12 / 55
2章
2章11話 詩織先輩との日常2
しおりを挟む
詩織先輩が図書委員の仕事を済ませるのを待って、一緒に帰ることになった。
ついさっき当の詩織先輩をオカズにオナニーしたばかりなので内心ちょっと気まずかったけど、そこはなんとか表に出さないように頑張った。
「そっか、一緒に映画を見ようとしてくれてたんだ……悪いことしちゃったね」
「いえ、僕が勝手にやったことですから」
先輩も、僕に変に気を遣うこともなく普通に接してくれている。
僕は先輩が好きで、先輩も僕のことを憎からず思ってくれている。
でも恋人になることはできない。それだけだ。
今まで通り友人でいてくれるなら、それで十分だと今は納得できた。
「映画、面白かったですよ。先輩もきっと気に入ると思います。良かったら見てみてください」
「うん、今度見に行ってみようかな。そしたら一緒に感想会したいね」
「いいですね。ぜひ!」
駅までの帰り道を歩きながら談笑は続く。
ほんの十数分の間だけど、僕にとっては幸せな時間だった。
「それじゃあ、私こっちだから」
「はい、また明日」
そんな楽しい時間もあっという間に終わる。
僕と先輩の家は反対方面にある。別のホームに向かっていく先輩を見送ると、僕も階段を上って自分のホームを目指す。
やがてホームに到着した電車に乗り込むと、珍しくかなり空いていた。
一番角の席に座って、軽く目を閉じる。
走り出す電車。小刻みな揺れに身を任せてうとうとしていると、自然と詩織先輩のことを考えていた。
改めて、詩織先輩と気まずい感じにならなくてよかった。
多分先輩もどこか内心で気にはしてくれていたと思うけど、それを表には出さずに普通に接してくれていた。
本当に優しい人だ。あんなに綺麗で誰からも好かれるような人が、僕なんかのためにそこまでしてくれるというだけで僕は嬉しかった。
明日もまた図書室で先輩に会える。
それで十分だと何度も自分に言い聞かせながら……
――清太君♡
「――っ」
再び、脳内で蘇る艶めかしい詩織先輩の姿。
大きな胸。柔らかい唇。しなやかな指先。
……信じられない。
もう今日だけで四回も射精してるのに、また性懲りもなく勃起し始めてる。
どうしちゃったんだろう僕の身体……。
以前はここまで節操無しじゃなかった。
やっぱりあのクラブに行ったせいかな……そう溜め息を吐くと、
ずし、と隣に誰かが座る気配を感じた。
瞑っていた目を開けると、
「――うわ」
思わず小さな声が出てしまった。
それくらい、隣に座った人の容姿は特徴的だった。
席に座っても一目でわかる、すらりとした高身長。
目の覚めるような鮮やかな美しい金髪ロング。
見るからに高級そうなスーツと、それを内から押し上げる大きな胸。
ちらりと顔を覗き見ると、予想通りと言うべきか、切れ長の瞳に肉厚な唇……線の細いクールな印象の美女だった。
「……」
ふと周囲を見回すと、電車内はかなり空いていて、他にも空席はいくらでもあった。
なのにその女性はわざわざ僕の隣に座った。
どうしてだろう……と思っていると、
「こんにちは」
なんとその女性が話しかけてきた。
「え……?」
まさか電車の中で他人に、しかもこんな美女に話しかけられるとは思わずに面食らう。
女性は顔は正面を向きながら、横目だけで僕の方を見るという奇妙な様子で僕に話しかけていた。
「少しいいかしら?」
「な、なんですか……?」
「私、とある会社の役員をしているんだけど、少しお話に付き合ってくれないかしら」
「……は、はあ……」
な、なんだいきなり……。
会社の役員が僕みたいな学生になんの話が?
「実は、あなたにすごくお勧めの商品があるの。その紹介をさせてほしくて」
「…………」
え、なに、怖い。
もしかして営業かなにか? 街中での勧誘みたいな感じで、まさか電車の中でセールスするのが最近の流行りだったりする?
