ダブル不倫 〜騙し、騙され

エピローグ

４

　凛華が優子の唇に口紅をひいていた。

「お母さん、結婚式しちゃえばいいのに……」

「いいの。いいの。結婚式なんて……」

「この口紅の色、私が大好きな色なの。お母さんかわいい」

　凛華が優子の唇をティッシュペーパーで押さえた。

　：

「カンパーイ」

　小さなキッチンテーブルには、優子、その隣に畠山、そしてその向かいに凛華が座っている。

「お父さん、お母さんに誓いのキスをしてね」

「何で、凛華、あなたの前でキスなんて……」

　優子が横を向いた。

「優子さん……」

　畠山の唇が優子の唇に重なった。


おわり