お伽話 

六笠 嵩也

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第一章

1-21 ★

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「そこは見ないでくだせっ!」

慌てた鈴虫は気だるい体に無理を言わせて必死に脚を隠そうともがいた。しかし嘉平の方が一手早く鈴虫が一番見られたくない場所を露わにしてしまっている。

「お鈴ちゃん…お前さんってこんな所まで白いだ…可愛いなぁ…これ。もう痛くないかい?喜一郎もこんな可愛いもんを蹴飛ばすなんて酷ぇなぁ。」

佐吉の手が鈴虫の脚の間の花芯に伸びる。嘉平も逃げられないように脚を押さえ込んでしまった。

「痛くはねぇけど…あっ、そこは弄っちゃいけないところなんですっ!あっ、いけねってばぁ!」

「ん?お鈴ちゃんは男の子なのに弄らねぇのか?そりゃ、もったいないなぁ。」

「佐吉よ、鈴虫のそこは小便する以外に使い道が無いから別に構わなくても良いぞ。」

嘉平が中途半端な助け舟を出してくれた。

「ねっ!ねっ!いらないの!そこはおらには要らないもんが…やめて…ね。」

「要らないって言うなら俺が食っちまうぞぉ。」

「へっ!?」

「へへっ、俺はお鈴ちゃんの全部が欲しいな。」

佐吉はいたずらっぽく笑った。

佐吉は起き上がると嘉平と場所を変えて鈴虫の脚の間に陣取った。鈴虫は脚を閉じて抵抗しようとするが力で敵うはずも無い。膝を曲げて腹部に負担の掛からない楽な姿勢を取らされ、両手は嘉平により頭の上で一纏めに押さえた。これによって楽な姿勢ではあるが完全に自由は奪われた。痛いような事はされないだろうが、これから一体何が起こるのかと思うと不安で胸の鼓動が速くなる。

佐吉はまだ包皮に覆われた鈴口を慎重に露出させていった。白い肌の先端に撫子色の鈴口が顔を出す。どこまで露出できるのだろうかと三人の視線が一点に集まる。チクッとした痛みが走り、鈴虫の体が強張った。まだ切っ先の全てが露出しているわけではなさそうだ。佐吉は包皮の上から裏筋に当る辺りを親指の腹で優しく刺激してあげた。

「ここ…敏感な感じじゃないか?気持ち良いだろ?」

「さきっさん…だめなんだよ。お股は弄っちゃいけないの!」

口では嫌だと言う割りに鈴口から透明な汁を溢れさせ、しっかりと芯を持ち始めているのが可愛くて止められない。佐吉は更に中指も加えて挟み込むようにカリの段差の辺りも擦ってやった。

「ほら、良いだろぉ?」

「だ、だめぇ…お、おら、そんな…はしたない…いや…だ。」

嫌がる心と裏腹に体が勝手に反応してしまう。自我が何処かへ急速に落下していくようで全く抗うことは出来なかった。下腹部に集まる熱と溢れ出す蜜。それはもう自分の意思ではもう止められない。佐吉の舌が溢れ出した蜜を啜る。

「あっ!おしっこ舐めちゃ駄目だってば!」

「はははっ!これ、小便じゃねぇよ。お鈴ちゃん、他にも出すものあるだろ?
 さっき俺が出したのと同じヤツ。あれ、ちょうだい?」

「…え!?」

「白いの、まだ出て来ない?」

鈴虫は顔を真っ赤にして視線を逸らし、口を尖らせている。

「教えてくれないなら確かめてみても良い?
 お鈴ちゃん?俺はね、自分ばかりが良い思いするのは嫌なんだよ。
 いくら仕込みだからって、辛いばかりじゃ…」

佐吉は鈴虫からの答えを待たずに無防備な花芯を口に咥え込んだ。佐吉自身はこんな事をされた経験は無かったが、鈴虫の体の中の襞の感触や締り具合を思い起こしながら真似る様にしてねぶった。舌を広く使い包み込むように深く咥え込み、引く時は口を窄めて圧をかけてみる。自分が突き上げた律動と同じ速さで動けば良い筈だ。

「あっ…あぁん…い、いやだ…あぁ、ああぁん…や、やだよ…恥ずかしぃ…。」

両手を封じ込められ逃げられない鈴虫はチッと舌を鳴らした。もう一回鳴らされたら全てが終了してしまう。せっかくここまでやったのに、いま終わらせるわけにはいかない。嘉平は内心では佐吉に対して余計なことをするなと言いたかった。しかし、その言葉は呑み込んで、この場を何とか好転させる事を考えなければならない。

「ほぉぉ?佐吉や、鈴虫はお前に遣られるのは厭だそうだ。では…そこは後日、別の誰かに躾けて貰うしかないか…?」

「えぇ…そうだったのか…ごめんな…お鈴ちゃん。」

唾液の糸を引いて佐吉の唇が離れていく。急に突き放された花芯がひくひくと震えている。佐吉が手の甲で口元を拭いながら寂しそうな目で見ている。鈴虫はもうこの世から消えてしまいたいくらいに恥ずかしくて堪らなかった。しかし、誰か他の人にあげるつもりなんて毛頭無い。

