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三章・めぐり合う二人
51.はらぺこサキュバスは性欲の強い男エルフの元へ急ぐ
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「受付さんが地図のこと言ってくれてよかった……」
レイモンドさんがローパー討伐に行ったという話を聞いてたまらず飛び出したものの、考えてみればわたしは一番目のダンジョンは一階層しか入ったことがないので地下二階からは未知の領域だった。今は割と大勢が討伐のために潜っているからモンスターは少なくて、羽根を広げられる程度の広さのある場所なら誰も見てなければ空中ショートカットができるくらいにはガラガラだけど、短い間隔で復活する罠なんかは普通に作動してるので地図無しで入ったら大怪我してたかもしれないっていう瞬間が度々あった。
ダンジョン内の地図を毎週更新して、誰でも買える値段で売るというやり方を作ったのはレイモンドさんだ。わたしは今、レイモンドさんに守られながら、当のレイモンドさんを助けに向かっている。
ローパー農場のおじさんは、一度ローパーに呑まれて吐き出された雄の虫はちゃんと自分を呑んだローパーがわかって自分から食べられに行くって言ってた。今回のローパーがレイモンドさんを呑んだのと同じ個体だったとして、あの雄の虫たちと同じことがレイモンドさんの頭の中で起こってしまっているとしたら、きっと彼はわき目もふらずまっすぐローパーの元へ向かうだろうと思った。
レイモンドさんたちの通った道を見つけなくちゃ。さっきから、曲がり角などに印がつけられているのはわたしも気が付いている。これはレイモンド班とは別のマッピング班が付けた印なのだろう。きっと効率よく調べるためにマッピングの時と同じ印をつけながら進んでいるんだ。ということはレイモンド班の印、緑色の明かりを見つけて追えば出会えるはず……!!
「あ、あった!! 緑の明かり!!」
いくつかの道を行ったり来たりして、わたしはようやく懐かしい色の炎に照らされた道を見つけ出す。まるでサキュバス界とこちらの世界を繋いでいる光の線のよう。この線はまっすぐレイモンドさんに続いている……!
時々途切れたりもしているけど、他の班の印と違って光っているので、曲がり角の先などで光が漏れていてすぐ次を見つけることができる。仕事のことはちゃんとしているレイモンドさんなのに、やっぱり今普通の状態じゃないんだ。早く行かなくちゃ。
ドンッ!!
「きゃわっ!」
「おわっ!! な、なんだ!?」
低い所を飛んだまま曲がり角を曲がったわたしの顔の前に鎧を着た身体があって、びっくりして速度をさげたものの、わたしは誰かに顔からぶつかってしまった。いたぁい!!
「あにゃ? この娘、レイモンド班のメンバーじゃないのかニャ?」
「シルキィさん!! シルキィさんじゃありませんこと!?」
「あたた……マノンさん? ってことは……ライオット班の皆さん!!!」
わたしがぶつかったのは、どうやらライオットさんの背中のようだった。
「うわっ、シルキィちゃん大丈夫か? おかしいな、足音とか全然聞こえなかったんだが……ああそうか、隠密スキルか」
「そ、そうですそうです。す、すみませんでした」
本当は飛んでたからなんだけどそんなこと言えるわけがないのでありがたくそういうことにしておいた。ライオットさんが手を差し伸べてくれたのでお礼を言って助け起こしてもらう。
「しばらく姿を見なかったが、実家に帰ってたんだってね。戻ってこれたのか」
「一人でこんなに深く潜るのは危ないですのよ。見たところ無事のようですし、良かったですけども」
「えっと、ライオット班の皆さんはどうしてここに? ローパーを探してるのは知ってるんですけど、これ、レイモンド班が通った後の道ですよね?」
「ニャーたちが調べてたルートは最下層まで行ってもローパーに会えなくて、はずれだったから一回知ってる班と合流することにしたんだニャー。レイモンド班の印を見つけたから向かってるところだったニャ」
なるほど。それでこの道をライオット班が歩いてたんだ。
