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第二章
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しおりを挟む時刻は八時十五分を回っていた。別荘にいる全員が部屋の前に集まる。
「真琴先生どうしたの、聞こえるかしら」
杏奈がドアを叩くが中からの反応はない。
「のり子さん、何か細長いナイフのような物はありませんか」
「小型ナイフが数本あったかと思います」
「それを貸して頂けませんか、もしかしたらこの鍵の構造ならナイフを使用をして扉を開ける事が出来るかもしれない」
倫太郎が小型ナイフを使用して鍵の開錠を始めてから十分程が経ったその時、カチャリという音が静まり返ったホール内に響く。
倫太郎が急いで扉を開け中に入り、僕達も彼の後に続いた。
部屋の中は静寂に包まれていた。
静かだ、いやこの静かさは異様すぎる。
僕は部屋の中のある場所を見た後、そこから視線を外す事が出来なかった。
ベッドの上に部屋の主の真琴先生は倒れていた。
その胸にはナイフが突き刺さっている。
顔は白くなっており、少し距離がある僕から見ても異常なのは一目で分かった。
驚きとショックで固まっている中、倫太郎が真琴先生へと近づく。
首に手を当て脈を測っているようだ。しかし悔しそうに首を振る。
「ダメだ亡くなっているよ、体も冷たくなってる」
「そんな、なんでなの、何がどうなっているの」
杏奈は泣き崩れてしまった。僕の隣にいた美波も放心状態になっており、咄嗟に体を支えた。
荒井の顔色は真っ青を超えて白くなっていた。
黒澤も何が起こっているのか理解できていないようだ。
僕は美波を支えながら、今一度真琴先生の部屋を覗き込んだ。
部屋の机の上に【八】の文字が刻まれたキーホルダーがついた鍵が置いてあるのが見えた。
真琴先生の部屋の鍵だ。
「これは何がどうなっているのでしょうか。真琴様は亡くなっておられるのですか」
のり子は信じられないと言うように目を見開いて震えていた。
「確認しましたが脈はありませんでした。硬直具合を見る限り死後五時間から六時間といったところでしょうか。警察を呼びたいのですがこの別荘に電話はありますか。携帯電話は電波の関係で使用できないので」
「はい、電話なら客間にあった筈です」
のり子と倫太郎が客間に向かって行くので、僕も美波を床に座らせ慌てて跡を追った。
客間に着くと倫太郎は部屋の後方に設置してある電話の受話器をとり、ダイヤルを押し耳に当てたが、舌打ちをしてすぐに元の位置に戻してしまった。
「呼び出し音が鳴らない、この電話も使えないな」
「そんな、古い電話だから壊れてしまったのでしょうか」
「それは違うよ、これを見て」
倫太郎の視線の先を追うと電話線が切られていた。
「一体誰がこんな事を」
「のり子さん車を出して貰えませんか。電話が使えない以上、直接警察を呼びに行くしかない」
三人でホールを抜け、玄関から外に出ると駐車場へ向かう。
昨日乗ってきたワンボックスカーに近づくと、僕は言葉を失った。
タイヤが全部パンクしている。これでは走らせるのは不可能であった。
それはのり子が乗ってきた軽自動車も同じ状況である。
この別荘には車を走らせても三時間以上はかかった。
一本道ではあるが、慣れない山道を徒歩で降るのは大変危険だろう。
「なるほど、俺達を此処から出したくない人物がいるらしい」
電話も繋がらず、山を降りることも出来ず、僕達推理サークルはこの別荘から動けなくなってしまった。
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