お伽話 

六笠 嵩也

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第二章

2-27 ★

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後に繋がっていた少年が離れて行く。
男は体勢を変える事が出来る様になった鈴虫の頭を引っ張ってきて自分に丁度良い位置に据えた。そして、後ろに逃げる事が出来ないようしっかりと押え付け、再び剛直をゆっくりと口の奥へ押し込めて行く。

「しっかりと喉の奥を使って…上手に締め付けて…おぉ、上出来…」

じわり…じわり…と口の中の隙間が奪われ、舌が押し下げられる。舌の根元まで圧迫されると、胃が絞られるようで嘔吐しそうになった。息を吸う事が出来ずに意識がふわっと遠くなる。男はそんな鈴虫の苦悶と自失の表情の目まぐるしい行き来を、愉しんで観察しているようだ。

「おおっ…あぁぁ…現身様、いい顔してますぞ!あぁ…このお口は…温かくて…蕩けるようだぜ。今日の日の為に溜め込んでおいた子種でお口をいっぱいに満たして差し上げましょう。さぁ、一滴残さず飲み込んでもらいますからね。」

「ぐぅぼッ…んぅ…ンッ!ンッ!ンーッ!!!」

男はそう言うや否や、木のうろにでも突っ込むかのように、情け容赦なく腰を振り始めた。鈴虫の鼻から泣き声のような息が細かく漏れる。

「むぉぉぉっ…気色イイ…もっとだ、もっと…もっといやらしく締め付けて貰いてぇなぁ…おう、誰かこっち来い。現身様の股座のモノはだぁれも可愛がっちゃやんねぇのか?…尻の穴がお留守なんだから、その分チンコでも扱いてやってくれ。」

「おっ、そ、そうだな。」

おそらく年齢の順番で行けば最後から二番目になるであろう二十歳近い男が名乗りを上げた。意外な事に他の男達からの不満の声は上がらなかった。最年少で予備知識の乏しい二人は権利を行使済みだし、残る中堅どころは初めて見る口虐に、興味はあれど参加する自信は無いといったところだろう。しかしこの男、他の男の行為を見ては、まるで自分の事のように置き換えて快感を得ているようだ。先程から誰にもましてダラダラと流れ出す我慢汁を自分のイチモツに擦り付けながら、目の前で繰り広げられている狂宴を用いて脳内を犯している。

男はごく自然に鈴虫の背中側に回り込むと、後ろから抱きかかえるようにして腰を下ろした。

「現身様よぉ、何ならこのまま俺のマラの上に腰を下ろして下さっても良いんですがね?そうすりゃ、口と、その…法性華?両方使えて時間の節約になるってもんだ。それに上と下の両穴をガチガチのマラで塞がれるのってのは、さぞかし気持ちが良い事でしょう。さぁさぁ、想像してみてくだせぇ…ふふっ、やっぱり、ご相伴にあずからせて貰いますわい。」

「ンッ!ンッ!…うぅ…ンッ!ンッ!」

鈴虫は背中を抑え込んでいる男の申し出を全力で拒絶しようとした。しかし、首を横に振ろうにも頭を固定されていて叶わないし、当然の事ながら口が自由になる事も無い。止まらない涙を振り払う事も出来ずに、辛うじて喉の奥から絞り上げられたような音を発しているのだ。

「おい、そんなに俺が嫌なのかい?こりゃ参ったなぁ。いっぺん口から出さないと、俺のマラを突っ込んだ拍子に噛み千切られるかも知れねぇよ。」

「おぅ、ちょっと待ってくれ。現身様、唇を窄めて俺のマラをぎゅ~ッとしてくれ。…できるよな?ぎゅ~ッとだ、ぎゅ~ッと…おぉぉおぉぉぉ…いいぞ…いい…どうだ、おいしいだろう?」

鈴虫は頭を強く掴んでいる男の手への恐怖心に負けて言いなりになった。抵抗することなく、頬を凹ませて口内を犯す男根に圧を掛ける。男は観世音菩薩様の現身と称される少年が己の言うがままになり下がり、そのそ美しい顔がいやらしく歪むのが嬉しくてたまらない。じゅるり…と唾液の糸を引いて鈴虫の口から男根が引き抜かれる。鈴虫は開き過ぎた顎が痛んで思わず両手で頬を覆って泣いた。
しかし、そんな事は美味しそうな生贄を前にした男にはどうでも良い事。むしろ加虐心を煽る仕草でしか無いのである。鈴虫の唾液がべっとりと塗布された男根をぐちゅぐちゅッ…と音を立てて扱きながら、鈴虫を背中から抱いている男に指示をだした。

「お前さん、マラ、天上に向けて、あしを投げ出して座ってみな。そう、後ろに手ぇついて。でだ、現身様よ、ぜひともご自分で、その法性華とやらにこの男の無明火を突っ込んでご覧に入れて下され。ここに居合わせる皆が御仏の功徳を目にしてみとうございます。…なぁ、みんなぁ~、そうだろう?」

男の言葉に周囲が騒めき出した。鈴虫が涙に滲んんだ目を見開いて周囲を見渡すと、まだ事を終えていない男達が自分の股間を弄りながら顔を見合わせて、良いだの悪いだのと話をしているようだ。しばらくして一斉にその視線が鈴虫を捉えた。

「はぁ~やぁ~くぅ~…しろ。」

慌てて見上げると血走った眼の男が見下ろしている。あまりの恐ろしさに鈴虫はお妙と風野を目で探した。しかし、当のお妙は視線を合わせようとはしないし、風野も俯き加減で渋い顔をしている。
鈴虫は鼻腔に落ちてくる涙を啜り上げながら、ゆっくりと立ち上がった。淫獣たちの視線が集中する。ここに居る男の誰もが挿入されるその部分を間近に見てみたいという若い好奇心に溢れているのだ。

「こっちですよ、こっち。そっちばかり見て酷いなぁ。口の中で大暴れしたマラが気に入っちまったんですか?現身様がお尻で咥え込むのは俺のマラです。こっち、こっち。ここにしゃがみ込んで、ぱっくりと…さぁ、お願いいたしますよ。上手に出来たら俺が現身様も気持ちよくなるようにして差し上げますから。」

下で構える男が床からほぼ垂直に勃ち上がった男性器を扱き上げながら上目遣いにお強請りをしている。
正直なところを言えば鈴虫も、誰も見ていないのであれば、この赤黒く血管の浮き上がった雄々しい男性器を体の奥深くに押し込めて掻きまわして貰いたい。もう、どう抑え込もうとしても意志とは関係なく体が快楽を求めてしまっているのだ。鈴虫はポロポロと止まらない涙を一度だけ指で掬ってから男の股座の真上に足を開いて立ち、自分の着ている単衣の裾を尻の辺りまで捲り上げた。とろ…り…とろり…と、鈴虫の菊門から甘美な蜜が滴り落ちる。男の体のあちこちに、ぽたり…ぽたり…と落ちた雫が広がって不規則な紋様を作り上げて行く。だんだんと、このままこうして立っている方が恥ずかしい気がしてきた。もう抗う事は諦めよう。鈴虫は余計な事を口走らないようにしっかりと歯を食いしばり、股を大きく広げて徐々に膝を曲げてゆく。潤んだ瞳を開いたまま天上を仰ぎ、ゆっくりと息を吐きながら自分の体重で起立を飲み込む。雪のように白い素肌がみるみるうちに桃の花のように紅潮していった。体の中で常に燃え続けている性への欲に、またしても一本の薪をくべてしまったようだ。


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