ずっと一人で進んでいたので知った顔にあって安心したが、ぐずぐずはしていられない。わたしはレイモンドさんの所に行かないといけないのだ。
「わたしすぐにレイモンドさんの所に行かないといけないんです。その、えっと、そうだ、知り合いにローパーに詳しい人がいて! その人に聞いたんですけど!! ローパーに一度呑まれて、吐き出された生き物は、しばらくすると自分からローパーに呑まれに行っちゃうって聞いて!! だから、レイモンドさんをローパーの所に行かせたらいけないんです!」
「それ、ほんとか? だとしたら急いで教えないといけないじゃないか。俺たちも一緒に行くよ。戦闘になってたらまずい」
飲み込みの早いライオットさんはすぐに事態を理解してくれた。一人で行ったほうが飛べていいのだが、道が細くなって来ていたしちょっと羽の付け根も痛くなりだしていたのでここからはわたしも走ることにする。
しばらく黙ったまま、四人でダンジョンの中を走って進む。いくつも階段を降りたところで、向こうから走ってくる人を見つけた。ギルドでなんどかすれ違ったことがあるかもしれない、女性の冒険者だった。
「ハア、ハア、お、おおい!! よかった、あんたらもマッピング班か!? う、くっ……」
ぜえぜえと肩で息をする彼女は、血のにじんだ包帯を腕に巻いていた。ライオットさんが駆け寄って、よろけた彼女を助け起こす。
「君は、今朝はギルドにいなかった冒険者だな。だったら知らないだろうが今は巨大ローパーの捜索と討伐が行われてるんだ。危険だから早く地上に出たほうが……」
「そ、そいつ!! でかいローパーだかって奴に会ったんだ!! 今はあの、エルフがいるマッピング班の奴らが戦ってて!! アタシ、他の班の奴らにそれを伝えるように頼まれて……!!」
……!!!!!!
「れ、レイモンドさん!!」
「シルキィさん!! お待ちになって……!!」
わたしは、その言葉を聞き終わらないうちに再び駆けだした。レイモンドさんがローパーと戦っている!? まずい、まずいまずいまずい!!
「はぁ、ん、はあっ、ぜえ、レイモンド、さんっ!! やだ、やだやだっ!!」
貸しがあるんだ。帰ってきたら、わたしの告白の返事を聞かせてくれるって約束したんだ。レイモンドさん、わたし、がんばったんだよ。催眠の試験に合格したんだよ。だから、レイモンドさんはもう性欲に悩まされなくてよくなるんだよ。慣れない煙草も吸わなくていいし、下着なんかじゃなくて本物のわたしがいっぱい気持ちよくしてあげる。だから、だからだから……!!
「生きてっ……、レイモンドさん、生きていてくださいっ……!!!」
走りながら、わたしは異様な雰囲気を感じ取り始めていた。ダンジョンの中の土埃やコケの匂いとも違う、お肉屋さんの裏手のゴミ置き場みたいな、生の肉の臭いがする。
「……!?」
その部屋に入ろうとして、わたしはなにかにつまづいた。見下ろすと、よくわからない粘液でぬるぬるになった人間が倒れている。なにこれ……。
なにもかもが異様で、あわてて足を踏み入れたそこには、嘘みたいにおぞましい光景が広がっていた。
見上げるほどに大きい漏斗状の『なにか』から部屋中に伸びて広がる肉の蜘蛛の巣。わさわさと細長い触手が蠢いて、とても不気味。真ん中にある巨大な目玉の下でもぐもぐしている窄まりは、たぶんあれは口だ。
動き回る触手がギリギリ届かない場所で、誰かが倒れている。その傍に、やっぱり粘液まみれになった誰かが項垂れて放心していた。
「リィナさん! ドーソンさん!!」
駆け寄ろうとして、わたしはとても嫌なことに気が付いてしまう。気が付いてしまった。
「……レイモンドさんは……? どこにいるの……?」
わたしの問いに、リィナさんは顔を上げる。彼女のいつもの勝気そうな表情は消えてしまって、とても憔悴してしまった顔でわたしを見て。そして、力なく持ち上がった手が指さした先には、ただ巨大なローパーだけがそびえ立っていた。
「うそ……」
膝から力が抜ける。わたしは粘液の水たまりにぱしゃんと座り込んでしまった。
「間に合わなかった……の? そんな……そんな……」
絶望が、心に忍び寄ってきていた。例えこいつを倒しても、レイモンドさんは帰ってこない。レイモンドさんの居ない世界で、わたしだけここにいる意味なんかあるの?
