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3章

3章23話 淫欲の巣に向かう車中 ♡愛撫

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「それでは本日は当クラブへのご来店、まことにありがとうございました。お気をつけてお帰りくださいませ」

 うやうやしく頭を下げるシャリアーデさんに見送られながら、僕とサリナさんを乗せたエレベーターの扉が閉まった。

「……」
 ちらり、と横目で隣の女性を見る。

 僕よりも十センチ以上高い身長。そこから流れる美しい金髪のロングストレートヘア。
 切れ長の瞳に、完璧に仕上げられた薄化粧。

 クラブの衣装からキッカリとしたスーツ姿に着替えた今の姿からは、以前嬉々として僕に奉仕していたエッチな雰囲気は微塵もない。
 ネットで調べた通りの、敏腕女社長の姿がそこにあった。

「清太君」
「ひゃいっ!?」

 不意にサリナさんに声をかけられる。
 さっきの顔合わせからずっと黙ったままだったサリナさんが急に声を発したのももちろん、地上に向けて上昇するエレベーターの中で二人きりのこの状況にも緊張してしまった。

「ふふ、そんなにビクビクしなくていいのよ。もうあなたは私のご主人様なんだから」
「ご、ご主人……」
「それより、この後時間作れないかしら。あなたも、いろいろ聞きたいことがあるんじゃない?」

 聞きたいことは……そりゃ山ほどある。
 スマホを確認すると、もう夜の九時を過ぎていた。

「ご両親に、今日遅くなるって伝えれる?」
「あの、僕、その……一人暮らしなので……」
「あら!」

 サリナさんは目を輝かせて嬉しそうに笑った。

「そうなの? あなた、とことん最高ね。じゃあちょっと私の家に寄っていきましょ?」
「い、家……ですか」

 思わずごくりと生唾を飲み込んでしまう。
 女性の家なんて行くの始めてだ……それもこんな綺麗な人の部屋なんて。

 ついさっきバームホールであんなことがあったばかりなのに、未だに僕は小心者のままなのが情けない……。

「ええ、私の部屋でゆっくりお話しましょ。ほら、ついたわよ」

 チン、とエレベーターが地上に到着する。
 繁華街はすっかり夜の顔になっていた。

 ビルから出ると、近くの路肩に真っ赤な車が停まっていた。
 車のことを知らない僕から見ても一目で高級車だと分かるその車から、一人のスーツ姿の女性が降りてきた。

「社長、お疲れ様です」
「由香、私の部屋まで送ってちょうだい」
「畏まりました。――そちらの方は?」

 由香と呼ばれた女性がじろりとこちらを見る。
 多分二十代半ばの若さに、黒髪のボブカット。
 黒縁メガネの奥から訝し気な視線を僕に向けていた。

「今日から私のご主人様になる人よ」
「なっ――まさか……購入されたんですか!? 社長が!?」

 由香が目を見開いて僕を見る。
 その視線には、困惑、怒り、好機……様々な感情が見て取れた。

「す、すみません……」
「あはは、別に清太が謝ることはないわよ。とにかく私の部屋まで運んでくれる?」
「……………………畏まりました」

 由香さんが運転席に乗り込むと、僕は後部座席に誘導された。
 その隣にぴったりと密着して乗り込むサリナさん。
 スーツ越しにでも伝わる柔らかな感触と、ほのかに香る香水の匂いに思わずドキッとする。

「発車いたします」

 由香さんが言うと、車が繁華街を走り始める。
 僕は今まで座ったことのないようなすべすべなシートの感触と、太ももに乗せられたサリナさんの右手の感触に落ち着かなかった。

「……本当に、社長さん、なんですね」
「あら、私の事調べてくれたの?」
「はい……スメラギ・サリナさん、ですよね?」
「ええ。名刺に書いてあった通りよ」

 今でも現実味がないけど、でも由香さんに社長って呼ばれてたし、こんな凄い車も持ってるし……信じるしかない。

「そんな人が……どうしてあんな場所で……」
「セックスが好きだからよ。今、この前の続きしてあげよっか?」
「い、いえそんな――あぅっ!?♡」

 すっと伸びてきたサリナさんの右手が僕のズボンの中に潜り込み、おちんちんを揉み始める。

「うっ♡ うっ♡ サ、サリナさん……っ♡」
「ふふ、まだ湿ってる。バームホールで凄いことされたみたいね。バックヤード、大騒ぎだったのよ? 私もつまみに行こうとしたけど、皆に止められたわ」
「止められたって、どうして……うぅっ♡」

「だって……私はこれから、いつでもあなたを味わえるんだもの」

 じゅるっ♡ とサリナさんの舌が僕の左耳を舐めた。

「ひうぅぅうっ♡」
「アンヌの母乳をたらふく飲まされたんだって? ふふ……じゃあ、今日は何発出しても萎えないわね。まずここで一発ヌイてあげるわ」
「――社長」

 由香さんの声。
 見ると、頬を赤らめながら、バックミラー越しにこちらをチラチラと見ている由香さんと目が合った。
 ノリノリなサリナさんと違って、真面目そうな由香さんにこんなシーンを見られているのが余計に恥ずかしく感じた。

「そちらの方……まさかとは思いますが、未成年では……?」
「さあ、どうでしょうねー」
「……確かクラブのルールでは……いえ、そもそも未成年に手を出すなんて日本の法律で、」
「いいから運転だけしてなさい。それともあなたも一緒に3Pでもする? なら近くのラブホテルに行き先を変えてもいいわよ」

 どきっとしてバックミラー越しに由香さんの顔を確認した。
 クラブの女性達みたいな派手さはないけど、いかにも真面目そうな優等生といった感じの女性。

 普段だったらこういう人を性的な目で見たりはしないだろうけど……クラブでの時間を経た今では、思わず脳内で由香さんの淫らな姿を想像してしまう。

「私は……そういうことは愛し合った者同士でするべきことだと考えていますので」
「そんなこと言ってるからその歳でまだバージンなのよ」
「や、やめてください! セクハラですよ! 女性同士でもセクハラは……!」
「はいはい分かったわよ。清太、あんなのはほっといて私たちだけで楽しみましょ」
「は、はいぃ……!」

 夜の街を走る高級車の中で、僕はしばらくサリナさんの愛撫に悶えるのだった。

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