女王陛下

Kira

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紅の華と黒の華

女王陛下

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ある国にはこんな噂が流れている。

「この国の女王は悪行をしている」

そんな噂が流れていた。

その国の女王はある日突然現れた。
現れたというのではないかもしれない。
なぜなら彼女はこの国の王女であったのだから。
しかし、本当なら彼女は女王にはならなかったはずだった。
だが、女王になる前日に王女以外の者が全員焼け死んだ。普通なら可哀想な王女様となるのだろうが、彼女の場合はならなかった。なぜなら、彼女が女王になったのは死んですぐであり、家族の葬式もろくにしなかったのである。
これにより、女王となる為に、自分以外の全てを殺したのではという噂が流れた。
噂とは、本当なのか分からないというものであるのに。

この噂が本当だと思われたのには理由がある。

女王は王位継承権がなかった。王家では無い者でさえもらっていたというのに。
彼女は貴族からは馬鹿にされ、家族からは見放されていると周りから見られていた。

なら何故女王となれたのか。

遺言だと言ったからだ。

しかし、あの燃えたぎる城で遺言を聞くことなど出来るはずがない。
ましてや、戦士でも無いただの王女では。

そんなわけで女王になる為に全て殺したと言われている。


これを言い始めたのは王家と対立していた貴族たちである。

先王は良い君主であり、国民からも慕われていた。それにより、先王を失った哀しみは酷かった。
哀しみは大きな憎しみに変わる。
国民の怒りの矛先は貴族によって流された噂の人物、女王に向かった。
今では、国民全てが女王を殺そうとしている。

だが、女王をそう簡単には殺せない。守る者がいるからだ。全力を尽くして守っているのだ。


しかし、女王を狙う者は国民ばかりでは無い。
隣国も王国を狙っている。広大な土地があるからだ。
隣国から見るとこれは美味しい話である。女王が死んでから、土地を奪えば良いのだから。


誰もが女王を狙っているのだ。
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