「咲蓮ビルって知ってるわよね?」
「……いえ、知らないですけど」
「あら、ほんと? じゃあどうやってあのビルの場所を知ったの?」
「いえ、ですから知らないです……」
咲蓮ビル? 聞いたことのないビルだ。
まあビルの名前なんてそもそも知ってることの方が少ないけど。
「ほら、近くに映画館があって」
「映画館……」
「奥に秘密のエレベーターがあって」
「エレベーター……。――――え?」
「――カードリーダーにカードを通すと地下に下りていって」
――どくん!
目を見開いて女性の顔を見ると、女性は妖しく微笑んだ。
「思い出した?」
「な……なん、なんで……!?」
「そこにね? いろんな商品が売ってるの。遊ぶだけじゃなくて、購入もできるの」
ま、間違いない。
この人……あのクラブの関係者だ!
もう一度顔を確認する。
確かにあのクラブにいてもおかしくないようなすごい美人だけど、見覚えはない。
ただなにか……どこかで会ったような気はするけど……思い出せない。
「な、なにが……買えるんですか? 僕にオススメの商品って……」
「ふふ……実はね、そこではキャストを買えるの」
「キャストを……買う?」
キャストっていうのは、接客してくれるあの女性達のことを指していると思うけど……買うっていう言葉の意味がよくわからなかった。
「指名できるっていう意味ですか?」
「いいえ、そのまま文字通りの意味で買えるの。……ごめんなさい、これ以上は私の口からは言えないの。あなたも、私から聞いたって絶対に言わないでね?」
「は、はい……」
う、胡散臭い……一体何がしたいんだこの人。
正直……こ、怖い。
あの異常なクラブの関係者っていうだけでも不気味なのに、こんな電車の中で接触してくるなんて目的が全く見えない。
「もう一度あの場所に戻って、キャストを買いたいと言いなさい。いいわね?」
「か、買うって……誰を?」
「……私からは言えないわ。でも、」
そこで電車が次の駅に到着した。
女性は静かに席を立ち、バッグから名刺入れを取り出すと、一枚を僕に手渡した。
「買ってくれたら、きっとあなたを満足させてあげられるわ。――この前みたいに」
そう言い残して女性は電車を降りた。
その後ろ姿を呆然と見送ったあと、僕はまじまじと手渡された名刺を見つめて……
「――――え?」
そこに書いてある内容に、僕は間の抜けた声を漏らした。
(株)ミルキー・パフ 代表取締役
スメラギ サリナ
ついさっき当の詩織先輩をオカズにオナニーしたばかりなので内心ちょっと気まずかったけど、そこはなんとか表に出さないように頑張った。
「そっか、一緒に映画を見ようとしてくれてたんだ……悪いことしちゃったね」
「いえ、僕が勝手にやったことですから」
先輩も、僕に変に気を遣うこともなく普通に接してくれている。
僕は先輩が好きで、先輩も僕のことを憎からず思ってくれている。
でも恋人になることはできない。それだけだ。
今まで通り友人でいてくれるなら、それで十分だと今は納得できた。
「映画、面白かったですよ。先輩もきっと気に入ると思います。良かったら見てみてください」
「うん、今度見に行ってみようかな。そしたら一緒に感想会したいね」
「いいですね。ぜひ!」
駅までの帰り道を歩きながら談笑は続く。
ほんの十数分の間だけど、僕にとっては幸せな時間だった。
「それじゃあ、私こっちだから」
「はい、また明日」
そんな楽しい時間もあっという間に終わる。
僕と先輩の家は反対方面にある。別のホームに向かっていく先輩を見送ると、僕も階段を上って自分のホームを目指す。
やがてホームに到着した電車に乗り込むと、珍しくかなり空いていた。
一番角の席に座って、軽く目を閉じる。
走り出す電車。小刻みな揺れに身を任せてうとうとしていると、自然と詩織先輩のことを考えていた。
改めて、詩織先輩と気まずい感じにならなくてよかった。
多分先輩もどこか内心で気にはしてくれていたと思うけど、それを表には出さずに普通に接してくれていた。
本当に優しい人だ。あんなに綺麗で誰からも好かれるような人が、僕なんかのためにそこまでしてくれるというだけで僕は嬉しかった。
明日もまた図書室で先輩に会える。
それで十分だと何度も自分に言い聞かせながら……
――清太君♡
「――っ」
再び、脳内で蘇る艶めかしい詩織先輩の姿。
大きな胸。柔らかい唇。しなやかな指先。
……信じられない。
