私は、Ωの事を知らな過ぎた。

かわいい弟

それからは怒涛の日々だった。
国を挙げて葬儀を執り行い、その後第二王妃である私の母が、第1王妃に繰り上がる手続きをすまし、やっと落ち着いたと思いきや、第１王妃様を亡くしてからお父様は更に仕事人間度合いに拍車がかかり、子供や他側室に構う時間を殆ど作らなくなってしまった。
そしてその影響を一番受けたのが、コランだった。

「コラン私そろそろ習い事の時間だから……」

「やだ！行かないで姉様！」

涙目で私に縋り付き懇願してくる。
正直、私の目から見ても今のコランは、少し情緒が不安定な所が見受けられる。

「コラン……わがまま言わないで」

「姉様が側にいないと不安なの！」

コランの教育係ばあやと顔を見合わせるが、コランは、私の服の裾をぎゅっと掴み離さない。

「コラン王子、じいやがおりますよ」

「やだ！じいやだけもやだ！」

「コラン、貴方は将来一国を背負う王になるのでしょ？そろそろ自覚を持たなくては」

私が優しく言うと、コランは大粒の涙を零しながら私を見つめ

「姉様まで僕を置いていくの？」

私はそんな弟を見て、思わず抱きしめた。そして頭を撫でながら

「コラン……私は貴方の側にずっといるから……」

「本当？」

コランが上目遣いで私を見つめる、その目は不安に揺れているのがよく伝わって来る

「えぇ、だから安心して、ほらじいやもいますし」

「う……うん……」

コランは渋々と私の服を裾から手を離した