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精霊の国

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静かに太陽が登り始め、小鳥達は朝を告げ始める。
濃い緑の木々の間から薄く、光のカーテンが降りてくる様子は息を飲むほど美しかった。

まだ少し寒いのだろうか、霜が降りていた。

そのカーテンの間をゆっくりと歩く少女が1人。

薄く、差し込む光に反射し、髪はキラキラと光っていた。
少し眩しかったのだろうか、手で木々からもれ出た光を遮っていた。

その者の髪色は銀色であった。

手で光を遮ることをやめ、その顔が光に照らされた。

美しく整っており、まだ少女のようなあどけなさを残しているが、少しずつ大人の女性としての変化を見せていた。

少女の目の色は濃い紫の目だった。

少女の隣には真っ白なオオカミが居た。そのオオカミの目は水色で賢い目をしている。

「ヴィリ、機嫌が良さそうだ」

オオカミが話しかけた。

少女は答える

「ええ!とってもいいことがあったのよ。」

「何があったんだ?」

オオカミには何となく分かっていたが、それでも聞きたいものは聞きたい。それが己の大事な子の話ならば。

「ふふっ、わかってるでしょうに。
今日みんなにね、あげる贈り物が完成したのよ!私から見ても素晴らしい出来だったわ、自画自賛かもしれないけど。」

そう言って弾む口調と同じように足取りも軽く、踊っているかのようだった。

ふと止まって、白いオオカミに視線を向けた。

「知りたい?どんなものか」

「いいや、いいよ。楽しみは後に取っておきたいタチだからね。」

そういったオオカミに、そう、と嬉しそうに笑って言った。


1人と1匹は朝の森をゆっくりと歩いていった。




森の奥まったところに小屋がある

そこから薄く煙が立ち上っていた。そこから一人の女性が出てきた。


「マ、お母様!おはようございます!」

「あら、おはよう。今日はお早いのね。」


そう言って振り返った人は黒髪に薄い紫の目をしていた。

「何かあったの?」

目を嬉しそうに細めて聞いた。

「秘密です!朝ごはんのお手伝いしますね!」

そう言って小屋の中へ入っていく少女の後ろ姿を眩しそうに見た後、

「ますます似てきました、あなたも見ておいででしょうか...」

そうボソリと言って少女の後を追い、小屋の中へ入った。




「ヴィリ、こっちをやってもらえる?」

「はい!」

朝の陽射しを浴びた小屋の中からは楽しそうな声が響いてる。
それは彼らにとって何一つ変わるはずのない日常だった。









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