もう今日だけで四回も射精してるのに、また性懲りもなく勃起し始めてる。
どうしちゃったんだろう僕の身体……。
以前はここまで節操無しじゃなかった。
やっぱりあのクラブに行ったせいかな……そう溜め息を吐くと、
ずし、と隣に誰かが座る気配を感じた。
瞑っていた目を開けると、
「――うわ」
思わず小さな声が出てしまった。
それくらい、隣に座った人の容姿は特徴的だった。
席に座っても一目でわかる、すらりとした高身長。
目の覚めるような鮮やかな美しい金髪ロング。
見るからに高級そうなスーツと、それを内から押し上げる大きな胸。
ちらりと顔を覗き見ると、予想通りと言うべきか、切れ長の瞳に肉厚な唇……線の細いクールな印象の美女だった。
「……」
ふと周囲を見回すと、電車内はかなり空いていて、他にも空席はいくらでもあった。
なのにその女性はわざわざ僕の隣に座った。
どうしてだろう……と思っていると、
「こんにちは」
なんとその女性が話しかけてきた。
「え……?」
まさか電車の中で他人に、しかもこんな美女に話しかけられるとは思わずに面食らう。
女性は顔は正面を向きながら、横目だけで僕の方を見るという奇妙な様子で僕に話しかけていた。
「少しいいかしら?」
「な、なんですか……?」
「私、とある会社の役員をしているんだけど、少しお話に付き合ってくれないかしら」
「……は、はあ……」
な、なんだいきなり……。
会社の役員が僕みたいな学生になんの話が?
「実は、あなたにすごくお勧めの商品があるの。その紹介をさせてほしくて」
「…………」
え、なに、怖い。
もしかして営業かなにか? 街中での勧誘みたいな感じで、まさか電車の中でセールスするのが最近の流行りだったりする?
「咲蓮ビルって知ってるわよね?」
「……いえ、知らないですけど」
「あら、ほんと? じゃあどうやってあのビルの場所を知ったの?」
「いえ、ですから知らないです……」
咲蓮ビル? 聞いたことのないビルだ。
まあビルの名前なんてそもそも知ってることの方が少ないけど。
「ほら、近くに映画館があって」
「映画館……」
「奥に秘密のエレベーターがあって」
「エレベーター……。――――え?」
「――カードリーダーにカードを通すと地下に下りていって」
――どくん!
目を見開いて女性の顔を見ると、女性は妖しく微笑んだ。
「思い出した?」
「な……なん、なんで……!?」
「そこにね? いろんな商品が売ってるの。遊ぶだけじゃなくて、購入もできるの」
ま、間違いない。
この人……あのクラブの関係者だ!
もう一度顔を確認する。
確かにあのクラブにいてもおかしくないようなすごい美人だけど、見覚えはない。
ただなにか……どこかで会ったような気はするけど……思い出せない。
「な、なにが……買えるんですか? 僕にオススメの商品って……」
「ふふ……実はね、そこではキャストを買えるの」
「キャストを……買う?」
キャストっていうのは、接客してくれるあの女性達のことを指していると思うけど……買うっていう言葉の意味がよくわからなかった。
「指名できるっていう意味ですか?」
「いいえ、そのまま文字通りの意味で買えるの。……ごめんなさい、これ以上は私の口からは言えないの。あなたも、私から聞いたって絶対に言わないでね?」
「は、はい……」
う、胡散臭い……一体何がしたいんだこの人。
正直……こ、怖い。
あの異常なクラブの関係者っていうだけでも不気味なのに、こんな電車の中で接触してくるなんて目的が全く見えない。
「もう一度あの場所に戻って、キャストを買いたいと言いなさい。いいわね?」
「か、買うって……誰を?」
「……私からは言えないわ。でも、」
そこで電車が次の駅に到着した。
女性は静かに席を立ち、バッグから名刺入れを取り出すと、一枚を僕に手渡した。
「買ってくれたら、きっとあなたを満足させてあげられるわ。――この前みたいに」
そう言い残して女性は電車を降りた。
その後ろ姿を呆然と見送ったあと、僕はまじまじと手渡された名刺を見つめて……
「――――え?」
そこに書いてある内容に、僕は間の抜けた声を漏らした。
(株)ミルキー・パフ 代表取締役
スメラギ サリナ
12
お気に入りに追加
142
あなたにおすすめの小説
男女貞操逆転世界で、自己肯定感低めのお人好し男が、自分も周りも幸せにするお話
カムラ
ファンタジー
※下の方に感想を送る際の注意事項などがございます!