「うっぅん……し…て…。」

「そか!」

佐吉の嬉しそうな顔に鈴虫はびっくりした。二人に上手く丸め込まれたと直ぐに気付いたけれどもう遅い。自分からおねだりまでしてしまった。

「あぁ、そうだ、佐吉よ、そのまま指を突っ込んで中の瘤を押してみてくれ。快楽ってのはなぁ、一つ覚えた所から順に繋げて育ててゆく事が出来るんだよ。そこが感じるんだったら一緒に弄られてる間に良さが分かって来るってもんだ。」

「はぁ、はい。やってみます。」

佐吉は逃げられないようにしっかりと竿の中程を摘むと、舌を尖らせて鈴口をチロチロと擽るように舐めた。鈴虫の体に力が入る。

「お鈴ちゃん、ちから抜いて…。脚も伸ばして楽にしていいよ。」

鈴虫は静かに目を閉じた。もう意を決して全てを佐吉に任せよう。佐吉がしてくれることは受け入れるって決めたのだから。
促されるままに膝を伸ばした。ゆっくりと長く息を吐きながら出来る限り脱力していく。佐吉の空いた手が太腿から滑り落ちて奥の蕾を開かせたが、鈴虫には、さっきよりはもう痛くないなぁ…なんて考える余裕があった。一呼吸ごとにゆっくりと奥に進む指は、教えに忠実であり、情欲によって先を急かされることもない。少し硬い場所を探して分け入る指を柔らかく温かな粘膜が包みこむ。一度見つかってしまった熟し切らないその場所は、案外とすぐに見つかってしまった。しかも一度無理にでも刺激されているせいか、先程はただ重たい感じしかしなかった場所は、じんわりと響くような疼きを骨盤の中に広げて行く。

「お鈴ちゃん…どうかな?場所、間違えてないかな。」

「…うん。」

佐吉は経験が無いので色々な手管を知っているわけでは無い。せいぜい思いつくのは、先程の遣り方くらいだ。ただ単純に包み込むように咥え込んだり、圧を加えるように窄めてみたりするしかない。それでも男としての経験上、規則的な刺激は絶頂へ昇り詰める上で不可欠と体感してきている。知りうる限りの快楽を、この未成熟な体に施して差し上げよう。

「あっ…あぁん…い、いやだ、こ、声、出したくないもん…あぁ、ああぁん…や、やだ…恥ずかしい…。」

「鈴虫よ、何を言っているんだね?さぁ、お鳴き。佐吉の為に佳い声で鳴いて差し上げろ。」

鈴虫が噛み締めた唇の隙間から切ない声を漏らしながら、頭上から覗き込んでいた嘉平を睨んだ。

「あー…分かった、分かった、あっち行って壁に向かって座っているから。出血したり、困ったことがあったらすぐに呼ぶんだよ。」

嘉平はどっぷりと呆れた顔で言うと、そそくさと壁際へ退散した。

放たれた手で、脚の間にある佐吉の頭に少しだけ触れてみる。この人の口と指が導いてくるれる。ここまで来てしまったら彼を信じて、もう射精感に逆らうのはやめよう。

「さっき…さん…あぁん…うぅ…で、でちゃう…かも…ごめ…ね…」

頭の中が一瞬、白く霞んだかと思えた。その一瞬の間に自分の中で繋ぎとめていた意識が散らばっていった。もう戻すことは出来ないだろう。内側から何度も押し寄せる波のように体が震える。その度に言葉にならない甘い痺れが思考までをも支配していった。…そして、ほんのりとした眠気にも似た恍惚が訪れ…

佐吉がコクリと喉を鳴らす。

「ん?臭くねぇなぁ…なんでだ?」

「……。」

「ごめん。臭いもんだんだよ。でも、お鈴ちゃんのって…。」

「……。」

「おいしい…。」

「えっ!?……な、何のお味?」

「ちょっと甘い。甘い瓜ばっかり食ってるからか?」

鈴虫が頬っぺた膨らませて何故か怒っている。佐吉は鈴虫に寄り添ってゴロンと寝転がると、頬っぺたを指先でツンと突いた。

「あのね…前に、体が変になった時に苦しくて…いけない事、しちゃった。」

鈴虫は消え入りそうな声で佐吉に耳打ちした。佐吉は、前に体が変になった時…という言葉が少し引っかかった。喜一郎が堂に閉じ込めた一件のことだろう。そのあと堂の中で何が起こったのか本人以外は誰も知らない。しかし今はそれには触れないでおこう。
佐吉は鈴虫を抱きしめ、優しく髪を撫でながら耳元で囁いた。

「お鈴ちゃんが何をやっても俺の宝物なのに変わりはねぇよ。」

鈴虫の胸がトクンっと鳴った。瞼を閉じると涙が溢れてしまう。ぽろぽろと零れ落ちる涙を佐吉の指が掬ってくれた。

「お~い、佐吉、ぼちぼち二回目いけそうか?」

壁際から嘉平の声が掛かった。


※撫子色=柔らかい赤紫色
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