「レイモンドさん……レイモンドさん……」
涙がはらはらと頬を濡らした。気が付くとわたしはずっと彼の名前をつぶやいていて、その声は次第に大きくなって、気付けば私は大声で彼の名前を叫んでいた。
「レイモンドさああああああああぁぁあぁん!!!!!!!!!!」
……ドン
……ドンッ、ドンッ、ドンッ。
はじめは気のせいかと思った。だけど、わたしは何度も繰り返し聞こえてくる音に気付く。何か柔らかくて分厚いものを殴っているような音がどこからか聞こえてくる。
「し、シルキィちゃん……あれ……」
指をさした姿勢のままだったリィナさんが、さらに人差し指を明確に突き出す。
ローパーの口の下。たぶん内臓があるんだろう場所が、ボコ、ボコ、と繰り返し盛り上がったりへこんだりしている。
「……レイモンドさん……『居る』んだ……まだ生きてる!!!!」
折れかけていた心が、一縷の望みに再び奮い立つのを感じた。ついでに、怒りもむくむく沸いてくる。
「何さ……ローパーのくせにウスラでっかくなっちゃってさ……。わたしの大事な人をどこまで苦しめれば気が済むの……あんたなんか、あんたなんか……。女の子の恋心に比べれば、道端の石ころみたいなもんなんだから!!!」
喉が千切れそうなくらい大声で叫んで、わたしは疲れ果てた羽をいっぱいに広げる。今までわたしは幻惑の光を出すときには両手から出していたけどアルベリオがやっていたように、羽の先から出すやり方で一気に部屋中にそれを行きわたらせた。
「絶対に、絶対に取り戻す!! だからレイモンドさん! それまで耐えて!!!」
レイモンドさんがローパー討伐に行ったという話を聞いてたまらず飛び出したものの、考えてみればわたしは一番目のダンジョンは一階層しか入ったことがないので地下二階からは未知の領域だった。今は割と大勢が討伐のために潜っているからモンスターは少なくて、羽根を広げられる程度の広さのある場所なら誰も見てなければ空中ショートカットができるくらいにはガラガラだけど、短い間隔で復活する罠なんかは普通に作動してるので地図無しで入ったら大怪我してたかもしれないっていう瞬間が度々あった。
ダンジョン内の地図を毎週更新して、誰でも買える値段で売るというやり方を作ったのはレイモンドさんだ。わたしは今、レイモンドさんに守られながら、当のレイモンドさんを助けに向かっている。
ローパー農場のおじさんは、一度ローパーに呑まれて吐き出された雄の虫はちゃんと自分を呑んだローパーがわかって自分から食べられに行くって言ってた。今回のローパーがレイモンドさんを呑んだのと同じ個体だったとして、あの雄の虫たちと同じことがレイモンドさんの頭の中で起こってしまっているとしたら、きっと彼はわき目もふらずまっすぐローパーの元へ向かうだろうと思った。
レイモンドさんたちの通った道を見つけなくちゃ。さっきから、曲がり角などに印がつけられているのはわたしも気が付いている。これはレイモンド班とは別のマッピング班が付けた印なのだろう。きっと効率よく調べるためにマッピングの時と同じ印をつけながら進んでいるんだ。ということはレイモンド班の印、緑色の明かりを見つけて追えば出会えるはず……!!
「あ、あった!! 緑の明かり!!」
いくつかの道を行ったり来たりして、わたしはようやく懐かしい色の炎に照らされた道を見つけ出す。まるでサキュバス界とこちらの世界を繋いでいる光の線のよう。この線はまっすぐレイモンドさんに続いている……!
時々途切れたりもしているけど、他の班の印と違って光っているので、曲がり角の先などで光が漏れていてすぐ次を見つけることができる。仕事のことはちゃんとしているレイモンドさんなのに、やっぱり今普通の状態じゃないんだ。早く行かなくちゃ。
ドンッ!!
「きゃわっ!」
「おわっ!! な、なんだ!?」
低い所を飛んだまま曲がり角を曲がったわたしの顔の前に鎧を着た身体があって、びっくりして速度をさげたものの、わたしは誰かに顔からぶつかってしまった。いたぁい!!
「あにゃ? この娘、レイモンド班のメンバーじゃないのかニャ?」
「シルキィさん!! シルキィさんじゃありませんこと!?」
「あたた……マノンさん? ってことは……ライオット班の皆さん!!!」
わたしがぶつかったのは、どうやらライオットさんの背中のようだった。
「うわっ、シルキィちゃん大丈夫か? おかしいな、足音とか全然聞こえなかったんだが……ああそうか、隠密スキルか」
「そ、そうですそうです。す、すみませんでした」
本当は飛んでたからなんだけどそんなこと言えるわけがないのでありがたくそういうことにしておいた。ライオットさんが手を差し伸べてくれたのでお礼を言って助け起こしてもらう。
「しばらく姿を見なかったが、実家に帰ってたんだってね。戻ってこれたのか」
「一人でこんなに深く潜るのは危ないですのよ。見たところ無事のようですし、良かったですけども」
「えっと、ライオット班の皆さんはどうしてここに? ローパーを探してるのは知ってるんですけど、これ、レイモンド班が通った後の道ですよね?」
「ニャーたちが調べてたルートは最下層まで行ってもローパーに会えなくて、はずれだったから一回知ってる班と合流することにしたんだニャー。レイモンド班の印を見つけたから向かってるところだったニャ」
なるほど。それでこの道をライオット班が歩いてたんだ。
ずっと一人で進んでいたので知った顔にあって安心したが、ぐずぐずはしていられない。わたしはレイモンドさんの所に行かないといけないのだ。
「わたしすぐにレイモンドさんの所に行かないといけないんです。その、えっと、そうだ、知り合いにローパーに詳しい人がいて! その人に聞いたんですけど!! ローパーに一度呑まれて、吐き出された生き物は、しばらくすると自分からローパーに呑まれに行っちゃうって聞いて!! だから、レイモンドさんをローパーの所に行かせたらいけないんです!」
「それ、ほんとか? だとしたら急いで教えないといけないじゃないか。俺たちも一緒に行くよ。戦闘になってたらまずい」
飲み込みの早いライオットさんはすぐに事態を理解してくれた。一人で行ったほうが飛べていいのだが、道が細くなって来ていたしちょっと羽の付け根も痛くなりだしていたのでここからはわたしも走ることにする。
しばらく黙ったまま、四人でダンジョンの中を走って進む。いくつも階段を降りたところで、向こうから走ってくる人を見つけた。ギルドでなんどかすれ違ったことがあるかもしれない、女性の冒険者だった。
「ハア、ハア、お、おおい!! よかった、あんたらもマッピング班か!? う、くっ……」
ぜえぜえと肩で息をする彼女は、血のにじんだ包帯を腕に巻いていた。ライオットさんが駆け寄って、よろけた彼女を助け起こす。
「君は、今朝はギルドにいなかった冒険者だな。だったら知らないだろうが今は巨大ローパーの捜索と討伐が行われてるんだ。危険だから早く地上に出たほうが……」
「そ、そいつ!! でかいローパーだかって奴に会ったんだ!! 今はあの、エルフがいるマッピング班の奴らが戦ってて!! アタシ、他の班の奴らにそれを伝えるように頼まれて……!!」
……!!!!!!
「れ、レイモンドさん!!」
「シルキィさん!! お待ちになって……!!」
わたしは、その言葉を聞き終わらないうちに再び駆けだした。レイモンドさんがローパーと戦っている!? まずい、まずいまずいまずい!!
「はぁ、ん、はあっ、ぜえ、レイモンド、さんっ!! やだ、やだやだっ!!」
貸しがあるんだ。帰ってきたら、わたしの告白の返事を聞かせてくれるって約束したんだ。レイモンドさん、わたし、がんばったんだよ。催眠の試験に合格したんだよ。だから、レイモンドさんはもう性欲に悩まされなくてよくなるんだよ。慣れない煙草も吸わなくていいし、下着なんかじゃなくて本物のわたしがいっぱい気持ちよくしてあげる。だから、だからだから……!!
「生きてっ……、レイモンドさん、生きていてくださいっ……!!!」
走りながら、わたしは異様な雰囲気を感じ取り始めていた。ダンジョンの中の土埃やコケの匂いとも違う、お肉屋さんの裏手のゴミ置き場みたいな、生の肉の臭いがする。
「……!?」
その部屋に入ろうとして、わたしはなにかにつまづいた。見下ろすと、よくわからない粘液でぬるぬるになった人間が倒れている。なにこれ……。
なにもかもが異様で、あわてて足を踏み入れたそこには、嘘みたいにおぞましい光景が広がっていた。
見上げるほどに大きい漏斗状の『なにか』から部屋中に伸びて広がる肉の蜘蛛の巣。わさわさと細長い触手が蠢いて、とても不気味。真ん中にある巨大な目玉の下でもぐもぐしている窄まりは、たぶんあれは口だ。
動き回る触手がギリギリ届かない場所で、誰かが倒れている。その傍に、やっぱり粘液まみれになった誰かが項垂れて放心していた。
「リィナさん! ドーソンさん!!」
駆け寄ろうとして、わたしはとても嫌なことに気が付いてしまう。気が付いてしまった。
「……レイモンドさんは……? どこにいるの……?」
わたしの問いに、リィナさんは顔を上げる。彼女のいつもの勝気そうな表情は消えてしまって、とても憔悴してしまった顔でわたしを見て。そして、力なく持ち上がった手が指さした先には、ただ巨大なローパーだけがそびえ立っていた。
「うそ……」
膝から力が抜ける。わたしは粘液の水たまりにぱしゃんと座り込んでしまった。
「間に合わなかった……の? そんな……そんな……」
絶望が、心に忍び寄ってきていた。例えこいつを倒しても、レイモンドさんは帰ってこない。レイモンドさんの居ない世界で、わたしだけここにいる意味なんかあるの?
「レイモンドさん……レイモンドさん……」
涙がはらはらと頬を濡らした。気が付くとわたしはずっと彼の名前をつぶやいていて、その声は次第に大きくなって、気付けば私は大声で彼の名前を叫んでいた。
「レイモンドさああああああああぁぁあぁん!!!!!!!!!!」
……ドン
……ドンッ、ドンッ、ドンッ。
はじめは気のせいかと思った。だけど、わたしは何度も繰り返し聞こえてくる音に気付く。何か柔らかくて分厚いものを殴っているような音がどこからか聞こえてくる。
「し、シルキィちゃん……あれ……」
指をさした姿勢のままだったリィナさんが、さらに人差し指を明確に突き出す。
ローパーの口の下。たぶん内臓があるんだろう場所が、ボコ、ボコ、と繰り返し盛り上がったりへこんだりしている。
「……レイモンドさん……『居る』んだ……まだ生きてる!!!!」
折れかけていた心が、一縷の望みに再び奮い立つのを感じた。ついでに、怒りもむくむく沸いてくる。
「何さ……ローパーのくせにウスラでっかくなっちゃってさ……。わたしの大事な人をどこまで苦しめれば気が済むの……あんたなんか、あんたなんか……。女の子の恋心に比べれば、道端の石ころみたいなもんなんだから!!!」
喉が千切れそうなくらい大声で叫んで、わたしは疲れ果てた羽をいっぱいに広げる。今までわたしは幻惑の光を出すときには両手から出していたけどアルベリオがやっていたように、羽の先から出すやり方で一気に部屋中にそれを行きわたらせた。
「絶対に、絶対に取り戻す!! だからレイモンドさん! それまで耐えて!!!」
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