無頓着な彼は。

はぴたん

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森の中をうろうろしていたが、だんだん鬼が増えてきたので学園内に入ることにした。

隅っこに位置している少し古そうな建物に入る。


ここにはまだ鬼がいないようだ。

廊下をどんどん進んでいくと、外から足音がした。

やばい、どこかに入らないと。
そう思った瞬間、後ろから手が伸びてきて引っ張られ教室の中に引きづり込まれた。

なに!?と思ったと同時に口を手で抑えられる。


びっくりしすぎたのと暗がりで相手の顔がよく見えない。


怖すぎて動けずにいると後ろの廊下をパタパタと歩いていく音がする。

音が遠のくとやっと口から手を離された。

だが俺の顔の両側に腕があり囲い込まれており、ガタイも良いため威圧感は拭えない。


「だ、誰なんですか?
とりあえず離してください。」

「おい、俺の事もう忘れたのか?
思い出すまで離してやらねぇ。」

え、知り合い?と見上げると、暗がりに慣れてきた目が見た事のある銀髪にグレーがかった瞳を捉える。

「うわ、この前の人。
いい加減にしてください。
てゆうか誰なんですか。
名乗られた覚えないんですけど。」

そう言うと、びっくりしたように目を見開いた。
意外な表情にこちらもびっくりする。

目をぱちぱちさせながら、

「俺の事知らねぇの?
結構有名なんだけど。、、初めて言われた。」
心底意外そうに告げる。

「まあいいや。名乗ってやるから絶対覚えろよ。
俺は生徒会長の東堂傑だ。
入学式、てゆうかこの新入生歓迎会の時もステージにいたんだけど。」

と立て続けに告げられる。

「ああ!なんか見た事あると!、、新入生歓迎会の時はルールを聞くのに夢中で副会長さんしか見れてません。
それにそんな入学式で1回見たくらいじゃ中々覚えられませんよ。」

途中でむっという視線に気まずくなる。

「その1回でだいたいみんな覚えるんだよ。」

はぁとため息をつきながらそう答える。

そう言われても知らないし、ため息をつきたいのはこっちだ。


「まあいいや、お前後で楽しみにしとけよ。
とりあえずこれ着て体育館に戻ってな。」

そう言って腕による拘束を解いたと思ったら、自分のジャージを脱いで投げてきた。

「え、いやなんで体育館、、ハッ!」
手元のブレスレットを見るとランプが赤く光っている。

「いつの間に!!」と叫ぶ頃にはニヤリと笑って教室の外へと出ていってしまった。


「はぁ。とりあえず体育館行くか。
てゆうかこれ、、
半袖だから気を使ってくれたのか。
優しいのか何なのか、、。」

キスの事はどこへやら。
早くも絆されそうになりながらジャージを着る。

「ちょっと大きいんだけど。」
俺も背が割と高い方だが、ガタイが良い分大きいサイズみたいだ。

すこしぶかぶかだがまぁいいか。

しょうがないのでとぼとぼと体育館へと向かう。
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