てんぱる様の表紙をお借りしました。
とある金持ち学園に通う脇役の日常~フラグより飯をくれ~
無月陸兎
BL
山奥にある全寮制男子校、桜白峰学園。食べ物目当てで入学した主人公は、学園の権力者『REGAL4』の一人、一条貴春の不興を買い、学園中からハブられることに。美味しい食事さえ楽しめれば問題ないと気にせず過ごしてたが、転入生の扇谷時雨がやってきたことで、彼の日常は波乱に満ちたものとなる──。
自分の親友となった時雨が学園の人気者たちに迫られるのを横目で見つつ、主人公は巻き込まれて恋人のフリをしたり、ゆるく立ちそうな恋愛フラグを避けようと奮闘する物語です。
真面目系委員長の同室は王道転校生⁉~王道受けの横で適度に巻き込まれて行きます~
シキ
BL
全寮制学園モノBL。
倉科誠は真面目で平凡な目立たない学級委員長だった。そう、だった。季節外れの王道転入生が来るまでは……。
倉科の通う私立藤咲学園は山奥に位置する全寮制男子高校だ。外界と隔絶されたそこでは美形生徒が信奉され、親衛隊が作られ、生徒会には俺様会長やクール系副会長が在籍する王道学園と呼ぶに相応しいであろう場所。そんな学園に一人の転入生がやってくる。破天荒な美少年の彼を中心に巻き起こる騒動に同室・同クラスな委員長も巻き込まれていき……?
真面目で平凡()な学級委員長が王道転入生くんに巻き込まれ何だかんだ総受けする青春系ラブストーリー。
一部固定CP(副会長×王道転入生)もいつつ、基本は主人公総受けです。
こちらは個人サイトで数年前に連載していて、途中だったお話です。
今度こそ完走させてあげたいと思いたってこちらで加筆修正して再連載させていただいています。
当時の企画で書いた番外編なども掲載させていただきますが、生暖かく見守ってください。
【完結】イケメン騎士が僕に救いを求めてきたので呪いをかけてあげました
及川奈津生
BL
気づいたら十四世紀のフランスに居た。百年戦争の真っ只中、どうやら僕は密偵と疑われているらしい。そんなわけない!と誤解をとこうと思ったら、僕を尋問する騎士が現代にいるはずの恋人にそっくりだった。全3話。
※pome村さんがXで投稿された「#イラストを投げたら文字書きさんが引用rtでssを勝手に添えてくれる」向けに書いたものです。元イラストを表紙に設定しています。投稿元はこちら→https://x.com/pomemura_/status/1792159557269303476?t=pgeU3dApwW0DEeHzsGiHRg&s=19
王道学園と、平凡と見せかけた非凡
壱稀
BL
定番的なBL王道学園で、日々平凡に過ごしていた哀留(非凡)。
そんなある日、ついにアンチ王道くんが現れて学園が崩壊の危機に。
風紀委員達と一緒に、なんやかんやと奮闘する哀留のドタバタコメディ。
基本総愛され一部嫌われです。王道の斜め上を爆走しながら、どう立ち向かうか?!
◆pixivでも投稿してます。
◆8月15日完結を載せてますが、その後も少しだけ番外編など掲載します。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる