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結婚

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結婚式当日、結局あれから一度も、コランとの仲は修復できないまま結婚式当日を迎えてしまった。

「姫様、お綺麗です」

ばあやが、私の花嫁姿を見て褒めてくれるが、私は正直複雑な心境だった。
今まで支えになっていたコランに否定された事が、私の心の中にぽっかりと穴をあけ、またこれからの未来が不安で堪らなくなって行く。
そんな心境を知ってか知らずか、お父様は

「カルミア、時間だ」

「……はい」

お父様に促され私は、披露宴会場へと向かった。
---

「カルミア・フォン・サンベール様のご入場です!」

お父様にエスコートされ、私は会場に入ると大きな拍手と歓声で迎えいれられた。

「お若いのにしっかりしていらっしゃる、」

「美しい……」

そんな声が私の耳に届くが、私はそれどころでは無く会場をぐるりと見渡し、コランを探したが、

(いない………)

ほかの弟や妹は居たがコランだけがいなかった、思わず小声で、

「お父様、コランは……」

「体調不良だ、気にするなスノー姫が側にいるからすぐに良くなる、今は式に集中しろ」

お父様にそう言われ、私はそれ以上何も言えずそのまま神父様と私の旦那となる、第5皇子モーリス・エル・モクレンのもとへゆっくりと歩いて行く。
背中しか見えないが、身長は高く、金色に輝く髪が見えおじさんと結婚させられる訳ではない事に少しホッとした。
壇上に着くと神父様が

「これより、婚姻の儀を始める」

そう告げ神父様は聖書に書かれた一説を読み上げ、最後に

「新郎モーリス・エル・モクレン、貴方はここにいるカルミア・フォン・サンベールを、病める時も健やかなる時も富めるときも貧しいときも、妻として愛し敬い慈しむことを誓いますか?」

神父様の言葉を聞いた後モーリスは、

「はい、誓います」

私はそれに答え頷く。それを確認した神父様は今度は私の目を見た後

「新婦カルミア・フォン・サンベール、貴女はここにいる第5皇子であるモーリス・エル・モクレンを病める時も健やかなる時も富めるときも貧しいときも、夫として愛し敬い慈しむことを誓いますか?」

「はい、」

私ははっきりと答え
神父様はそれを確認し頷くと

「それでは指輪の交換を」

指輪の交換、この段階で初めて私は旦那となる人を正面で見た、首元にはΩ特有のチョーカー、 綺麗な碧眼、鼻立ちが整った顔立ちで頬は少し赤みがかかっていた、何処か見覚えがあるが思い出せない。
私は、モーリスの瞳を見つめると一瞬時が止まった感覚がした。
だがそれも束の間で私は指輪を相手の手にはめていく、お互い交換すると神父様の合図と共に私達は誓いの口づけを交わした。

「これで、二人は夫婦となりました」

こうして私の結婚式は終わりを告げ、披露宴へと移行した。
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