上 下
16 / 41
隣人

しおりを挟む
 気がつけば五〇〇ミリの缶ビールが空いていた。畠山も同じだった。
 
 優子は全てを打ち明けた。修一の浮気のこと。キスマークをつけて帰ったこともあること。
 
 いつの間にか溢れた涙が頬を滑っていた。
 
「ご……ごめんなさい、私ばかり……話してた……」
 
「あの、…………」と、畠山が言ったあと、彼の顔が近づいた。
 
「あ……」冷たい唇が涙が滑る優子の頬に触れた。子宮がキュンと鳴いた。畠山の唇はすぐに離れた。
 
「ああ、僕、ぼく……つい……ああ、ごめんなさい、ごめんなさい」
 
 息苦しいくらいに、優子の心臓が強く打っていた。身体が震えていた。
 
 小さなグラスの奥の畠山の目を見た。色素の薄い彼の瞳の中に優子が映っている。彼の顔を引き寄せた。冷たい唇に優子の唇を重ねる。舌先で、彼の舌を探った。彼の舌先が優子の舌に絡みつく。泡立つ唾液を交換し合う。
 
 :
 
「畠山さん、また会っていただけませんか。今度は……」
 
「はい、ぜひ……」
 
 畠山が玄関を開けた。
 
「ちょっと……」
 
 畠山の首すじに唇を寄せた。
 
 ちゅぱっ……。
 
「うっ……」
 
 畠山の声が歪んだ。
 
「ありがとう……」
 
 優子は畠山の首すじについた〈桜の花びら〉を指先で撫でた。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

小学生最後の夏休みに近所に住む2つ上のお姉さんとお風呂に入った話

矢木羽研
青春
「……もしよかったら先輩もご一緒に、どうですか?」 「あら、いいのかしら」 夕食を作りに来てくれた近所のお姉さんを冗談のつもりでお風呂に誘ったら……? 微笑ましくも甘酸っぱい、ひと夏の思い出。 ※性的なシーンはありませんが裸体描写があるのでR15にしています。 ※小説家になろうでも同内容で投稿しています。 ※2022年8月の「第5回ほっこり・じんわり大賞」にエントリーしていました。

勝負に勝ったので委員長におっぱいを見せてもらった

矢木羽研
青春
優等生の委員長と「勝ったほうが言うことを聞く」という賭けをしたので、「おっぱい見せて」と頼んでみたら……青春寸止めストーリー。

13歳女子は男友達のためヌードモデルになる

矢木羽研
青春
写真が趣味の男の子への「プレゼント」として、自らを被写体にする女の子の決意。「脱ぐ」までの過程の描写に力を入れました。裸体描写を含むのでR15にしましたが、性的な接触はありません。

同僚くすぐりマッサージ

セナ
大衆娯楽
これは自分の実体験です

女子高生は卒業間近の先輩に告白する。全裸で。

矢木羽研
恋愛
図書委員の女子高生(小柄ちっぱい眼鏡)が、卒業間近の先輩男子に告白します。全裸で。 女の子が裸になるだけの話。それ以上の行為はありません。 取って付けたようなバレンタインネタあり。 カクヨムでも同内容で公開しています。

若妻の穴を堪能する夫の話

かめのこたろう
現代文学
内容は題名の通りです。

お嬢様、お仕置の時間です。

moa
恋愛
私は御門 凛(みかど りん)、御門財閥の長女として産まれた。 両親は跡継ぎの息子が欲しかったようで女として産まれた私のことをよく思っていなかった。 私の世話は執事とメイド達がしてくれていた。 私が2歳になったとき、弟の御門 新(みかど あらた)が産まれた。 両親は念願の息子が産まれたことで私を執事とメイド達に渡し、新を連れて家を出ていってしまった。 新しい屋敷を建ててそこで暮らしているそうだが、必要な費用を送ってくれている以外は何も教えてくれてくれなかった。 私が小さい頃から執事としてずっと一緒にいる氷川 海(ひかわ かい)が身の回りの世話や勉強など色々してくれていた。 海は普段は優しくなんでもこなしてしまう完璧な執事。 しかし厳しいときは厳しくて怒らせるとすごく怖い。 海は執事としてずっと一緒にいると思っていたのにある日、私の中で何か特別な感情がある事に気付く。 しかし、愛を知らずに育ってきた私が愛と知るのは、まだ先の話。

令嬢の名門女学校で、パンツを初めて履くことになりました

フルーツパフェ
大衆娯楽
 とある事件を受けて、財閥のご令嬢が数多く通う女学校で校則が改訂された。  曰く、全校生徒はパンツを履くこと。  生徒の安全を確保するための善意で制定されたこの校則だが、学校側の意図に反して事態は思わぬ方向に?  史実上の事件を元に描かれた近代歴史小説。

処理中です...