お気に入り登録は積極的にしていただけると嬉しいです!
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
あらすじ
学生時代、冤罪によってセクハラの罪を着せられ、肩身の狭い人生を送ってきた30歳の男、大野真人(おおのまさと)。
ある日仕事を終え、1人暮らしのアパートに戻り眠りについた。
そこで不思議な夢を見たと思ったら、目を覚ますと全く知らない場所だった。
混乱していると部屋の扉が開き、そこには目を見張るほどの美女がいて…!?
これは自己肯定感が低いお人好し男が、転生した男女貞操逆転世界で幸せになるお話。
※本番はまぁまぁ先ですが、#6くらいから結構Hな描写が増えます。
割とガッツリ性描写は書いてますので、苦手な方は気をつけて!
♡つきの話は性描写ありです!
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
誤字報告、明らかな矛盾点、良かったよ!、続きが気になる! みたいな感想は大歓迎です!
どんどん送ってください!
逆に、否定的な感想は書かないようにお願いします。
受け取り手によって変わりそうな箇所などは報告しなくて大丈夫です!(言い回しとか、言葉の意味の違いとか)
作者のモチベを上げてくれるような感想お待ちしております!
スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活
昼寝部
ファンタジー
この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。
しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。
そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。
しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。
そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。
これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。
[完結済み]男女比1対99の貞操観念が逆転した世界での日常が狂いまくっている件
森 拓也
キャラ文芸
俺、緒方 悟(おがた さとる)は意識を取り戻したら男女比1対99の貞操観念が逆転した世界にいた。そこでは男が稀少であり、何よりも尊重されていて、俺も例外ではなかった。
学校の中も、男子生徒が数人しかいないからまるで雰囲気が違う。廊下を歩いてても、女子たちの声だけが聞こえてくる。まるで別の世界みたいに。
そんな中でも俺の周りには優しいな女子たちがたくさんいる。特に、幼馴染の美羽はずっと俺のことを気にかけてくれているみたいで……
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
美人四天王の妹とシテいるけど、僕は学校を卒業するまでモブに徹する、はずだった
ぐうのすけ
恋愛
【カクヨムでラブコメ週間2位】ありがとうございます!
僕【山田集】は高校3年生のモブとして何事もなく高校を卒業するはずだった。でも、義理の妹である【山田芽以】とシテいる現場をお母さんに目撃され、家族会議が開かれた。家族会議の結果隠蔽し、何事も無く高校を卒業する事が決まる。ある時学校の美人四天王の一角である【夏空日葵】に僕と芽以がベッドでシテいる所を目撃されたところからドタバタが始まる。僕の完璧なモブメッキは剥がれ、ヒマリに観察され、他の美人四天王にもメッキを剥され、何かを嗅ぎつけられていく。僕は、平穏無事に学校を卒業できるのだろうか?
『この物語は、法律・法令に反する行為を容認・推奨するものではありません』
貞操観念が逆転した世界に転生した俺が全部活の共有マネージャーになるようです
卯ノ花
恋愛
少子化により男女比が変わって貞操概念が逆転した世界で俺「佐川幸太郎」は通っている高校、東昴女子高等学校で部活共有のマネージャーをする話
クラスメイトの美少女と無人島に流された件
桜井正宗
青春
修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。
高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。
どうやら、漂流して流されていたようだった。
帰ろうにも島は『無人島』。
しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。
男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる