無頓着な彼は。

はぴたん

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門を抜け、少しして車が止まる。

松戸さんがさっと降りて、車のドアを開けてくれた。

「どうぞ、足元お気をつけください。」

慣れているのか、要がすっと降りた。

「ほら。」
慌てて俺も降りようと動いていると、ドアから出ようとしたところで手を差し出される。

「ありがと。」
お礼を言いながら、出してくれた要の手を取り車からおりる。


「松戸さんもありがとうございました。」

「ふふっお優しい方ですね。
お礼を言うのはこちらですよ。
ぼっちゃんとなかよくしてくださりありがとうございます。」

「あ、いえ、こちらの方こそよくしてもらっているんです。」

「ほら、松戸と話してないで行くぞ。」

「うん、では失礼します。」

「はい。また後ほど。」

後ほど?と思いつつもぐんぐん進む要に置いて行かれないようついて行く。


旅館のような大きな玄関を抜け、長い廊下をひたすら歩く。

要がやっと止まり、襖を開けると広めの部屋だった。

驚いたのは部屋の中がフローリングだったことだ。
急に洋風になりついていけない、、

フローリングの上には高級感のあるソファやベッド、重厚感のある本棚には難しそうな本がたくさん、オシャレなテーブルにイスが置いてある。


大人の部屋、という感じだ。
襖の外からきょろきょろ不思議そうに部屋の中を見つめていると、づかづか入った要がどさっとソファに座った。

「おい、恭も入れよ。」

「あ、いや、俺入っていいの?
ここ誰の部屋なの?」

「あ?俺の部屋。
いいからここ座れ。」
ソファの隣をぽんっと叩く。


ん?俺の部屋?


「え??ここ要の部屋なの?
大人っぽすぎない?」

「そうか?」

驚きながら近づく俺に、不思議そうにそう返す要。


「そうだよ!」
隣に座ってそう興奮気味に言った。

「あぁ、座敷に飽きて俺の部屋だけフローリングにしてもらったんだよ。
結構反対されたけどな。」

「そ、そこもだけど、このソファとか!
本棚とか机とかいすとか、、全部!大人すぎてなんか緊張しちゃう、、」

「ふっなんだよそれ。」
そういいながら俺の頭をまたぽんぽんする要。

「それより離れた分補充させろ。」
頭にあった要の手がいつの間にか肩に下りて引き寄せられた。

「すぅ、、はぁ、、落ち着く。」

「うわっ、んっちょっと、、」

またも俺の首筋の匂いを嗅ぐ要。
いい加減にして欲しい。
息がかかってこそばゆいのだ。

「んっもう!終わり!!
離れて!」

「、、はぁ。」
ため息を吐きながら離れる要。
なんだか不服そうだが、俺が恥ずかしいのでもうやめてほしい。


「、、あ、飲み物とってくる。」
立ち上がった要がそう言って部屋を出ていく。


ふぅ、、
なんだか変に緊張していたので深呼吸して落ち着かせた。



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