無頓着な彼は。

はぴたん

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コンコン

ガチャッ

「失礼します。生徒会役員の春白恭です。
体育祭に関する書類を持ってきました。」

「ふふっまた会えたね。
ありがとう。こちらに持ってきてくれない?」


窓際にある高級そうな椅子に座り微笑みながらそういったのは柊先輩だ。


「はい。」

そう言って柊先輩の傍へ行く。

机の前に立ち書類を差し出すと、

「もっとこっちに来て。」

上目遣いでそう言う先輩はどこか妖艶だ。

「はい。」少し緊張しながら先輩の隣へ向かう。


横に並んだ途端回転付きの椅子をくるっと動かし、俺の方に向いたかと思えば腕をひかれバランスを崩しそのまま先輩の膝になだれ込む。

腕をひく手と反対の手で腰をひかれ、完全に先輩の膝に向かい合うように座ってしまった。

いつの間にか持ってきた書類は机の上に置かれている。


「あ、あの、離してもらえませんか?」

とりあえず今の状況が恥ずかしくて、顔を上げながらそう言った。

顔を上げると思ったより近い距離に先輩の顔がありびっくりする。

「ふふ、可愛い。
慣れてないの?」

「な、慣れてません。
慣れてないので離してください。」

「えー。やだ。」

急に子どもっぽく言う柊先輩。
可愛いけど、そんな事より離してほしい。


「お願いです。」
切実に離してほしい。とぎゅっと目に力を込めて訴える。

「そんな目で見られたら、、」

急に柊先輩の顔が近づいてくる。


チュッ


「な、何するんです」チュッ

「いい加減に」チュッ

「やめてください」チュッ


リップ音を立てながら何度もキスをしてくる。
我に返り抵抗しだした俺の腕は片手でまとめられた。


「今日はこの辺にしとこうか?
そんな目で見るのがいけないんだよ。」

「ど、どんな目ですか。とにかく離してください。」

俺の腕を握っていた手をやっと離してくれた。

「俺以外にそんな目しちゃだめだよ。」

「だから、どんな目ですか。
この腰の手も離してください、下りたいです。」

「えーどうしよっかな。」

今度は両手で腰を捕まえられてしまった。
腕を引きはがそうとするも、なかなか動かない。

見かけによらず力が強すぎる。


どうしようかと途方に暮れていると、

バンッ!!とドアが豪快に開いた。


「誠ぉ!この間の書類どこやったんか? 
、、うお!そいつ誰やねん!あ!なんか見た事ある!
えと、ほらあれや!この前傑が生徒会補佐に任命した子や!せやろ!!」

怒涛にまくし立てながらそう話す関西弁の人。
関西弁だから余計に勢いが凄い。

「あ、はい。生徒会長補佐の春白恭です。
よろしくお願いします。」

「そやそや!そんな名前やったわ!恭な!
俺は灰原はいばら櫂斗かいとや!
よろしゅうしたってな。
てか自分、誠のコレなん?」

灰原先輩が小指を立てた手をひらひら振っている。

どうゆう事?と最初意味がわからなかったが、灰原先輩の勢いで忘れていたけど自分が今柊先輩の膝の上にいる事を思い出し、顔が真っ赤になった。


「ち、違います!
勘違いされたじゃないですか!早く離してください!」

恥ずかしすぎて涙目になりながら切実に訴えると、

「う、、。だからダメだって。
わかったごめんね。今離すから嫌わないで。」

するりと柊先輩が 腕の力を解き、ほっとした瞬間


バンッ!!!

灰原先輩の時よりさらに鈍い音を立てながらドアが開いた。


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